第10話 ほうこく
(おのれ!
ざわつきの中聞こえてくる小声にむかって睨み付けた
「……
低く凄みのある声がざわつき少々浮き足立っていた空間をビリッとした空気に変えて響き渡り、
「申し訳ございません。すぐに赴くつもりではございましたが、その前に噂が本当であるのか
「フン、なるほど。それで?」
「はい。わが弟、
「……逃げた?」
「誠に申し訳ございません!」
「ほっほぉ~、逃げたか。……それはおかしいな」
クククと含み笑いをした
その大きな体は六十歳を越えた者の体とは到底思えぬほどに筋肉が盛り上がって引き締まり、鋼鉄の様な硬さと輝きを放っていた。
片膝をついて
「我が聞いたのは、どちらかと言えば欲望に従ったゆえの逃したに近い、ということだったが」
その
(ま、まさか……、バレているのか)
「ククク、嘘はつかぬのが身の為じゃ。さぁ、今一度問うぞ? それで、
低く響く声と浴びせられる鋭い視線に、
「
「素直に申すのだな。そうか。ククッ、まだ、お前も命が惜しいと見える。久々に血が見れると思ったのに残念だ」
「も、申し訳ございませんでした」
「ふむ、だが、ここまで素直に語られるとつまらぬな。
ふぅと溜息をついて扇子を少しだけ開き、
「ぐあっ!」
しかし、飛ばされ落ちてくる
その為、
端正な顔立ちだった
しかしその場に居る者達は皆、駆け寄ることも、介抱することも、視線を送ることも一切せずにただ黙って座っていた。
少しでも
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