第2話 天羽族

 「急ぐよ、天羽族はしつこくから」


そう言って、リティナは覆い茂る植生林の中を駆ける。


それに俺はなんとか付いていくが、徐々に距離を離されてしまう。


「ハァハァ…、これ以上走れねぇ…」


「もっと走って、ジョースケ。もう少し行けば、私達エルフィン族のキャンプだから」


だが、つい先ほど生き返ったばかりの俺の身体は長距離を走るほどまでは回復しておらず、急な運動により心部が締め付けられるように痛い。


「しまった、あいつ等こっちに気づいたかも」


リティナの長い耳が追手の羽音を感取り、彼女の表情から余裕がなくなっていく。


俺は咄嗟に


「俺に…構わず、、急いで逃げて…」


掠れるような声でリティナに自分を見捨てるよう伝える。


この言葉を聞いて彼女は顔をしかめながら、一瞬考えて答えを出すのであった。


「わかった」


◎○▲



 俺は低空飛行で近づいてくる二人組の天羽族を目視する。


右手の利き手には宇宙旅行で防犯のために持っていたショックガン、殺傷力はなく気絶させるためのものである。


それと腕時計コンピューターとを連動させて、目標をロックオン。


そして、引き金を引いたと同時に


チュン


と弾ける音とともに光が目標に向かって飛び出す。


だが、光線は彼らの持っていた武器で弾かれ、彼らはこちらへと向かってくる。


「まぁ、怒ってこっちに来るわな」


俺はすぐに駆け出し植生林へと隠れる。だが、目の良い天羽族は隠れている場所の近くに降り立つ。


その様子を見ながら俺は息を殺すように見る。


「ここに隠れているのは間違いない。奴を見つけ出してさっきの仕返しをするよ」


「ああ、そうだね」


狙撃されたひとりが頭に血が上った様子で草木を持っている剣を振りながら、そしてもう一人は反対側を探し始める。


段々と血がのぼった奴が近付いてくる。一歩、また一歩と近づいて…


奴がニヤリと笑みを浮かべる。


Q

見つけた瞬間、俺に目掛けて刃が振り下ろされ身体を切り裂く。


奴はそう感じただろう。


そして、俺はその隙を逃さず引き金を引く。なぜなら、奴が切ったのは俺のホログラムなのだから。


不意打ちからの攻撃はさすがに防げなかったようで頭に直撃し倒れる。


しかし、問題はここからだ。まだもう一人いる…

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