このお話は精神の淀みを整理するための毒となります。
人間の狂気であったり偏愛であったり。そういった人間の精神をかき混ぜて沈殿させるお話です。するとあら不思議、デタラメに積み上がっていたものが綺麗に層を作ります。
誰にでも普段は気付かず無意識に内側に抑え込んでいるものがあります。そういったものも、人間の精神のバランスを取るために必要な役割を果たしています。
こういった深層心理は人生の経験を経れば経るほど歪な形になってしまうものです。
この短編集はそういった闇に潜むものたちを想起させてくれます。そうして目にしたくない自分の一部を呼び起こし、またそっと片付ける。こういった作業の一助となるでしょう。
読み終わった後に少し時間を置く。
その時間がきっと心地良いと思います。