異世界、俺だけ男性テクノストーリー。未来の技術でどこまでも

なんよ~

第1章 魅惑の香り

第1話 次元漂流者

 俺の名前は万里百・ジョースケ。


体感で1時間前、俺は格安宇宙船に乗ってリゾート惑星への旅行をしていた。


だが、不運なことにその宇宙船に未知のエイリアンが寄生しており、船内は大パニックになり、俺を含む乗客たちはひとり様脱出ポッドに乗って脱出した。


しかし、不幸なことにエイリアンが格安宇宙船のエンジンと結合して、ごく小規模の次元の裂け目を発生させて俺はそれに飲みこもれた。


見たこともない景色を見ながら俺は苦しみながら死にたくなかったのでコールドスリープ状態となり、一生を終える…はずだった。


◎○▲


 ピーピーピーと機械の起床アラームが俺の凍っていた脳内に響き渡る。キンキンに冷えていた意識があっ、生きてる。と感動の喜びを感じ始めはじめる。


「細胞活性液、投与」


ロボット声の機械音声が聞こえると同時に、腕の血管から薬液が投与される。すると、今まで凍っていた身体が潤いを取り戻し動くようになってくる。


「着陸地点の環境は良。非常用物資に破損なし。脱出用ポッドのハッチオープンを確認。これを以って、緊急時プロトコルの履行を確認。」


プシューと炭酸の抜ける音がしたと同時に外気が入ってきて、俺は狭苦しいポッドから追い出される。


そこは、見たことのない植物や木らしきものがあちらこちらに生えて湿っぽいところだった。


「この度は、格安宇宙船をご利用いただき誠にありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。なお、今回の事故に関してはいっ…」


と最後に無責任なことを言いかけた脱出ポッドが壊れる。


その直後、手首に巻いていた腕時計型コンピューター(以下、腕コン)が俺の生体電気により起動して位置座標を表示させる。


結果は当然のエラー。まぁ、もとの次元じゃないことはわかった。



そして、何とも言えない気持ちで今の空を見上げる。


(金をケチったせいで、こんなことになっちゃったなぁ…)


状況に絶望していた、その時。


背丈の高い樹木植物のてっぺんからヒューマノイド型の生物がこちらを凝視していることに気づく。


「あっ…」


突発的な事態に俺の思考が完全にストップし、咄嗟に逃げることができなかった。しかし、向こうはこちらの反応を感じ取ったように高所から一気にこちらへとダイブ着地した。


(や、やられる)


俺は条件反射で目を閉じてしまう。だが、次の瞬間にはやわらかな手の感触が両頬に伝わっていた。


「えっ」


俺はその行動に表をつかれる。


眼の前には人類に似た整った美系の顔立ちで、耳が細長く尖った人間の女性に似た容姿の生物が俺を食い入るように観察し、ペタペタと触ってくる。


(あぁ…食される)


だが、一通り触られると彼女は満足したようで俺を開放する。


そして、人間と同じように口から音を発しはじめ、まるで会話をし始める。


「ワダヒュゲモヌブキイエエザポイ」


「うん、何言ってるかわかんない」


聞き慣れない言葉に俺は当然の結論に達する。

しばらくして、彼女がおもむろに手を俺の額に当てる。


「ルブダトキフギラ」


次の瞬間、見ている視界が一瞬で認知できなくなり意識がぶっ飛ぶ。


◎○▲


「…ーい、おーい、大丈夫? 私の意識共有、間違えて強くしすぎた?」


彼女が倒れていた俺の横で心配そうに体を揺らす。


「ああ、大丈夫、大丈夫」


「びっくりしたよ、まさか少しの意識共有でぶっ倒れるとは思わなかったよ。てか、普通にしゃべれるね」


(ん?なんで俺は知らない言語で話せてるの?)


だが、徐々に未知の知識が脳内を駆け巡る。そして、俺は完全に理解する。


(この星の住人は小さい頃に読んだファンタジー物の魔法ようなことができるらしい。

自身の精神エネルギーを現実世界に干渉させることが可能で、いろいろなことに利用できるようだ)


俺は念のため彼女に対して分析スキャンを実行していた、結果を見る。


結果:対象は有機生命体であり、基本的な肉体構造はユーザーと98パーセント類似しており、生殖行為が可能であると考えられます。


又、有害な病原体は確認されませんでした。なお体内に未知のエネルギーが循環していますが害はありません。以上です。


ようやく、この世界を少し理解した。


すると、彼女が


「私はリティナ、よろしくね。君の名前は?」


「ジョースケ、こちらこそよろしくだ」


「ジョースケ…かなり変わった名前だね。ところでさ、ジョースケは空から降ってきたようだけど、もしかして天羽族なの?」


「て、テンパ族? 」


リティナが意味の分からないことを聞いてきたので、何言ってるかわからない感じの表情をする。


「うーん、やっぱり天羽族じゃないよね。良かったぁー安心したよ。この辺、天羽族の縄張りだから見つかったと焦ったよ」


リティナはそう言った瞬間、何かに気付いて顔をしかめる。


「はぁー、噂をしてたら天羽族が来たみたいだね、ここは急いで逃げるよ!」


俺はリティナの後を追いかけて逃げ出すのであった。

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