第126話 早速出発のようだ


「フフフ・・村上君、彼女は緊張しているようだ。 ま、座ってくれたまえ」

俺と日置さんは向かい合って座っている。

「村上君・・まずは来てくれてありがとう。 早速だが、本題に入ろう・・」

・・・

・・

段議員が言うには、アメリカのダンジョンの調査にこの女の子、日置大和さんと一緒に行ってもらいたいという。

俺的には特に問題はないが、それにしてもおっさんがこんな女の子と行動を一緒にするって、大丈夫か?

それに、重要な情報がところどころ散りばめられている。

依頼してきたダンジョンだが、1度調査が失敗したという話があった。

そんなに深いダンジョンなのかと俺は思ったが、どうやらそうでもないらしい。

とにかく現地に行ってみてもらわないと、よくわからないという。

なんか、行き当たりばったりだよな・・大丈夫か?


「段議員・・私たちが危険と感じたら、命を優先して退避してもいいですか?」

俺は確認をする。

「フフ・・無論だよ、村上君。 今回の依頼というか尻ぬぐいというか、妙なタイミングで案件が来たのだ、取りあえず出席だけしておけば問題ないという立場だよ。 それだけで国としてのメンツは守られる。 ただ、中途半端なレベルの人を派遣すると、こちらとしても困るからね」

「・・了解しました」

俺は返事をしつつ思う。

俺にとって、もはや国同士の問題など、どうでもいい。

ただ、俺の見知った人たちの安全が確保されれば満足だ。

○○ダンジョンを深く進めていくのも、急ぐ必要もない。

それに他国のダンジョンというのに興味があるのは事実だ。

また、これによって段議員に恩を売っておけるだろう・・というより、何か役立つだろう。

とにかく、自分の命を優先でというお墨付きをいただければそれでいい。


俺たちの出発は、準備が整ったのならいつでも大丈夫ということだ。

日置さんはすでに準備万端らしい。

俺も特に持っていくものもない。

そういうわけで、政府専用機の待機している空港まで送ってくれるそうだ。

サービス満点だな。

俺と日置さんは専用車で送ってもらった。


<段議員>


ハヤトたちを見送ると、事務室で深く椅子に座る。

「ふぅ・・村上君、頑張ってくれたまえ。 何せ、あのヒーローのジョーですら失敗したと聞く。 アメリカとも付き合いを考えなければなるまい・・それには力が必要だが、まだ足りないな。 それよりも、日置家のじいさんは元気なようだな・・妖怪かね?」

段議員の言葉に秘書官が微笑む。

「先生、心苦しいですか?」

「いや、彼なら問題あるまい。 調査隊の人間も入れているし、東の連中も素直に政府専用機を貸し出してくれた。 アメリカとは揉めたくないようだ」

段議員が遠くを見つめる目線を作る。

秘書官は静かにコーヒーを淹れていた。


<空港までの車の中>


俺は、こんな女の子と何を話していいのかわからない。

日置さんも黙ってぎこちなく座っている。

「へ、日置さん・・」

「は、はいぃ!」

いや、そんなに驚かなくてもいいだろうに。

「確か・・調査隊で会ったよね?」

「は、はい、坂口団長に紹介されました」

「う、うん・・よ、よろしくね」

「は、はい、よろしくお願いします」

・・・

会話が終わってしまった。

妙に気まずい雰囲気を車内で俺は作ってしまったらしい。


<日置大和>


車の座席に座っている。

弓道の呼吸をして落ち着けようと必死だ。

キャー・・男の人と2人で車に・・いや、運転手がいるけど、私の座っている空間には2人っきりよ。

挨拶されたけど、どうやって返せばいいのよ。

わからないわ。

同級生とかなら、こんなに緊張しないはず。

でも、この人、前に調査隊で見たときに私のナビさんが教えてくれた。

とても不思議なナビを持っていると。

坂口団長も凄いナビさんを持っているって言ってたけど、タイプが違うみたい。

ど、どうしよう・・何を話せばいいのかしら?

ナビさんはさっきから返答してくれないし・・。

あぁ・・私の心のナビゲーションをしてよぉ~!


ヤマト

レベル:30

HP :500/500 

SP :534/534 

力  :375    

耐久 :506    

敏捷 :580    

技能 :582    

運  :63  

スキル:アルテミス4

    一射絶命☆

    月下美人4

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