第132話 何か、扱いが雑じゃないのか?
<ハヤト視点>
「ミスタージョー・・すぐに出発というのは、ダンジョンに向かうのですか?」
俺は驚いていた。
というのは、俺たちは到着したばかりだ。
いくら疲れてないとはいえ、扱いが酷くないか?
いったい何様のつもりだ、あのダグラスというおっさん!
「うむ、そうなるが・・」
ジョーはそういってサラを見る。
サラがうなずいていた。
「ミスタームラカミ、実はね・・」
ジョーがそういって説明してくれる。
どうも今回のダンジョン調査に疑問が付きまとうという。
ジョーが一度失敗して警告を出し、違う部隊が再度挑戦しそれも失敗。
そして今回の挑戦だが、とにかくレベルの高いものを適当に投入しているような感じを受けるという。
仮に自分が断っても、自分以外の高レベル者が政府の命令で派遣されるかもしれない。
そうなれば、貴重な戦力が無駄に削られていく。
それだけはジョーとしても避けたいという。
・・・
・・
「・・というわけなんだ。 ミスタームラカミは不満だろうが、よろしく頼む」
ジョーが頭を下げていた。
「い、いえ、頭をあげてください。 私もいきなりのことで驚きはしましたが、どの道ダンジョン自体には興味がありましたし、身体も疲れてはいませんから」
「ハハハ・・そうかい、ミスタームラカミはダンジョンに興味があるのかい?」
「え、えぇ、アメリカのダンジョンというのがどういうものか、確かに興味があります」
「なるほど、君はそれほど多くのダンジョンに挑戦したのかい?」
ジョーが興味深そうな目線で俺を見る。
「い、いえ・・何というか・・ダンジョンで魔物を倒してレベルを上げる。 そう、ゲームのような感覚で自分が鍛えれるじゃないですか、それが心地よいのです」
俺は思いつくままに答えていた。
「ふむ・・なるほど。 僕はそんな感覚はなかったが、確かに成長を感じれるのは楽しいのかもしれないね」
ジョーはそういいながらサラを見る。
サラが微笑んでうなずく。
「僕たちは生き延びるのに精一杯だったからね・・さてと、行くかね」
ジョーがゆっくりと立ち上がる。
マリアもジョーの後についていく。
サラが笑顔で俺たちを先導してくれた。
◇
<アメリカのダンジョン>
俺たちを乗せた車がダンジョンの前に到着。
見た目はなんてことはない普通のダンジョンだ。
周りは岩場だが。
「ミスタームラカミ、ここがケンタウルスと遭遇したダンジョンなんだ。 1階層といえども、何がいるかわからない。 用心してくれ」
ジョーが右肩にロングソードを担ぎ、ダンジョンに入っていく。
以前のロングソードよりも性能はアップしている。
マリアは銃を左肩から吊り下げている。
サラはバックパックを背負っているくらいだ。
俺は素手で戦うので、武器は持っていない。
ただ、手にはグローブをつけていた。
素材班で加工してもらったものだ。
オーガジェネラルの素材でできているらしい。
結構丈夫で皮膚を保護してくれる。
日置さんは弓を担いでいた。
マリアがチラッと日置さんの弓を見る。
ダンジョンの中は言われたような、階層に不釣り合いな魔物はいない。
俺たちは5階層に来ていた。
「ミスタームラカミ、それにミス日置、君たちの戦闘能力は申し分ないね。 まさかここまでこんなに楽に来れるとは思ってもいなかったよ」
ジョーが笑顔で話してくる。
俺はリップサービスだろうと思いつつも、謝辞は返す。
何せ、ほとんどジョーとマリアが倒していたからだ。
「ありがとうございます。 私などよりもジョーの剣技も見事です。 それにマリアさんの狙撃には助かりますね。 微かに魔物を把握できるかというときに、魔物が撃たれているのですから」
俺の発言にマリアが怪訝そうな顔を向けた。
「ムラカミ・・あなた魔物の存在がわかっていたの?」
「え? まぁ・・何となくいるんじゃないかって程度ですけどね」
マリアが近づいてきて俺を見る。
「あなた、もしかして遠くがわかるスキル持っているの?」
「い、いえ、気配というか、そういった本当に何となくという感覚ですよ」
俺は焦ってしまった。
「ふ~ん・・」
マリアが完全に疑りの視線を維持しながら離れていく。
まさかベスタさんの能力などと言えるはずもない。
俺は事前に日置さんと話をしていた。
特にナビゲーションシステムについては秘密にしておこうと。
だが、想定外のことがあった。
まさかサラという女の人がナビゲーションシステムを持っていたことだ。
ベスタが言うには坂口団長や日置さんとはタイプの違うシステムに変化しているという。
自分ではなく、他者のために役立つような支援に特化した感じらしい。
会話は成立するが、一定の距離を感じ、取りあえず挨拶だけで後は放置らしい。
大丈夫なのかな?
まぁ、俺などが知る由もないが、ベスタさんたちがうまくやっているのなら問題ないだろう。
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