第143話 ダグラス、焦る


ジョーを取りあえずサラの近くまで運び降ろす。

俺はまた爬虫類系の方に向かう。

「おい人間、逃げなくてよかったのか?」

「まぁ何か妙なことをされても面倒だしな」

「さて、何を見せてくれるんだ?」

爬虫類系も、なんだかんだ言って、一応は警戒をしていたようだ。

だからこそジョーの移動を許してくれたわけか。

それとも強者ゆえの余裕というやつか?

俺は元大統領補佐官を見つめる。

「おやおや、日本のコマンダーは好戦的ですね」

「好戦的?」

「まさか、俺たちと戦うつもりか?」

「まぁ、先程のオスの例もあるし、少しは警戒するか」

爬虫類系の仲間が軽く言葉を出し、その中の一匹が銃を俺に放つ。

ビッ!


赤いビームは、俺の身体に触れる瞬間に弾けて消える。

!!

「な、なに?」

「フォトンビームが弾かれた?」

「そんなバカな!」

爬虫類系の連中が少し焦っているようだ。

残りの仲間たちも同じように俺にビームを放つ。

ビッ!

結果は同じだった。

「く、くそ、こいつはビームなどでは倒せないということか」

「ほんとに妙な世界になったものだ。 面倒だが、槍で串刺しだな」

「ふぅ・・」

爬虫類系たちは銃を収納し、槍と剣を構える。


敵はダグラスを含め3匹だ。

そして、どうやらビーム兵器は俺には効果がないらしい。

・・・

しかし、ビーム兵器なんて映画かアニメくらいでしか見たことないぞ。

確かに、神様の言うように、文明レベルが進んでいる種族のようだ。

見た目は爬虫類なんだが・・。


ダグラスたちが俺を見つめる。

・・・

こ、怖いな。

その眼差し、手加減なんて言葉が通じなさそうだ。

「おい人間、少しくらい強くなったからって、下等種なのは変わらないだろう」

「だから油断するなと言っている。 物事を見誤るな。 ドラコニアンと思えとは言わないがな」

「アハハ・・奴等は違い過ぎるんだよ。 比べられないよ」

「だが、今の人間の中にも先程のように、我らを倒せる奴もいるということだ」

「うむ・・確かに許せんが、事実だしな」

爬虫類系たちが勝手におしゃべりをしていた。

・・・

こいつらって見た目はともかく、おしゃべり好きな連中なのか?

俺は相手の目を見ずに、首の辺りを見ていた。


「まぁいい、武器で戦うのは面倒だが、久々に運動もいいだろう」

「そうだな・・やるか」

爬虫類系たちが武器を構えた。

即座に俺に攻撃をしかけてくる。

!!

まずはダグラスが槍で俺を突く。

さほど速い突きではない。

様子見といったところか。

俺はスッと斜め前に躱し、距離を詰める。

ダグラスに左掌打を繰り出そうとすると、横から剣が振り下ろされてきた。

俺は方向を変え、ダグラスから距離を取る。


「ほぅ、俺たちの攻撃を躱せるのか・・やっかいなエサだな」

爬虫類系がつぶやきつつ、更に攻撃をしかけてきた。

ズダダダ・・。

剣を振り下ろした奴に、日置さんの矢が刺さる。

「うっ・・」

矢が刺さった爬虫類系と仲間がチラッと日置さんの方を見る。

!!

俺はその隙を逃がさない。

一歩踏み込んで、全力で右掌打を叩き込む。

俺の右手が光っている。

ドン!!

剣を振り下ろした爬虫類系の右わき腹にクリーンヒット。

上半身の半分が消失していた。


その爬虫類系は、何も言わずにそのまま倒れる。

「な・・」

「え?」

「まさか・・」

ダグラスたちが驚きの表情で俺を見る。

・・

だから、そんな目で俺を見るな、怖すぎる。

「お、おい・・あいつ人間だよな?」

軽い口調で話していた奴がつぶやく。

「間違いなく人間だ・・だが・・」

ダグラスも言葉が出てこないようだ。


俺はすぐさま右手に意識を集中し、残りの爬虫類系に向かう。

「く、来るぞ!」

爬虫類系が叫ぶが、俺はダグラスを躱し、その後ろの剣を持った奴に向かう。

どうやらスピードは俺の方が上らしい。

そのまま右手刀を薙ぎ払う。


ズバン!!

一匹の胸の辺りがきれいに切れていた。

そのまま横の槍を持った奴に向かう。

同時にマリアの銃弾がその爬虫類にヒット。

「クッ!」

爬虫類の顔が一瞬歪む。

俺はその顔を見ながら、首の辺りを右手刀で払う。

スパ!!

そしてそのまま縦に手刀を入れた。

ズバン!

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