03付 幕間・抑制剤中毒
ちなみに乱用者とか、密売者とかはこういうことである。
プレタ病変容者を深い飢餓状態に放置する。
のち、大量の抑制剤や抑制食を与える。
すると摂取者は強烈な多幸感におそわれ、それは、ときに幻覚・幻聴を伴う。
この意図的な〝絶食〟と〝過食〟を乱用と呼ぶ。
悪いことに、この乱用快楽の精神依存性が非常に高い。飢餓状態に耐え、このトリップを追い続けるようになる。
離脱の失敗率でみれば、中毒性はケシ精製麻薬に準ずる。
それでも、遊びでたまの快楽を求める連中はまだマシといえる。
通常のドラッグやアルコールなどと違い、ひたすらに連続投与しても、効果は続かないからだ。つまり、もう一度、飢えが〝溜まる〟のを待つ事しかできない。まあそれでもマトモな社会生活は難しくなる。更に飢えて、更に大量に抑制物を摂取しようとする。
どんどんとさらなる快楽を求めれば、通常与えられる量ではまったく足りない。
たとえば一週間分の抑制剤・抑制食を一週間断ってから飲んでも、満足しない。そもそも抑制剤のリソースは有限なので、いくら哀願しても医者も公的機関も、さほど〝おかわり〟はさせてくれない。
当然この需要はヤミに流れる。
反社や詐欺師のいいカモになる。
彼らがまともな薬を売るわけもなく、ビタミンでもラムネでも高値で売りつける。中毒者は極度の飢餓状態の繰り返しでマトモな思考能力が残ってない。どんなものでも買う。
もちろん効きはしない。
飢えすぎているせいだ、だから足りないと中毒者はまた考える。
だから、さらに粗悪品を買う。
そして、飢餓状態から自閉状態に堕して死に至る。
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