第60話 ダンジョンへ


<日本>


ギルド・・日本も例外ではない。

ただ、先手を打つことが出来ていた。

内閣調査隊などが、自衛隊の地方連絡所や区役所、市役所、商工会などと情報交換していた。

日置大和などの旧家や元財閥系、この組織が大きく暗躍・・良い意味でだが。


小さなギルドができると、すぐに職員を派遣して吸収する。

吸収できなくとも、敵対することはない。

そして困った事案などがあれば、積極的に助力したりしていた。

その功あってか、日本のギルドネットワークは内閣調査隊が基軸となって運営されていた。

もっとも、それは表に出ることはない。

あくまで単なる『ギルド』として扱われていた。

内閣調査隊は参加させてもらっているという立ち位置だ。


<ハヤト>


素養検査も終わり、俺は素材班に配属となった。

各班ごとに集められ、それぞれの事務所? に移動する。

あの大橋というやつは、攻略組に組み込まれていたようだ。

知らんけど。


素材班には10名ほどがいる。

俺よりも先輩そうなのが3名と、後は同世代か若い連中だな。

ただ、見た目で判断すると、楠木教官のような例もある。

常に下手下手に出て行かなきゃな。

俺は密かにそう思う。


素材班のワークショップと言えばいいのか、事務所に集合している。

楠木教官が挨拶をする。

「おはようございます。 私がこの素材班の班長となります。 昨日、素養検査で直接会ったものもいますが、よろしくお願いします」

皆、楠木教官に注目していた。

その制服の上からもはっきりと分かる胸のボリューム。

とても破壊的だ。

そう思ったのは、俺だけではないだろう。

女性から見ても、抜群のスタイルだと思う。


「さて、早速ですがダンジョンに向かいます。 あなたたちのレベルであれば問題はないと思います。 政府が管理しているところですが、貴重な素材が手に入ります。 決して無理はしないでください。 ダンジョンは死が当たり前にやってきます。 素材班でも何人も亡くなっています。 私と助教がついて行きますが、よく指示に従ってください。 よろしくお願いします」

楠木教官が丁寧な口調で話していた。

すると、やや年配のおっさんが一歩前に出て来て付け加える。

「え~、死にたくなければ、我々の指示に従った方がいい。 楠木班長は優しい口調だが、しっかりと頭に叩き込んでおいてもらいたい。 では、出発する、何か質問は?」

・・・

俺達の中からは、誰も声が上がることはない。

「では、行くぞ」

おっさんの一声で皆が移動する。


ダンジョンまでは30分くらいの移動だそうだ。

マイクロバスで移動となる。

移動中にダンジョンの情報を教えてくれた。

攻略組によって今の所、5階層まではクリアしているそうだ。

だが、もっと深いダンジョンらしい。

それ以上の階層の攻略は進んでいない。

レベルが30を超える人たちが稀な存在だ。

なかなか難しいのだろう。

また、ダンジョンで現れる魔物はゲームのような魔物だという。

俺のところにいたような日本的なものはいないらしい。

神社じゃないからかな?

俺がそんなことを思うと、ベスタさんが即答えてくれた。

『ハヤト様、ご推察の通りだと思われます』


バスの中で、軽い自己紹介などをさせられた。

10名しかいないが、10名もいると思った方がいいのか。

班長からも教えられたが、毎回同じくらいの人数が入って来るが、半分くらいが途中でリタイアするらしい。

結構ハードな仕事らしく、皆疲弊するそうだ。

もちろん、亡くなる人もいる。

内閣調査隊も命がかかっているので、辞めたい人は無理に止めないらしい。

それに次々と希望者がいるのも事実だ。

ただ、人が育ちにくいのは間違いない。


自己紹介された中では、俺的には特に気になる人はいない。

ベスタさんも何も突っ込まないから問題ないだろう。

チャラいのはいない。

・・・

マイクロバスにしばらく揺られながら現場に到着。

説明の時に聞いていたが、まさか新宿の駅の下とは思わなかった。

災害用の大きな水路を作ったりしていた話もあったが、それよりも地下にあるそうだ。

バスから降り、地下鉄の通路を歩いて降りて行く。

そのまま作業用員通路に入り、そこからまた降りて行く。

しばらく歩くと、厳重な入口に突き当たった。

鋼鉄の柵だろうか、格子こうしで区切られた場所だ。

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