気遣いギャル

 次の日やっぱりうるさいギャル娘たち。

 

 …なんで毎日あんな風に元気でいられるん

 だろう。

 不思議だ。

 

 …ってか、オレ最近ギャルの観察してるみ

 たいになってんじゃん。

 見るのやめよ。

 

 と思いふと隣の席を見ると…

 隣の席休みか。

 

 ってか、隣誰だった⁉︎

 ま、いいか。

 オレは周りなんか興味ないんだ。

 ぼっちだろうがなんだろうがオレはオレだ。

 

 隣がいないと広々してていいなー、なんて

 広々悠々と過ごしていたら先生が、

「今日日直一人休みだからずれて希乃と田山

 日直なー」

 なんて言い出した。

 

 ゲッ…

 希乃ってギャルの由奈子じゃん。

 

 ま、仕方ない。

 

 そして一日黒板を消したり先生の荷物運び

 したりした。

 

 意外とギャルのくせに由奈子とやらは、き

 ちんと働く。

 ってか、なんかオレに合わせて動いてくれ

 ている感じもするな…

 

 そして最後のお仕事。

 日誌かき。

 

 放課後一人で残り日誌をかいていた。

 誰もいない教室。

 のんびりマイペースにかいていた。

 

 ギャルは、友達と帰ろーといい行ってしま

 った。

 まあ、いいだろう。

 ほとんどの仕事をあいつも昼間やっていた

 し。

 

 ゆっくりオレは夕日をみながら日誌をかい

 ていた。

 うーん、五時間目…

 何したかなー?

 

 あー、備考欄…

 空白じゃまずいなー。

 他の日みてみるか。

 

 …おぉ。

 意外と面白い。

 

 ペラペラとさかのぼりみていた。

 もう本を読む感じでみていた。

 

 するとバタバタと廊下を誰かが走ってきた。

 

 ガラッ

「あっ、まだいた。よ、よかった。間に合っ

 て。」

 汗だくのギャル由奈子。

 

 …帰ったんじゃ。

 

「ごっ、ごめんね。遅くなって」

 息を切らしながら話す由奈子。

 

 なんでこいつ…

 

 え…?

 まさか友達と帰った後、わざわざ日直の仕

 事するために走って戻ってきたのか?

 

 忘れてたのかな?

 日誌かき。

 

 

「あー、わざわざ戻ってこなくてよかったの

 に。それにもうすぐ終わるし」

「ううん。仕事は、仕事じゃない。一人でこ

 こまでかかせちゃってごめんね。ちゃんと

 戻るからって言っとけばよかったね」

 

 は⁉︎

 じゃあ、日誌かくの忘れてたわけじゃない

 んだ。

 

 なんなんだ…こいつ。

 

 …意味わかんねーな。

 

「あとは、わたしがかいとくね!ありがとう。

 わたし日誌出しとくから先に帰って大丈夫

 だよ」

 

 …やっぱりギャル語じゃない。

 

「いいよ。オレも日直だし。」

「そ?じゃあ、一緒に出しに行こ」

「あー、うん」

 

 そして日誌を提出して無事下校…

 

 ってか、帰る方向一緒なんだよな…

 気まずい。

 どうすんだ…

 

 職員室から教室に戻るまでにオレは別々に

 帰る方法を考えた。

 

 そしていいことを思いついた。

 

「あ、オレトイレ行ってから帰るからじゃ」

 といい一応トイレに寄った。

 そして時間をつぶした。

 

 よし。

 そろそろ由奈子とやらも帰っただろう。

 教室に戻り荷物を取った。

 

 あーよかった。

 先に帰ったみたいだ。

 あのままだったらギャルとデブが一緒に帰

 る事になりそうだったからな。

 

 そんなの由奈子とやらも嫌だろう。

 汗だくのデブが隣でふーふー言いながら歩

 いてたらさ。

 

 って…

 昇降口に由奈子が立っていた。

 

 …ん?

 

 こいつまさか…

 

 まさか毎日友達と帰るフリして全力で戻っ

 てきて彼氏と帰ってんのか⁉︎

 

 ⁈でもよくオレと帰る時間一緒だよな…

 

 彼氏待ってるわけじゃない…?

 

 じゃあ、何してんだ。

 あいつ…

 

 

 ま、オレには関係ない。

 かーえろっと。

 

 靴を履いてと。

 

「あっ、おかえり。じゃあ帰ろっか」

 

 はあー⁉︎

 い、いまオレに話しかけたのか⁉︎

 

 …周りを見渡しても誰もいない。

 わざわざ時間ずらしたのに、オレを待って

 いたなんて…

 

「えと…オレと帰るの?」

「うん。だって方向一緒じゃない」

 

 …そうだけど。

 

「オレさ、デブだし隣歩くの嫌でしょ。気遣

 わなくていいから」

「ううん。気なんてつかってないよ?ってか、

 色々謝りたいから帰ろ」

 

 …ギャルが歩き出したからオレもそれにあ

 わせて歩き出した。

 

 

 続く。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る