第2話 いきのこり
「
男は鋭い小刀で首元を切り裂こうとしている
しかし、その動きは速く、宙を飛び、軽やかに、人を殺めていく。
まるで舞っているような動作は優雅に見えて非常に残酷。
大人の男が20人束になって襲ったのにもかかわらず、ものの数分でその戦いに決着がついた。
男の気配を背中で感じた
「た、頼む! 助けてくれ!」
すがりつく生き残りの男に、近づいた男は蔑んだ瞳を向ける。
「助けてくれ? 先に襲ってきたのは貴様達だろう? ならば、殺されようとも助けを乞える立場では無いはずだ」
「俺達の意思じゃない! 頼まれたんだ! アンタを殺せば数億両と言う金をくれるという条件で」
「ほぉ、誰にだ?」
「ひ、
「フン、なるほど。ならば、無駄足だったな。ヤツはケチで有名だ。私を始末出来たとしても金を払うどころか、殺されるのがオチだ」
鼻で笑った男が踵をかえし、その場を去ろうとした時、後ろから命乞いした男が聞く。
「ア、アンタ一体何者なんだ?」
足が止まり、振り向く事無く男は言った。
「なんだ、知らずに襲ったのか?」
「似顔絵を渡されただけだ。詳しく聞けば、その場で殺される」
「フッ、だろうな。貴様、アダシを知っているか?」
「アダシ。聞いた事はある。確か、我等に仇をなす者と言う意味で、異郷の異客。転じて今では連中、
「そう、俺はアダシとして追われる身だ。異郷の異客という意味ではないほうのな。名は
「あ、
「その生き残りだ。何がしたいか分るだろう?」
腰が砕けたように男は地面に座り込み頭を抱えて呟いた。
「な、なるほどな。それでは仕事を無事終えたとしても俺自身が無事でいられるはずがない。しかし、その娘は何者だ? 俺達もその辺りのごろつきとは違う。それなりの生業をしている者だ。その我らを軽くあしらうその娘は一体」
「
「
ハハっと乾いた笑いを喉奥から吐き出して男はチラリと
微動だにする事無く、感情を感じとることすら出来ない紅い瞳に銀髪の彼女は無表情で
「
「
「そうなのか、今までは駄目だったのに、知らすのはもう良くなったのか?」
「あぁ、頃合いだ。奴らに教えてやらねばな。
「光の
クククと半分狂ったように笑う男はフラフラとその場を後にした。
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