第7話 初めての連絡

 放課後、家に帰って来てからリビングで連絡先のメモ紙を再度広げた。

 名前と電話番号とSNSのIDが書いてある。

 針生咲良か…字が綺麗だな…

 そう思いながらソファーに座り、自分のスマホに登録していく。


 いつ連絡しようかな…

 直ぐに連絡したらガッついている様に思われてもイヤだしな…

 先ずは風呂を洗ってお湯を溜めるか…と、いつものルーティンを済ますとやる事が無くなってしまった。


 夜の8時…連絡するならこんなモンだろう。

 スマホは高校の入学祝いで買ってもらったので、まだ使い慣れていない。

 SNSで何と入れようか…


片『こんばんは、片倉楓です。 

 電話番号は、〇〇〇−〇〇〇〇−〇〇〇〇です。』


針『遅い!遅過ぎる!』


 直ぐに返信があった。

 …何か以前テレビで面白CM特集をやってた時に見た、埼玉の某有名菓子のCMの様な言い回しだな…


片『へいへい、すんませんした。』


針『本当に反省してるのかなー?

 夕方から待ってたのになー⤵』


片『ネコちゃんが土下座してるスタンプ』


針『仕方ない、許しましょう。

 次の土曜日に一緒にお買い物に行ってくれれば。』


 ……ハァーーーッ!?


片『イヤ、何で急にそうなる?』


針『…いやー私、欲しい物があるんですが、あの痴漢された日から急に男の人が怖くなってしまいまして…

 ちょっとボディーガードをお願い出来ないかと。』


片『そうか、大変だな…

 でも俺も男だから、駄目なんじゃないの?』


針『多分片倉君は大丈夫です、助けてくれた人ですから。』


片『まぁ俺はヒマだから別に構わないケド…

 他に頼める人は居ないの?

 …彼氏とか、男友達とか。』


針『居ません、居ません!

 彼氏とか男の子の友達とか1人も居ませんからっ!』


片『お父さんとかに頼めば?』


針『私、母子家庭でお父さん居ませんので。』


片『ゴメン、余計な事を聞いて…

 解った、俺で良ければ行かせてもらうよ。

 でも、無理はするなよ?

 当日俺と会った時に、無理だと思ったら直ぐに帰っていいからな?』


針『はいっ、ありがとうございます!

 では次の土曜日、よろしくお願いしますねっ。』


片『解った。後、明日から通学時の電車の時間を更に1本くらい早める事は出来る?実は…』


 俺はビニオ達ストーカーの存在を伝えたところ、時間は変えずに車両をいくつか移動しようと返信が来た。

 そして次の土曜日の午前10時に南大沢のショッピングモールで待ち合わせする事になった。


 ……お父さん、居なかったんだな…悪い事してしまった…。

 それに彼氏…居ないらしい。

 そして俺は初デートだ、マジか…!

 何を着て行けばいいんだろうか…もう今から緊張して来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る