頑張らないと

 次の日の学校は、大変な騒ぎだった。

 

 

「えっ、アレだれ⁉︎めっちゃ美人」

「どれどれ、オレにも見せろよ」

 と、教室に入れないくらい前も後ろもドア

 が男子で占領されていた。

 

 …由奈子。

 大丈夫かな。

 

 オレはすぐに由奈子のところに向かった。

 

「由奈子」

「あ、ユキトくん」

 

 …話し方も戻ってる。

 

「由奈子大丈夫?」

「うん、ユキトくんがいればもう平気」

 ニコッ。

 

 由奈子が笑うと男子が一斉におーって歓声

 をあげる。

 

「ちょ、由奈子こっちいい?」

 オレは由奈子をひとけのないところに連れ

 出した。

 

「昔から、こんな感じ?」

「あー、うん。でももう彼氏いるから大丈夫。

 でも、ユキトくんに迷惑かかっちゃうかな。

 どうしよう」

「あ、オレなら大丈夫だよ。うまく乗り切れ

 るし。」

「ありがとう、やっぱり頼もしいね。」

「まぁ、オレも色々してもらったからさ。恩

 返し」

「ふふっ、ありがとう」

 由奈子は、ギャルじゃなくなったけどなん

 か、前と違って無理してない笑顔になって

 きたんじゃないかなってオレは勝手に思っ

 た。

 

「由奈子」

「ん?」

 

 チュッ

 

 オレは由奈子にキスをした。

 

「好きだよ」

「うん、わたしも好き」

 

 チュ〜

 

 キスをして由奈子を抱きしめた。

 

「はぁー、マジかよー…」

「でも、あいつら付き合ってんだもんなー」

 なんて階段の下から声が聞こえてきた。

 

 …あいつらここまでつけてきたのかよ。

 

 話し声に一瞬呆れたけどこういうところを

 目撃されてた方が騒ぎも早く治るだろう。

 

 ってことでオレは堂々と由奈子とイチャイ

 チャしようと決めた。

 

 

「由奈子、帰ろっ」

「うん!」

 

 仲良く手を繋いで下校。

 

 

 オレたちのイチャイチャをみて少し騒ぎは、

 おさまった。

 

 …でも、ギャルじゃなくなった由奈子はギ

 ャル友達から疎遠になりつつあった。

 

「ユキトくん」

「ん?」

「わたしギャルやめてよかった。なんかずっ

 と自分じゃないもう一人を演じてるのほん

 とは、しんどかった。」

「うん…」

「でね、クラスに新しいお友達ができたの」

「マジ⁉︎」

「うん。雪美ゆきみちゃんっていうの!」

「そっか。ならよかった」

「うん‼︎」

 

 由奈子の笑顔をみて心から安心した。

 

 よかったな。

 由奈子。

 

 よし‼︎

 オレも卒業までになんとか成功させなけれ

 ばいけない仕事がある。

 

 頑張ろっと。

 

 そしてオレは色々試行錯誤して頑張ってや

 っと…

 

 やっと…

 

 やってやったぜーーー‼︎

 

 

 なんとか卒業までに成功した。

 

 で、最後の難関…

 

 またあの豪邸でお父さんと…

 

 …

 

 あー…

 

 こえーよ〜…

 

 なんて言ってる場合じゃない‼︎

 

 由奈子の一生がかかってんだ。

 

 よし‼︎

 

 いざこの時が‼︎

 

 と思っていたのだが、今度は自宅じゃなく

 会社での商談となった。

 

 …

 

 お初の場所…

 

 この前とは、また違った緊張が…

 

 そして指定された会社へ。

 

 …  …  …

 

 開いた口が塞がらない…

 今まさにそれだ。

 

 

 なんてでっけー会社なんだよ⁉︎

 

 …はぁ。

 こんな大きな会社…

 

 …沢山の従業員の人生をお父さんは背負っ

 ているんだな…。

 

 改めて凄さを再確認した。

 

 でも、オレだってやるときゃやるんだ‼︎

 

 よし‼︎

 やってやろうじゃん‼︎

 

 続く。

 

 

 

 

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