女神様のハンカチ
オレはウォーキングをしながらいつも女神
様を探す。
しかし、女神様は滅多にいない。
だからこそ女神様を見つけた日にはテンシ
ョンが上がるのだ。
そして本日二週間ぶりに女神様を発見‼︎
…だけど女神様、いつも背中が寂しそうな
んだよな。
そんな女神様が急に立ち上がった。
すると下に敷いていたハンカチが飛んでし
まった。
そして川の上にパサっと乗ってしまった。
あぁ、白くて綺麗なハンカチが。
女神様は、ただただ川に落ちたハンカチを
見つめていた。
オレは靴下を脱ぎ川に入った。
女神様は、オレがいたことに気付いていな
かったみたいで一瞬ビクッとなっていた。
びっくりさせてごめん。
女神様。
そう心の中で謝りハンカチを拾い絞った。
「あ…」
女神様は、何が起きたのかわからない様子
で立ちすくんでいた。
「あの、勝手にすみません。はい。ハンカチ
ビシャビシャだけど…」
と、一応絞ったハンカチを差し出した。
すると、
「あ、ありがとう」
と言った。
えっ⁉︎
オレは思わず女神様を見た。
だって声があの由奈子氏にそっくりだった
から…
でも、全然ちがった。
声は似てるけどまず肌の色からして違う。
目もギャルは、二重で女神様はきれいな一
重だ。
あーびっくりした。
そしてオレはハンカチを渡してウォーキン
グを再開した。
あー、女神様美しかったな〜。
しかもハンカチ渡した時、あんな至近距離
でさぁ。
後ろ姿しか今まで見てなかったけど、正面
からみたらやっぱりお美しかったし〜。
なんて喜んだ。
その次の日からもオレはウォーキングをし
ながら女神様を探した。
もうウォーキングがメインじゃなくて女神
様がいるかどうかがオレの中でメインにな
りつつある。
そして一週間後
いた。
女神様
女神様は、いつも川沿いに座って川を眺め
ている。
でも今日は違う。
…誰かを待っているみたいだ
?
女神様は、オレに向かって歩いてくる?
ん?
なんで?
「あの、この間はハンカチ拾ってくれてあり
がとうございます。お礼にこれ…」
スッと差し出されたものは、お茶とタオル。
…
「えと、これをオレに?」
「はい。この間のお礼ですから。」
女神様は、オレにお茶とタオルを渡して笑
顔で帰って行った。
オレが毎日ウォーキングしてるの知ってる
?
ってか、オレがこの前首にタオルかけてて
汗だくだったからお茶とタオルなのかな?
女神様は、観察力があるんだなぁ。
と感心した。
家に帰りタオルを開くと文字が書いてあっ
た。
頑張れ‼︎と。
…やっぱりオレがデブだからダイエットし
てるってバレバレなんだな。
恥ずかしい。
それからまた毎日女神様を探しながらウォ
ーキングをした。
でも、一週間過ぎても女神様は現れない。
…お礼言いたかったのにな。
そしてまた一週間が過ぎた。
…今日もいないか。
残念。
オレは休み時間友達と筋トレをしている。
今までは、一人でただただ座っていたのだ
けど今は違う。
たまに友達とプロレスの技の掛け合いをし
たりくだらない話で笑い合う。
やっぱり友達っていいな。
ダイエットを始めて数ヶ月が過ぎたころ、
偶然中学の頃の同級生の女子が通った。
クッ。
嫌だな。
オレ髪の長い方の人に昔キモって言われた
んだよな。
あと、汗だくで汚いって。
通り過ぎるときなにか言われるだろう。
覚悟して通り過ぎた。
すると、
「ねー、今の人ガッチリしててよくない?オ
レが守るよ。的な感じでー」
と話し出した。
えっ…
オレって気付いてないのか⁈
中学のときの汗だくキモオを。
…それともオレって気付いててわざと演技
してんのかな?
よくわからなかったけど、もう会うことも
ないだろう。
と思いオレは気にしないことにした。
続く。
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