第4話
愛しの彼女である猫のロミリンが俺の手の甲をバリッと引っ掻いた。
愛猫を試した報いだな。
ここ数日は
というか最近ずっと
無視
ムシ
むし。
MUSI☆
バイト代で極上の食事を献上していたというのに。
「もしかしてどこか調子が悪いのかな?」
3日目の昼
近くの病院へ連れて行こう。
これがロミリンへのお仕置きかな。
俺も初めての動物病院。
「知り合いが置いていったから性別はわかりません。
知り合い曰くメスだと……」
獣医さんは言葉少なに説明する。
「この子、オスよ。
去勢手術するなら早めにね。あとはノミ予防の注射をしてっと。
それ以外は特に問題な……」
獣医さんは診察を終わりにしようとして重要なことに気づいた。
「あら、もしかしてこの子、名前気に入らないのかしら?
さっきからオス猫の名前ばっかりに反応してて……」
待合いにはオス猫を飼っているらしいお客様がいたようだ。
ハジメテの俺にはさっぱりわからん。
「え?」
獣医さんは名前を読んでみた。
「うーん。ロミリン」
完璧なスルースキルをお持ちだ。
獣医さんは色々な名前を言っていく。
ミケ、コロ、ベラ、オスカー。ピンキー。
どれも反応しない。
「テト」
ミャー☆
今までで一番可愛らしい鳴き声で答えた。
看護師らしき人も呼んでみる。
「テト」
「ミャンー☆」
3日目の夜
「ロミリンおやす……」
ナチュラルに俺の前を通り過ぎて、ベッドイン!
大の字になってお寛ぎになっておられる。
俺の寝場所を奪われた。
「テト」
「ニャ~ン♪」
可愛いお返事何よりです。
しかしどかない。
オレの身体分のスペースすらない。
仕方なくカーペットの上に
コートとタオルケットで即席、寝床の完成。
これが真冬でなくてよかった。
立場逆じゃないか――寝ている姿も可愛い。チクショウ!!
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