第3話 にげる
ことの始まりは十五年前。
単に邪な考えだけで集まった諸国の城主によって編成された「義勇軍」と称する軍勢に
他の諸国よりもその土地は猫の額ほどに狭く、一つの国として栄えているのが不思議なほどだったが、
しかし、攻められたのはそれが原因ではない。
それ以上に、他国が求めたのは
義勇軍を率いていた総大将、
そう思った諸国の城主は互いに対立していたにも関わらず、
女中に旅支度をさせられて眠い目をこすっていると、城主である父がやってくる。
「父上、朝早くから今日は山狩りにでも行くのですか?」
「いや、そうではない。
何時になく低い声でそう言う父に
「父上?」
「よいか、何があっても決して
「何を言っておられるのですか? 父上」
「いいな、約束してくれ。決して
「父上? 泣いておられるのですか? 男子たる者、如何なる時も涙を見せるな。そうおっしゃっていたのに」
「そうか、そうだな……」
「それとも、相手に涙を見せなければ泣いても良いのですか?」
「ハハッ、いいや、ならぬぞ。如何なる時も……。男子たる者、泣いてはならぬ」
すっと、
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