バイト
オレは由奈子と一緒に下校中思い切って由
奈子に聞いてみた。
「あのさ、夏休み何してる?」
と。
するとまさかの返事が返ってきたじゃない
か。
「なにも。朝から晩までなにも」
と。
…え。
とりあえず一瞬びっくりしたけどなにもな
いなら予定変更。
お祭りにだけ誘おうと思ったけど、何もな
いのなら話は別だ。
「じゃあさ、オレと一緒にバイトしようよ」
「え、バイト?」
「うん。だって毎日暇でしょ?ならバイトし
よ」
「…そうだね。じゃあ、バイトしてみようか
な」
「よし‼︎決まり‼︎」
って事でオレは夏休み叔父さんのところの
スーパーのバイトの手伝いを頼まれていた
んだけれど、他にもいたら紹介してと言わ
れていたのでちょうどよかった。
なので夏休み前、オレは由奈子と連絡先を
交換した。
一年生の頃は、ただただうるさいギャル娘
としか思ってなかったけど、今は由奈子は
由奈子だ。とオレは思う。
意味がわからないかもしれないが由奈子は、
由奈子のまんまが一番いい。
夏休み初日。
夏休みも見た目は、ギャル娘な由奈子。
早速バイト開始。
由奈子も一緒だ。
スーパーは、夏でも意外と半袖だと寒い。
事前に由奈子には、長袖持参と言っておい
てよかった。
「やっぱ、さみーな」
「うん。ここに数時間いるんだもんね。わた
し帰りまでもつかな…」
「あー…、ならそんときはオレがあっためて
やるよ」
と冗談を言った。
すると由奈子が、
「うん。そうして」
なんて言ってきたじゃねーか…。
え…いいの⁉︎
由奈子も冗談返しだよな⁉︎
…
由奈子は、学校ではギャーギャー騒いでる
し、よく笑うけど…
でも、スイッチがオフになるとあんまり笑
わない。
とにかくおとなしくなるから、冗談なのか
本気なのかイマイチわからない。
スーパーでのオレたちの担当は、基本的に
品出しだ。
少し重いものもあるけど、それ以外は簡単
な仕事で賞味期限を気をつけていれば大丈
夫な感じだ。
「由奈子大丈夫?」
「うん、ありがと」
そして作業しては、由奈子を気にするオレ。
…やっぱり寒いなー。
こりゃ、半袖だったら芯まで冷えてたわ。
とりあえず動いていたおかげでなんとか芯
まで冷えなくてよかった。
バイトも無事終わり由奈子と一緒に帰って
いた。
「どうだった?バイト辛くない?」
オレは由奈子に聞いてみた。
すると…すると意外な返事が返ってきた。
「…さ、寒い。あのさ、最初に言ってくれた
あっためてくれるってやつ…あれして欲し
いな。」
なんて言ってきたじゃねーか。
⁉︎マジか。
ドキドキ…。
オレやっぱり…こんなドキドキするって事
は…
やっぱり由奈子のこと。
寒そうにしている由奈子をオレはぎゅーっ
と包み込むように優しく抱きしめた。
おぉ〜うぅ…
オレまで癒される。
あー、最高っす。
すると由奈子は、
「あったかい。あったかいよ」
と言いながら鼻をすすった。
「…うん。よかった」
その時オレは、由奈子が寒くて鼻をすすっ
たのか、それとも泣いていたのかわからな
かったけど、どちらにせよ由奈子のからだ
か、心があったまったのならそれでいいと
思った。
それからは、バイトが終わるとオレは毎回
由奈子を優しく包み込んだ。
由奈子がそうしてくれと言った訳じゃない。
でも、でも…
そうするのが一番いいとオレは思ったのだ。
夏休みは、ほとんどバイトで終わりを迎え
ようとしていた。
バイトの帰り道オレは由奈子に思い切って
「花火一緒に行かない?」
と聞いてみた。
すると、
「浴衣姿じゃないよ。それでもよければ」
と返事が返ってきたじゃないか。
「別に浴衣見たいわけじゃないし。じゃ、花
火楽しみにしてるわ」
「うん。そだね」
ということで由奈子と花火行きます‼︎
小学生のように浮かれるオレ。
ルンルン。
待ち合わせ場所に向かう。
あ、きた来た。
「じゃ行こっ」
オレは由奈子の手をギュッと握った。
えっ?って顔の由奈子。
「混んでるし、迷子になりそうだからさ。い
い?」
ちょっと強引だったかな…
って思ったけど
「…あ、うん。わ、わかった」
と了承してくれた。
ということで手を繋いで花火デートが開始
されるのでありました。
続く。
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