お父さんといざ対決

 …オレたちは、付き合ってるってことでい

 いのだろうか…。

 

 付き合おうのあと色々ありの…大好き…

 

 …うん。

 いまいちはっきりしないけど、とにかくオ

 レに今できることをやらないと。

 

 にしても、由奈子があんなお嬢様の娘なん

 て知らなかったわー…。

 

 まぁ、誰しも秘密は…うん。秘密は、ある。

 

 オレも…実は秘密があるのだ。

 

 ぷよんぷよんのデブだったってのは、そこ

 まで秘密でもない。

 ってか、ほとんど学校のみんな知ってるも

 んな。

 

 ま、とりあえず誰しも秘密を持っていると

 いうことだ。

 

 …

 

 とにかく由奈子を助けるためオレはとある

 秘密を頑張った。

 

 

 由奈子の父親は、エンジニア関係の会社を

 経営している。

 とにかく調べて調べまくった。

 

 うん。

 とにかくお父さんは、仕事人間らしい…。

 お母さんは…

 とくに役員にもなっていないし、よく詳細

 がわからないな。

 

 …

 

 ま、そこは載っていないのだし由奈子から

 話が出るまでそっとしておこう。

 

 そして数ヶ月後。

 

 オレはついにまあまあな結果を出し、由奈

 子のお父さんに直談判することとなった。

 

 会社に伺うという案も考えたが、お父さん

 には事前に連絡しておいて休日に自宅に行

 くということにした。

 

 

 …由奈子。

 オレが由奈子を守るからな。

 

 オレは大きな豪邸を前に立ち止まった。

 

 うっ…。

 一瞬怯みそうになったが、ぐっと拳を握り

 しめてチャイムを鳴らした。

 

 ピンポーン

 

「はい。社長から伺っておりますのでどうぞ

 お入りくださいませ」

 

 …

 

 お手伝いさんの存在…

 やっぱり慣れないな…

 

 ガラガラと重いゲージが上がる。

 

 セキュリティ万全

 

「さぁ、こちらへどうぞ」

「あ、ありがとうございます」

 

 フカフカのスリッパ

 

 …スリッパってぺったんこなイメージだっ

 たけど、それをお金持ちは簡単に超えてい

 く。

 

 この前来た時は、玄関の前までだったよな。

 

「あ、ユキトくん…」

 オレは由奈子に、いつかお父さんに直談判

 するよって伝えたっきり詳しい日時は言っ

 ていなかった。

 

 由奈子には、直前に連絡を入れた。

 オレは由奈子にぐっと親指を立てた。

 

 すると由奈子は、任せたよ。みたいな顔つ

 きに変わった。

 

 そして、いざ社長でもありお父さんでもあ

 るボスのお部屋へ…

 

「さぁ、こちらのお部屋でございますよ」

 家政婦さんに連れられて部屋の前まで来た。

 

 …うまくいくかな。

 

 よし‼︎

 ここまで頑張ってきたんだ。

 

 意を決してドアをノック。

 

 コンコン。

 

「どうぞ」

 

 渋く低い声がドアの向こうから聞こえた。

 

「失礼します」

 

 ガチャ

 

 広々とした客間が広がっていた。

 

 …やっぱりすげーなー…。

 

 オレが呆然と立ちすくんでいると、

「どうぞ、田山くん。座りなさいよ」

 とニッコリお父さんの顔で笑った。

 でも、つぎの瞬間顔つきが一気に社長の顔

 になった。

 

「それで田山くん。悪いが先に君のこと調べ

 させてもらったよ。」

「はい…」

 

 

 これが吉と出るか凶とでるか…

 そう。

 オレを調べたという事は、オレがとある秘

 密を隠し持っているのだがそれが大きな鍵

 となるのだ。

 

「君、若いのにすごいじゃないか」

 

 ホッ。

 よかったー。

 そっちかー。

 

「あ、ありがとうございます」

「それで、話とはなんだろう」

「実は由奈子さんの件でお話しがございまし

 て。」

「ほぅ、由奈子」

「はい。あの、由奈子さん婚約者がいると伺

 いました。でもそれを取り下げていただき

 たくお願いに参りました」

 オレの言葉におとうさんは、軽くギロリと

 オレを睨んだように見えた。

「それは無理だよ。会社のためにも」

「会社のために由奈子さんは、好きでもない

 男と結婚するんですか?」

 その言葉に、一瞬お父さんはお前に何がわ

 かるんだ。

 と言いたげな顔つきになった。

「あぁ、そうだよ。」

「そんなの納得いきません。問題は、お金だ

 けですか?」

「まぁ、手短にいうとそうなるかな」

「なら、オレが今立ち上げているプロジェク

 トが成功したらこちらの会社に全てをお譲

 りいたします。かなりの高利益が予想され

 ます。それなら問題ありませんか?」

「ほぅ、たしかに君のやっていることは興味

 深い。」

 …

 しばらく社長の顔で考え混んでいた。

 

 どうか…頼みます‼︎

 心で願い拳をぎゅっと握りしめるオレ。

「よし、いいだろう。では、良い結果を待っ

 ているよ。田山くん。」

 

 ホッ。

 

「はい。ありがとうございます。では、失礼

 致しました。」

 

 はぁ〜…

 

 なんか変な汗めっちゃ出たわー…

 と一気に気が抜けたと思ったら、またお父

 さんに話しかけられた。

 

「あぁ田山くん。よかった、まだ居たかい。

 わたしはこれから会社に行かなくてはいけ

 ないんだが、ゆっくりお茶でも飲んでいっ

 てくれ」

「あ、ではお言葉に甘えて」

「じゃ、家政婦さん。あとは頼みましたよ」

「はい。社長」

 

 …やっぱり忙しい人なんだなー。

 

 ボーっと後ろ姿を見送った。

 

「では、田山さま。こちらへ」

「あっ、どうも」

 

 …

 一部屋だけドアが閉まっている部屋があっ

 た。

 

 …

 

「田山くん!大丈夫だった?」

 慌てた様子の由奈子が駆け寄ってきた。

 

「うん。まだまだだけど頑張るから。オレ絶

 対由奈子を守ってみせるから」

「うん。ありがとう………お母さん…」

「えっ?」

「お母さんに会ってもらいたい…いいかな」

 

 …お母さん。

 

 そういえば家に来てお母さんにまだ会って

 なかったな。

 

 続く。

 

 

 

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