告白

 

 …オレの後ろにいたのは、由奈子氏だった。

 

 オレは希乃由奈子の手を引いて潔く教室に

 入った。

 

 ガラッ

 

「うわっ、ビックリー…。あ、由奈子…」

 オレたちにびっくりするギャル友達。

 しかし、オレは平然と二人に言った。

「あ、もしかして希乃待ちだった?わりい、

 オレたち付き合うことになったからさ、今

 日二人で帰ってもいいかな?」

 と。

 オレは由奈子をかばいたい一心で突発的に、

 言葉が出ていた。

「…う、うん。もちろんだよ。由奈子おめで

 と。」

「あ、ありがと…」

「じゃ、そういうことだからまた明日」

 オレは忘れ物を取り希乃さんを勢いで連れ

 去った。

 

 そしてしばらく希乃さんは、うつむいたま

 まオレに黙ってついてきた。

 

「…希乃さん、勝手なことしてごめん」

「ううん。ありがとう」

「でさ、つい勢いで付き合ってるとか言っち

 ゃったけど、どうしよっか。オレなんかと

 付き合ってるフリとかいやだよね」

「ううん、嫌じゃないよ。」

「じゃ、フリってことで今日からよろしくで

 いいのかな…?」

「…うん、よろしく。あー…でさ、あのさ…

 実はわたし…あの…」

「無理に言わなくても大丈夫だよ」

 言いたくないことは、無理に言わなくてい

 いんだ。

「…うん。ありがとう」

 

 そしてその日からオレたちは、ニセの恋人

 となった。

 

 ま、たまに帰りが一緒になってそのまま二

 人で帰ったりしたこともあるしあんなり変

 わんないよな。

 

 でも、オレだいぶ痩せたけどギャルと一緒

 にいて釣り合うのかな…。

 少し不安だったけど…ま、なるようになる

 だろう。

 

 

 その日からオレはギャルに釣り合うように

 ダイエットと同時にルックスにもきちんと

 気をつけるようにした。

 

 その数日後まさかのことが起こった。

 

 以前オレを邪険にしてた同級生の女子が帰

 り道オレを呼び止めた。

 

「あのっ、」

「え?」

「す、好きです。よかったら付き合ってくれ

 ませんか?」

 といきなり告白された。

 

 …やっぱりオレって気付いてないみたいだ

 った。

 

「オレさ、田山だよ」

「へっ?」

「だから、中学の時太ってた田山」

「えーっ⁉︎田山⁉︎そっか。かっこよくなった

 んじゃん」

「あー、ありがとう。そのおかげでオレ彼女

 できたんだ。だからごめん」

「あ、あぁ、そうなんだ。……じゃ」

 

 その女子は、かなり動揺して帰っていった。

 

 オレが痩せて田山だってわかった動揺か、

 それとも振られた動揺かわからなかったけ

 ど、なんだかスッキリした。

 

 ほんとの彼女じゃないけどな。

 

 その日以来その子を見ていない。

 

 

 オレは一応付き合うと希乃さんと約束した

 ので一緒に帰ろうと誘った。

 

 放課後

 希乃さんと待ち合わせ。

 

「よし、じゃあ帰ろっか」

「うん」

 

 二人の時は、見た目はギャルだけど話し方

 や仕草はギャルじゃない。

 

「あのさ、オレたち一応付き合ってるって事

 になってんじゃん」

「うん」

「だから、下の名前で呼び合わない?」

「あー…」

「由奈子って呼んでいい?」

「うん。わたしは、ユキトくんでもいいかな

 ?呼び捨てって苦手で」

 

 …

「じゃあさ、二人の時は呼びやすいようにく

 ん付けでもいいけど、学校では呼び捨てに

 した方がいいんじゃない?」

「あ…そうだね。ならそうするよ」

「うん」

 

 

 オレは今さらだが下の名前がユキトだ。

 希乃さんは、どんな理由があるのかわから

 ないが、学校ではかなりのギャルだ。

 

 …しかしそれ以外の時は、結構大人しい人

 なのだ。

 だからオレはあえて理由は聞かないが、希

 乃さんに合わせてあげようと思う。

 

 オレと付き合ってると友達は思っているの

 で、希乃は友達から仲間外れにならなくて

 済んだようだ。

 

「帰ろ。由奈子」

「うん」

 オレたちは、それから学校では恋人のフリ

 を続けた。

 

 そしてもう、すっかり彼氏気取りで由奈子

 って呼び方もだいぶ定着してきた。

 

 フリだったけど…

 

 

 

 夏休み目前。

 

 オレは思い切ってデートに由奈子を誘って

 みようと試みた。

 

 なぜって、実はオレ…

 

 実は…一年生のとき触っていい?と聞かれ

 てズキュンとなって以来、ずっと由奈子が

 す、すきなのかもしれない。

 のだ。

 

 だから自分の気持ちを確かめるためにもこ

 こは、思い切って誘ってみようと思ったの

 だ。

 

 続く。

 

 

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