第121話 勝手に進行していく
1時間後、会議室に遷都組の主要関係者が集まっていた。
段が挨拶をする。
「急な呼び出しに集まってもらい、ありがとう。 早速だが、2つの案件がある。 遷都に関してだが、どうやら東とは物別れになりそうだ。 こんなご時世に内乱などはお互いに起こしたくないのは了解済みだが、今まで通りのような交流はできなくなりそうだよ。 次にアメリカのジョーという
段の発言に議場がざわつく。
「先生、もともと西は独自でやらせもらってかまいません。 別に喧嘩しようってわけやあらへんですよ。 こっちはこっちで盛り上がってにぎやかになったらよろしい。 それよりもアメリカのダンジョンが何で関係あるんでっか?」
段は笑いながら答える。
「フフ・・まぁ、そういうことになるね。 アメリカの件だが、向こうとしてはダンジョンの情報が欲しいのだろうが、自分たちの仲間の血を無駄に流したくないのだろう。 そして、二番煎じで日本に指名が来たわけだ。 東の方からそれなりの戦力を出せば防御力が低下する。 同じ日本であるわけだし、我々の出方を伺ってきたということだろうね」
「段先生、それなら東の連中に任せればいいのでは? 調査隊の中から選出するといっても、こちらも防御力の低下は望むところではありません」
「それはお互い様だな。 こちらもやり過ぎた面がある。 中国軍を殲滅してしまっただろう。 力を示し過ぎたのが悪かったな・・ハハハ」
・・・
軽い口調で皆が話し合っていたが、明確な答えが出てこない。
段はしばらく聞いていたが、言葉を発する。
「うむ・・皆の意見はよくわかった。 ありがとう。 この件に関して、ワシに妙案がある。 こちらの戦力を削ることなく納得させられると思うよ。 任せてくれるかね?」
段の言葉に代替案があるわけでもなく、皆うなずくしかなかったようだ。
◇
<ハヤト>
自分の家に帰って来ていた。
身体をきれいにして、ベッドに横になる。
天井を見つめていた。
・・・
まさか、神様と出会うとは思わなかった。
それにドラコニアンなんて超人種がいるらしい。
日本の龍伝説なども、そんな種族との接触があったのかもしれない。
日本では西洋と違い、神様扱いだしな。
都市伝説で言われていたような爬虫類種なども実在するという。
既に地上に出てきて生活している者もいるとか。
見た目は俺達にはわからない。
ずっと今まで、知らない間に食べられたりしていたのかな?
・・・
知らぬが仏か・・怖いな。
俺たちにもレベルが付与されて、強くなることができるようになった。
これからは簡単には食べられないだろうし、戦いになるだろうか?
それにダンジョンの階層によって棲み分けがされているという。
そのうち遭遇するかもしれない。
・・・
ハヤトがいろいろと考えていると、電話が鳴っていた。
トゥルルル・・・。
ハヤトはスマホの画面を見る。
!
段議員だと?
なんで俺に?
ハヤトはそう思いつつも、電話に出る。
「はい、村上です・・」
・・・
・・
段からの電話の内容。
俺にアメリカに行って、ダンジョンの攻略に協力してほしいという。
話を聞いていると、どうも拒否権がない感じがする。
とにかく「はい」の返事をすることになった。
ふぅ・・全く、こんな国同士のバカ試合、騙しあい、駆け引きなんてどうでもいい。
もっと大きな脅威が足下にある。
いや、脅威どころではない。
そんな話をしても信じてもらえないだろうし、どうすることもできないだろう。
ただ、アメリカのダンジョンには興味があった。
それに、あのジョーが負傷した魔物。
神様の言っていた種族系統かもしれない。
・・・
とにかく、俺がすることは決まっている。
レベルを上げ続けて強くなることだ。
ドラコニアンに届くかどうかはわからないが、せめて爬虫類種などには勝ちたい。
文明レベルはどうすることもできないが。
・・・
そうだ!
楠木班長とかなら話せるかもしれない。
どうせ段議員のところへ行くついでに立ち寄れるだろう。
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます