第4話 けつい
「爺? 私はもう赤子ではないぞ、自分で歩ける。下ろせ」
少々ムッとしながら言う
爺に抱かれている蒼雲の後ろ頭から優しい女性の声がする。
「
振り返れば、そこには
「母上? 何を言っているのです?」
「爺、頼んだぞ」
「心得ております」
横抱きにされた
その夜。
城から遠く離れた川沿いで舟を降り、山道を爺と共に歩く
「爺! 見よ。まだ日も昇っておらぬ夜だというのにあの辺りだけまるで夕焼けのようじゃ。綺麗じゃのぉ」
「……」
「爺? 聞いて居るのか?」
「……はい、聞こえております」
押し殺し、嗚咽の混じった低い爺の声に
それから8年が経った時、共に暮らしていた爺が死に、
この村で暮らし始めた頃、家族に会えない寂しさで涙した時もあった。
しかし、立派な男になる為に城を出されたのだと聞かされ、
しかし、爺も老体。それから5年経つと病に伏すようになり、とうとう爺は
城はすでに落とされ、自分が綺麗だと言ったあの夕焼けのような光景こそその瞬間だったと知り、頭が真っ白になった
経った数年、わずかな時だと思っていたが、城のあった場所は既に緑の草の生い茂る野原となっているのを見る。
爺に心配をかけてはいけないといつものように振舞っていた
そんなある日、16歳になった
「助けなければ……」
真偽の程は定かではなかったが、その思いだけが以後の
そうして、爺が死んだ時、
「すまない、爺。どうやら私は父上の言葉を守れそうに無い。
フッと笑って立ち上がった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。