第13話
けれどそれは、自分を庇護してくれるはずの親によって痛めつけられ傷つけられる子どもたちへのただの同情ではなかった。それが私に恐怖心を起こさせる。さすがにここまでひどい身体的暴力を働くことはないだろうと自分では思っているが、果たして言葉の、もしくは心の暴力はどうだろうか。自分が子を持った場合、そうしないと言い切れるだろうか。
案ずるより産むが易し──妙子さんの言葉が脳裡に浮かぶ。
そうなのかもしれない。けれども、そうではないのかもしれない。
実際にその場にならないとやはりわからないのではないだろうか。
子どもに身体的な暴力を加え、時には死にまで追いやってしまう親たちが、皆が皆、鬼畜のような性根を持っているというわけではないのだ。
私も知識としては知っていたけれども、子どもを虐待する親は、自らも子どもの頃、その親によって虐待されていた人が実際に多い。
ある場合には、自分が虐待を受けていたがゆえに、自分の子どもには同じ思いは絶対にさせまいと心に誓って子を持つ親もいる。それなのに、同じことをしてしまう。しかも、その間の自分の記憶さえあいまいになってしまう親さえいるのだという。
こういう例をいくつか読む中で、私はやはり、自分が子を持つことへの恐怖心に駆られてしまう。そう、他人事とは思えないのだ。
そんな思いは、夫にも言うことはできないと感じていた。
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