第125話 見たことあるぞ!
<楠木班長たち>
「真田助教、村上さんの話・・本当かしら?」
「私は本当だと思います」
「神様・・でしょ? それに、ドラコニアンって・・そんな種族が地底にいるなんて・・他にも爬虫類系の生命体が人間社会に混じっている・・どうやって見分ければいいのかしら?」
「班長・・とにかく、我々は知ってしまったのです。 そして、強くならなければいけないということです」
真田助教は前向きなようだ。
「そうね・・強くなれば、少なくとも爬虫類系などにいいようにされないわね。 さて・・坂口君にも教えてあげなきゃ」
「班長、それと遷都の件ですが・・」
「えぇ、わかっているわ。 村上さんには、あぁ言ったけど、実際は東のシステムと西のシステムで対立だわね」
真田助教が黙ってうなずく。
「ほんとに・・同じ日本人だから仲良くできないのかしら・・って、普通の人たちは西のシステム派よね? できないのは、今までお金で動いていた人たちよ・・全く・・」
「はい・・」
真田助教と楠木班長が難しい顔をしてしばらく沈黙が続く。
そのうち、楠木班長はスッと立ち上がり、「ちょっと坂口君のところへ」と言って事務所を出て行った。
◇
<ハヤト>
俺は調査隊を出て、段議員に指定されたホテルに向かっていた。
「段議員・・このホテルのお得意様か?」
以前、パーティに招待されたホテルだった。
受付に行き、段議員の所在を聞く。
すると、受付が話しかけてきた。
「村上様ですね、お話は伺っております。 どうぞこちらへ」
受付の人が席を外し、俺をエレベーターに案内してくれる。
前はこんな感じではなかったが、セキュリティの関係か?
俺は素直に案内に従い、エレベーターに乗る。
指定階も受付が押してくれて、至れり尽くせりだ。
ピーン!
目的の階層の到着。
エレベーターのドアが開き、俺は一歩外へ出た。
すぐにガタイの良い黒服の男とスレンダーな女性が、俺に近寄ってくる。
「村上さんですね・・どうぞこちらへ」
ボディガードだろうか、微笑んでいるが俺を見定めている感じだ。
案内に任せて、とある部屋の前に到着。
ボディガードがドアを開けてくれた。
俺は軽く会釈してお礼を言い、中に入る。
「よく来てくれたね」
段議員が奥のソファーでゆっくりと立ち上がった。
◇
<〇〇ダンジョン内>
ヒロと呼ばれた男、爬虫類系の種族だ。
「えっと・・ヒロでいいか?」
「あぁ、呼び名はどうでもいい。 人族の呼び名で十分だ」
「ヒロ、お前・・俺たちの素性を漏らしたんじゃないだろうな」
ヒロの前を歩いていた男が爬虫類系の眼差しで見つめる。
「いや、そんなはずはない。 俺もエサには十分注意している。 人社会のシステムの外れ(点々)者たちの組織に潜入して連れて来ている。 問題は起きてないはずだ」
「そうだよな・・俺たちのコロニーでは失敗はないはずだ。 他のコロニーではわからないが、ドラコニアンなどに狙われたら・・生きていけないぞ」
「それはわかっている。 だから細心の注意を払っているんだが・・この妙なシステム変化で、人種族が強くなっているようなんだ」
ヒロが真剣な口調で話す。
「フフ・・確かに以前よりは強く感じるが・・それでも問題はあるまい」
「・・まぁ・・な」
ヒロは曖昧に答えつつ考えていた。
仲間に言っても理解は得られないかもしれない。
遊撃隊として地表で動くのは俺の役目だ。
コロニー内にいる連中には外のことは理解できないだろう。
そして注意しても、議題に挙げてもらえるかどうか。
一応は議会に報告はしておかなければいけないだろうな、人種族が強くなっていると。
ヒロたちは荷物を丁寧に抱えたまま、ダンジョンをゆっくりと歩いていく。
◇
<段議員>
俺は段議員に
ソファに座るように指示され、座ろうとした。
・・・
誰?
いや、見たことあるぞ。
ソファにちょこんと座っている女の子がいた。
「村上君とは初見だったかな?」
段議員の言葉に女の子が立ち上がる。
「え、えっと・・
女の子はそれだけ言うと、ソファに座ってしまった。
「は、はぁ・・あ、段先生、こんにちは・・それから日置さん、村上です」
俺が挨拶すると、また女の子は立ち上がる。
「は、はい、こ、こんにちは」
それだけ言うとまたソファに座る。
忙しい子だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます