第2話 ぬいぐるみ

私は電気も止まったこの部屋であなたに電話を掛ける

気が付けば真っ暗な画面を見つめていた。

なぜだ。

充電もしたのに画面が真っ暗になっている、なぜだ。


電気の引き落としの通帳の残高が無くなっていただけだった。

それでも気の滅入っていた私は

早朝こっそりと誰にも見つからぬよう

アパートから逃げ出した。


悲嘆にくれた私はきっとあの桜の木の下で倒れて死ねる。

神様は私に慈悲を授けて下さる。


車窓の飛ぶような景色を見ながらバッグを握り締める。

母に借りていたぬいぐるみが腕に触れて存在を思い出すと

耳の生えた頭を一つ撫でた。


実家に帰ろう。そう思った

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