第3話 俺の事
昨日いろいろあったせいと、朝まで眠れなかったことにより、普段より断然遅く起きてしまった。
あ、そう言えば昨日冬華を泊まらせたんだっけ、あいつもう起きてるのかな。
そう思い意識を覚醒させると、トントントン、と包丁の小気味いいリズムが聞こえてくる……………わけもなく、チンッという電子レンジの音だけだった。
普通こういう場面って、朝ごはん作ってくれたりしてるんじゃないのかよ!
よりによって電子レンジとか、俺が起きるのを待ってる方がまだ可愛げがあったわ!
というかあいつ、何温めてるんだ?うちに冷凍食品はないし、朝から買い物にでもいったのか?
気になる事が多すぎて俺はまだ寝ていたい!と叫ぶ体を我慢して起きることにする。
床で寝た事もあって、身体中が痛い……しかも、結構ガチめで痛い。
痛みを我慢して、やっとの思いで上半身を起こした。
起きた俺に気がついたのか、冬華がパタパタと俺の元にやってくる。
「おっはよ~!朝ご飯できてるよ!」
「ああ、おはよう、……朝ご飯って何温めてたんだ?」
「え、コンビニ弁当だけど?」
「そうか、何円だった?俺の分は払うよ」
「え?要らないよ、そもそも夏樹のお金で買ったんだし」
……うん、何で当たり前じゃん?みたいな真剣な顔持ちで応えられるんだよ、普通に勝手に人の金使ってるだけじゃねぇか、犯罪だろ、それ。
金の持ち主を起こす前に勝手に使うか。
やっぱりコイツは世紀の阿保だな。
と言うか二話目の泥棒って呼び方で合ってんじゃねぇかよ。
とまぁ、心の中ではツッコミまくるが、声には出さない俺だった………超優しいじゃん、俺。
「まぁいい、俺は寛大な心を持ってるからな、許してやろう」
「自分で言ってる時点でないでしょ!ウケる!」
冬華はウケる!と言ってきゃははは!と笑っている。
うん、警察に突き出してやろうか。
「おい、人の金を許可なく使った泥棒、警察に連れていかれたくなければ今すぐ謝罪しろ、ならば許してやらんこともない」
ゴゴゴゴゴ!と効果音が出て欲しいなと願いつつ、いわゆるジョ○ョ立ちをしていい放った。
「すいませんでした!警察だけは、どうかっ!」
「仕方ない許してやろう……ぷっ」
「あははは!夏樹って意外と面白いね!」
「意外と、って何だよ」
「まぁいいじゃん!早くご飯食べよ!」
「そうだな」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その後、俺たちは何やかんやでお昼も済ませて今は2時だ。
ここで、問題が一つ浮き上がった。
冬華に全く出てく気配が無いんだが。
「おい、」「あのさ、」
冬華とかぶってしまった。
もうさすがに出て行くつもりなのか?
「あのさ、今日の朝泣いてたけど、昨日何か合ったの?」
冬華の口から出た言葉は俺の考えていたことを大きく外れていた。
というか、朝泣いてたのか、俺。
なんかちょっと恥ずかしいな。
何かあったの?か、どうしよう、言ってしまおうか、浮気されたって……。
人に吐き出すと良いって言うしな。
俺は昨日合った事を吐き出す事にした。
「実は昨日、彼女が他の男と浮気してる所を見たんだよ」
「えっ、」
「でも、しょうがないよな、相手は俺よりイケメンで、勝ってるとこなんてあんのかなって思ったし、これでも彼女に好かれるよう、尽くして来たと思ってたんだけどな。あいつにとって、俺は……遊びだったのかな。………悪い涙出てきちまった。」
吐き出すってのも意外としんどいな、思い出すとまた涙が溢れてしまう。
静かに泣いてると、視界が真っ暗になった。
一瞬驚いたが、すぐに理解した。抱き締められているんだな……と。
普段の俺はなら振り払っていただろうが、今の俺には人の感触が、温もりがただただうれしかった。
その後も冬華無言で俺の身体を、心を、優しく、温かく、包み込んでくれた……。
♢ ♢ ♢ ♢
ようやく涙が収まった俺は冬華の質問責めにあっていた。
え、普通浮気された奴にするか?俺の心をえぐる気かっ!
そんな事を考えていると、新たな質問がされた。
「ねぇ、浮気された心当たり?っていうか、ダメだったって思う所とかないの?」
「……んなもんねぇよ。俺はあいつに出来る限りの事をしてきたつもりだ。デートの費用はもちろん、ルイ・ヴィ○ンのバッグだってプレゼントしたし、宿題とかも全部俺がやって来た。何がダメだったのかなんて、俺にも分からねぇよ……」
「……あんたバカなの?」
「……………は?」
それお前には一番言われたくねぇわ!
俺は内心でツッコミつつ、話の続きを聞いた。
「だってそんなのただの都合のいい男じゃん。相手からすれば『何かアイツ貢いでくれるしラッキー!』程度にしか思われてないじゃん。もしかしたら最初から遊びだったんじゃない?」
「………っ!」
そんな……はずない。
俺たちは愛し合っていたはずだ。
今までの思い出に残る彼女の顔は全部嘘だったのか?
信じたくないけど、納得はいく。そりゃプレゼントくれるし、奢ってくれる人なんて利用価値しかないもんな。
やっぱり…、遊びだったのか。
「そう、だよな。」
「まっ、でも!悪いのは全部相手だよ!夏樹が優しすぎたんだよ!」
冬華はあくまで悪かったのは向こうだ、と言ってくれる。
冬華って本当ギャルの癖に優しいよな、何でギャルやってんだろ。
「そっか……そうだよな。ありがとな、話聞いてくれて」
「泊めて貰ったしね!お礼も含めてだよ!」
「そーか、じゃあな、学校で会った時はよろしく」
1日って意外とはやかったな。
本当に短い間だったけど、冬華には世話になったな、俺の話まで聞いてくれたし、何で家に帰らないのかはあまり詮索しない方がいいだろう。
まぁ、いい奴だったな。
「え、帰んないけど?」
「は!?」
うん、さっきまでの感謝の気持ち返して!
帰んないのかよ、なんでだよ!
「え、逆に帰らせるの?この中を?」
スッ、と冬華が指差した方向の窓には台風並みの雷雨だった。
あれ?いつの間に?さっきまで晴れてたよね?一瞬でこんな天気悪くなるか普通!?神様はどんだけ俺に不幸をもたらしたいんだよ!浮気されただけじゃもの足りねぇってか!?
はぁ、でもこんな中外ほっつき歩かせるのは危ねぇし、1日だけ、もう1日だけ泊まらせよう。
明日には絶対に帰って貰おう!
「……はぁ、しょうがないな、あと1日だけだぞ」
「ありがと、夏樹!」
うーん、やっぱりギャルの笑顔は眩しいな。
あと、すっげぇかわいい。
あと、1日だけ我慢するかっ!
心のどこかで冬華との生活を楽しんでいる自分がいるような気がした。
あと、ルイ・ヴィ〇ンのバッグとかは全て俺の稼代から来ている。
1人暮らしの高校生からしたら痛すぎる出費だったけどな。
でもまぁ、その時は彼女の笑顔を見れるだけで嬉しかったし、だったから別にいいんだけどな。
これからは彼女でも何でもない図々しいギャルに使うことになにそうだな………。
俺は心の中で財布の紐は固く締めようと決意したのだった。
***
どうも、作者の
前回から大分時間が空いてしまったのですが、フォロワーも減ることなく、無事三話を投稿することが出来ました。
皆様、ありがとうございます。
まだラブコメといった感じはあまり出ていないかも知れませんが今後に期待ですねっ!
さて、話は変わりますが、少しキリのいい所まで掛けてきたので、今まで書き溜めていたぶんをこれから投稿していきたいと思っています。
ということで!
『毎日投稿けってーい!!』
まぁ、毎日投稿と言っても続いて二週間と少し程なんですけどね……。
それでも、毎日寝る前にでも読んでくれたら嬉しいなと思います。
今回は夜中ですけど、明日からは朝の八時頃に投稿していく予定ですので、是非!ご確認下さい。
☆、レビュー待ってます!
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