第131話 ジョーと対面
ジョーが笑顔でハヤトとヤマトを出迎える。
「よく来てくれたね、ミスター・・」
「ムラカミです」
「日置です」
「おぉ、すまない、ミスタームラカミにミス日置。 さ、こちらへ」
ジョーがそういってハヤトたちをソファに誘導する。
◇
<ハヤト>
俺たちはジョーのいる場所に到着し、施設の中に案内された。
事務所に入ると、片腕のない男が笑顔で俺を出迎えてくれた。
感じの良い笑顔だ。
そのままソファに座るように言われる。
俺はソファのところに行き、ジョーと握手をする。
大きな手だな。
俺はソファに座りながらジョーの左腕がないのが気になっていた。
そんな俺の視線に気づいたのだろう、ジョーが笑顔で俺に言う。
「ミスタームラカミ、この腕が気になるかね?」
「え、えぇ・・すみません、私が余計な視線を送ってしまって・・」
「気にすることはない。 これは名誉の負傷だよ・・」
ジョーは嫌がるでもなく、終始笑顔で話してくれた。
・・・
・・
本当か嘘かわからないが、なんでも核爆弾を受けとめたらしい。
その時に腕を失ったのだそうだ。
アメリカ人って、平気で重い話をするよな。
強メンタルの持ち主か?
そんなジョーの話を聞いていると、ジョーの横のきれいな女の人がジョーの肩に手を置く。
「あ、あぁ・・そうだったな。 ミスタームラカミ、今回の招集だが、危険な任務になると考えてくれ。 僕たちが調査するダンジョンだが、ケンタウルスという四つ足の魔物がいる。 つい先日もダンというレベル30の戦士が亡くなった。 僕のレベルは32なんだが、どこまで通用するのかどうか不安だよ。 ちなみに君のレベルはいくつ何だい?」
ジョーが気軽に聞いてくる。
「え、えっと・・」
俺は即答できなかった。
俺たちの文化って、それほど個人情報を公開しない。
「ベスタさん、正直に言う必要ないですよね?」
『もちろんです。 それに彼のいうレベルは適正だと思います』
「なるほど・・嘘はついていないわけだ」
俺は即座にベスタさんと会話し、それほどのタイムラグなく答える。
「えっと・・私のレベルもジョーと同じくらいで、32です」
「同じくらい?」
ジョーが不審そうな顔をする。
「す、すみません。 同じでレベル32です」
「そうか、それは心強いな」
ジョーが笑顔で答える。
「ミス日置はどうなんだい?」
「は、はい・・わ、私は・・その・・レベル29です」
「ふむ・・それでも凄いものだね。 サラ、これなら何とかなりそうだね」
ジョーはそういってサラの方を向く。
「マイヒーロー、それでも危険であることに変わりはありません」
「そうだな・・それに時間がない。 ミスタームラカミ、僕たちはすぐにダンジョンに出発するように言われているのだが、聞いているかね?」
俺はジョーの言葉に耳を疑った。
「え?」
俺と日置さんが顔を見合わせる。
「なるほど・・やはり補佐官は高レベル者がお嫌いのようだ。 この調査が終了したら少し聞いてみる必要があるな」
ジョーの言葉にサラがうなずく。
「マリア」
ジョーが呼ぶと、奥で座っていた女の人が立ち上がった。
!
おぉ、めっちゃ美人だな。
このサラという人もきれいと思ったが、あの女の子・・俺好みだな。
『この浮気者!』
ベスタがいきなり突っ込んできた。
「いやいやベスタさん、素直な感想だから」
『・・・』
「ミスタームラカミ、紹介しよう。 スイスからの応援で来てもらったマリアだ。 銃の腕は抜群だよ」
「マリアです、よろしく」
マリアは軽く微笑むと、ジョーの横に座る。
人形みたいだな。
「ハ、ハヤトです、よろしくお願いします」
「・・・」
ん?
日置さんが無言でお辞儀をしていた。
緊張してるのかな?
それよりも、俺たちが部屋に入った時にベスタが教えてくれた。
日置さんもわかったようだ。
サラという女の人がナビゲーションシステムを持っているらしい。
ナビ同志での会話はすぐに終了したという。
お互いに干渉せずに協力しようということで落ち着いたみたいだった。
◇
<日置視点>
マリアと呼ばれた人が立ち上がった瞬間、村上さんが固まった。
わかるわ。
これって、村上さんの好みのタイプってことね。
村上さん、こういう人が好きなのかしら?
確かに、プロポーションはいいわね。
足も長いし、髪もサラサラ・・ポニーテールだけど。
透き通るような肌っていうのかしら。
私から見てもきれいだわ。
・・って、何これ?
妙な感覚。
なんでこんなザワザワするの?
ケンタウルスという魔物が怖いから?
・・・
わからない。
でも、変な感じだわ。
◇
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