女神様…

 一か月後。

 

 オレはかなりの減量成功した。

 休み時間みんなで筋トレもしていたので、

 いい感じに痩せてきた。

 からだも軽いし最高じゃないか。

 と、自分を褒めた。 

 

 でもウォーキングは、続けた。

 

 そもそもこのダイエットが続いているのは、

 河原に現れる女神様のおかげだ。

 

 オレは、ウォーキングをしていると言うよ

 りは、女神様探しをしているようなものだ。

 

 ほんとに女神様には、感謝だ。

 

 それからさらに一か月後

 

 たまに河原で女神様を見かけた。

 

 …やっぱりどこか寂しそうな後ろ姿。

 

 女神様は、いつも河原で何をしているんだ

 ろう。

 誰かと一緒ってわけじゃない。

 待ち合わせをしている感じでもなさそうだ

 し…

 

 もしかして誰かをずっと待ってるとか⁉︎

 だとしたら切ない…。

 オレにはどうしてあげることもできないな。

 

 オレに出来ること…

 ただ遠くから見つめて落としたハンカチを

 拾うことくらいだ。

 

 …ハハ。

 

 そんななんにもできない日々が続いた。

 

 

 あー、今日はウォーキングが遅くなってし

 まった。

 

 もうこんな時間だし女神様いるわけ…

 

 いた‼︎

 

 こんな遅くまでいるのかよ。

 ほんと何してんだろーなー。

 

 …

 

 オレは女神様もみられたしラッキーと思っ

 て帰ろうとした。

 

 …え?

 

 女神様は、川を覗き込んだ。

 

 ってかさ、なんであんなに身を乗り出して

 んだよ。

 

「ちょっと‼︎落ちるよ!」

 

 オレは女神様に思わず声を荒げてしまった。

 

「いいの。」

 

 …は⁉︎

 落ちてもいいのかよ⁈

 

「なに言ってんの。いいわけないじゃん」

「なんで?あなたには…あなたには、わかん

 ないよ」

「あぁ、わかんねーよ。わかんねーけどこん

 なことしてなんの意味があんだよ」

「意味がないからこうするの。わたしには…

 何もないから…」

 

 …

 

「なくないよ!オレはあんたのおかげで痩せ

 た」

「え?」

「オレはあなたを河原にでる女神様って勝手

 に呼んでて…あなたがいたらまた頑張れる

 って励みにしてやってきたんだ。」

「わたしを…」

「うん」

「わたしは、女神様じゃないよ。」

「ごめん、でもオレにはそう見えたんだ」

 

 …

 

 女神様は、しばらくうつむいたあと意外な

 ことを口にした。

 

「わたしね、いつもは自分じゃないの。全然

 ちがうの。それにみんなから嫌われないよ

 うに全然違う自分を装ってるの」

「うん。いいんじゃない。オレも昔はデブで

 陰キャだったよ。ま、それはそれなりに毎

 日楽しかったけどさ、今は今で陽キャにな

 りつつあるけど楽しいよ」

「…そっか。」

「うん、そうだよ。ってかさ、自分のこと好

 き?」

「ううん。大嫌い」

「なんで?」

「だって、ほんとうの自分がどこにもいない

 んだもん」

「いるじゃん。」

「え…」

「今も、今じゃない時もどっちも自分だよ。

 でしょ?」

「…そうなのかな」

「うん!そうだよ‼︎自信持ちなよ」

「あ、ありがとう。」

「じゃ、少し送るよ」

「うん」

 

 オレは女神様としばらく歩いた。

 

 たいした話をしたわけじゃないけどなんか

 少し元気になったっぽいな。

 

 まさか女神様とこんなことになるなんてな。

 

 

「じゃあ、わたしもうここで大丈夫だから」

「うん。じゃ元気だしなよ」

「わかった。ありがとう」

 

 女神様は、笑顔で去っていった。

 

 その日以来女神様は、現れなかった。

 

 そしてオレは…

 オレはとある事を知ってしまったのである。

 

 

 

 

 

 そうこうしている間にオレはあっという間

 にニ年生になった。

 

 あのうるさいギャル希乃とは違うクラスに

 なった。

 ただもう一人のギャルは、また同じクラス

 だ。

 

 …

 

 放課後オレは忘れ物を取りに教室に戻った。

 

 すると、同じクラスのギャルが誰かと話を

 していた。

 

「やっぱさー、由奈子ってもう仲間入れなく

 てよくね?彼氏が由奈子いい子だよね♡と

 か言ってやがんの」

「んー、彼氏いれば話かわるんだけどなー」

「まあ、彼氏いればね。でも由奈子彼氏作ん

 なそ」

「なんでだろ?うちらの彼氏狙い?ってか、

 由奈子って男にあたり強くね?ツンデレ風

 狙ってんのかな⁉︎」

「はぁ?やばー」

 

 …希乃がこれ聞いたら傷つくだろーなー。

 

 ん?

 誰か後ろに…

 

 

 ⁉︎

 あー…。

 

 そうなりますかー…。

 

 オレの後ろにいたのは、あいつだった。

 

 続く。

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