第6話 拠点長ネルフィア
「き、昨日は大丈夫だった?」
リティナに俺は恐る恐る昨日のことを聞く。
「昨日はごめんね。薄っすらと記憶はあるんだ…、急に頭がフワフワしだして君に触れたくなったんだ。
も、もちろん今はそんな気持ちはまったくないよ。いや、言い過ぎた。少しだけならあるかもしれない…」
リティナは恥ずかしそうに赤面し昨晩のことを何度も謝る。その原因は俺にあって、彼女が謝ることではないので申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「気にしないでくれ。それよりもお腹が減ってたんだけど、何か食べ物とか貰えるかな?」
「そうだね。あっ、そういえば、長老から君を連れてくるよう言われてたんだ。朝食を食べたら会いに行こう」
そうして、俺はリティナに連れられて食堂らしき場所で食事をした後、長老の部屋へと向かった。
◎○▲
コンコンとドアをリティナが叩くと、
「いらっしゃい、リティナ君。待ってわよ」
と想像よりずっと若い声で呼ばれる。
「失礼します」
「こ、こんにちわ…」
と俺達は長老室に入ると、目に飛び込んできたのはリティナと比べて大人の女性な印象な長老であった。
長老と聞いていたからもっとヨボヨボのお老婆さんかと思っていたけど、全然若い人だった。
「初めまして、私このキャンプの長をやってます。ネルフィアと申します、以後お見知りおきを」
「こ、こちらこそ、はじめまして。ジョ、ジョースケです」
俺は緊張でタドタドしい返答をしてしまう。横でリティナが少しニヤける。
「まぁ、そう緊張しないでね。それはそうと、ジョースケ君は今まで見てきた他の種族と比べて不思議な顔つきをしているね…なんでだかな?」
「そうですよね、長老!なんだか、すごく惹きつけられる顔というか、魅力的というか…」
と、リティナは興奮気味で俺について話す。
「ははは、そうね。私もジョースケ君から悪い印象は受けないわ。それにジョースケ君はこのキャンプにとって、いい刺激に成りそうだわ。昨日のことも踏まえると…」
最後の言葉に俺の表情は凍りつく。
(ま、まずいぞこれは…)
そう、あたふたしているとネルフィアがニコリと笑いながら、
「君が昨晩すれ違った娘、彼女はここ数日、他族の客人のもてなしで忙しかったようでかなり疲れが溜まっていたらしい。
ところが、君の匂いを嗅いで目が覚めたら今までの疲れが吹っ飛んでいたそうだ。ありがとうね」
「私もそのひとりです」
リティナも横でそれに賛同した。
(えっ、なにそれ怖い…)
俺は自分から出る匂いに怖さを感じる。だが、長のネルフィアは妖艶な笑顔で
「これからよろしね、ジョースケ君」
と俺をキャンプに大歓迎するのであった。
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