[8月初旬]また、いつの日か

 何を血迷ったのか、あの人に明かしてしまった。本当は云うつもりなんてなかった。今思えばあの話を切り出したのは、本人に恋愛相談をする目的だったのに、気づけばいつの間にかただただあの人に明かしていた。趣旨を間違えた。流れで暴露してしまった。この決断が果たしてよかったのかは今でもわからない。それでも、あの人に「いつになるかわからないけどリベンジするよ」といったときに、あいまいな返事ではあったけど、一応「はい」という返事はもらえた。今までの自分なら考えられない状況である。今までは一度告白すればその時点で縁は切れた。それにもう一回告白しようなんて考えたこともなければそれをあらかじめ本人に宣言するなんてことも前代未聞である。



 少なくとも、それから2日間だけは特に何も考えずに過ごすことができていたと思っている。然しながら、ふと自分の心に覆いかぶさってきた。負の感情が。「もう一度チャレンジする。」あの人は優しいから、「人の好意を強制することはできないからさ」と言ってくれたけど、内心迷惑にしか思っていないと思う。というか、あの人の場合もしかすると悩みの種になっているのかもしれない。これはただただ自分が自意識過剰でしかないけども、あの人の性格上俺と似ている部分があると思う。自分の責任だと考えてしまうような気がする。僕がいくらフォローしても考えてしまうものは考えてしまうのだと思う。少なくとも自分はそうだったから。

――――――と、僕が勝手に考えても相手は何も気にせずにいるのだろうか。だって今までのすべての想像は見事なまでに外れていた。すべて。余計な想像をし過ぎなのだ。もう何も考えなければいい。嫉妬しないとは決めたけど、やはりどうしても嫉妬はしてしまう。それがたとえ誰であろうと。仲良くしているだけでなぜかそう思ってしまうんだよな。もう、何もしない。当分、あの人のことは考えない。こんなこと前にも一回あったと思うけど。他の事に意識を向けよう。数日はそれができていた。でも、やはり外に出ないと自然と考えてしまうんだよね。

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