第114話 都市伝説はリアルだったんだ!


人間、限界を超えると落ち着くのか? 開き直るのか?

俺は妙に冷静な自分を感じていた。

「ふぅ・・俺はハヤトですが・・いったい何が起こっているのでしょう?」

身体は動かないが、どうやら話すことはできるらしい。

『うんうん、落ち着いてくれたならいいよ』

裸の人がそういうと、俺の身体の硬直が解除された。

「かはっ!」


俺が身体をチェックしていると、裸の人が話しかけてくる。

『まずは自己紹介といこうか。 僕は管理者だよ』

管理者?

・・・

・・

!!


俺は目を大きく見開いていただろうか。

思わず前のめりになりながら、裸の人を見つめる。

『ハヤト君、そう見つめないでくれたまえ・・ん、君は案内人を持っているね、なるほど・・』

管理者という人は、パッと姿を変えた。

普通のカジュアルな服をその身に纏っていた。


『これでいいだろう。 さて、何から話したものか・・』

「あ、あの・・あなたは、その・・神様・・なんですか?」

俺はおそるおそる聞いてみる。

『う~ん・・君たちにとっては、その認識で間違ってないと思うよ』

・・・

なるほど・・現代社会をレベルのあるシステムに変更した張本人だな。

『嫌だなぁ、ハヤト君・・張本人だなんて』

神様とえて呼ぼう。

俺の考えはダダ漏れのようだ。

「す、すみません。 ですが、なぜこんなところに・・」

俺はどう言葉を紡いでいいかわからない。

『ここが一番住み心地がいいんだよね。 というか、動くのも久々なんだけど』

・・・

・・

神様がいろいろと説明してくれた。


神様と接触した人類は初めてだと。

世界にダンジョンはいろいろあるが、たまたま日本にいたということらしい。

・・・

・・

他愛ない話をいろいろとされたが、衝撃の事実を知ることになった。


『・・今、地球にはいろんな種族の知的生命体がいるわけだが・・』

神様は軽く説明する。

「知的生命体って・・人や猿ですか?」

『それもあるけど、はっきり言ってしまえば君たちよりも高度な文明を持った種族がいるってことだよ』

「・・それって、都市伝説なんかで話されている・・」

『その都市伝説っていうのが何か知らないが、まぁ太古から地底で生活圏を築いているからね』

「ち、地底?」

『地表だと、いろんな災害被害があるでしょ・・って、そんな話をするために接触したんじゃないよ。 君たちの地球がレベルシステムに置き換わったでしょ。 それで何とか捕食者と対抗できるまで育って欲しいんだよね』

・・・

・・

神様が言うには、宇宙には様々な種族がいるそうだ。

その中でも最強種と呼ばれているのがドラコニアンと呼ばれる龍種族らしい。


地球の物語にあるようなドラゴンそのままの形をした種族という。

知能も高く、戦闘能力も抜群に強い。

文明レベルも地球とは比べ物にならないくらい発達している。

後は、爬虫類系などを筆頭に様々な種族が存在しているという。

それら種族が地球の地下で暮らしているという。

ダンジョンも深く進めて行くと、そのうち遭遇するらしい。

それらの種族と対抗するためにレベルシステムを導入したそうだ。

あまりにも地球人は非力で、エサ状態過ぎるからだという。


その地球外種族もレベルによる恩恵はあるが、元々が強く、得られる経験値は微妙なようだ。

それに強者に逆らうようなことはしない種族らしい。

ドラコニアンを筆頭に、どうにか種族が滅ぼされないように共存しているという。

・・・

・・

『・・まぁ、あまりにも地球の表面種族では太刀打ちできないからね。 とはいえ僕の管理圏内では、彼らといえども、僕のシステムに従わなければならないから・・それに僕も干渉できないしね・・』

・・・

要は、地球人がエサのごとく蹂躙されることのないようにしたいらしい。

そして、都市伝説が何かでよくある航空機や船などの人の突然の行方不明事件。

もしかしたら、それらの異種族たちに捕食されたのかもしれないという。

そう考えると、ほんとに絶望的だよな。

また、最強種たるドラコニアンなどはレベル50くらいでないと、戦いにすらならないという。


『・・ま、君も頑張ってくれたまえ、アハハ・・。 さて、僕も久々に地表の文明を楽しんでみるかな』

「か、神様・・楽しむって・・私たちの世界に来るのですか?」

俺は思わず聞いていた。

『そうだよ。 別に何もしないけど、たまに自分も体感してみたくなるんだ。 君たちもゲームに入ってみたくなることない? そんな感覚だよ』

なんか、軽いノリだな神様って。

『アハハ・・ありがとう。 何でも体験してみなきゃね。 それじゃ、またね』

神様はそういうと、スタスタと歩いて行った。

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