第28話 ナビって便利過ぎね?
「見た目がヤバいんだよなぁ・・どうしても一瞬ビビッてしまう。 俺が小心者だからかな」
俺はつぶやく。
「それに・・相手を見た瞬間にレベルなどがわかればいいんだがな・・」
俺はゲームみたいなことをさらにつぶやいていた。
『ハヤト様、見えるようにいたしましょうか?』
ナビが語りかけてきた。
「え? 見えるようにって・・どういうこと?」
『はい、行動に邪魔かと思い、私が表示情報などを提示しておりませんでした。 表示させてもよろしいですか?』
「ほ、ほんとか? う~ん・・でも、改めてそういわれると、いつも見えるのも邪魔かも・・でも、見えた方がいいしな・・」
優柔不断か!
・・
「ナビさん、では表示させてもらってもいいかな?」
『はい、了解しました。 それにいつでも非表示にもできますからね』
ナビが言う。
「な、なんて便利な機能なんだ、ナビさん。 ありがとう」
俺は驚きつつ感謝する。
すぐにオークの頭の横にレベルが表示された。
レベル9。
これが2体いる。
・・
問題ないな。
舐めているわけではない。
ただ、俺とのレベル差がある。
俺はレベル12だ。
◇
<中国>
大きな王宮のような場所にレベルの発現が確認された人たちが集められていた。
当初の情報では30名以上が存在していると言われていたが、実際集まったものたちは22名だった。
「・・まさか俺がこんな場所に来られるとは・・」
「李、あなたのレベルは?」
・・・
集められたものたちが、それぞれ勝手に話をしていた。
すると、1人の男が壇上に向かってゆっくりと歩いていく。
壇上にマイクが設置されているようだ。
その前に行き、言葉を発する。
「諸君、よくぞ集まってくれた。 君たちは、我が国の英雄となるべく選ばれた人たちだ。 これからよろしく頼む」
はっきりとした言葉で、誰の耳にも響いたようだ。
その言葉だけを発すると、壇上の後ろの椅子に腰かけた。
すぐに違う男の人がマイクの前に進み出る。
「え~、今、国家元首からお言葉をいただきました。 ありがとうございます。 同じことを繰り返しますが、ここに集まってくださった方々には、我が国が全力を挙げてその待遇を保証します・・」
・・・
・・
要は中国のためにその身を捧げろという内容だが、特別待遇により家族の生活も保証するというものだった。
集められた者たちは、初めの言葉を発した人物が現役の国家元首だとは思ってもみなかった。
だが、その事実が分かると極度に緊張するものや感動するものがいた。
集められたものたちは一種の熱気を帯びていただろう。
成功だ。
国家元首と行政官はうなずく。
◇
<ハヤト:ダンジョン3階層>
オークを狩りつつ、ほとんど危険な状態になることはなかった。
ナビの支援は絶大だ。
これほど便利な機能とは思ってもみなかった。
誰でも単に初心者のチュートリアルだと思うスキルだろう。
それに、レベルが上がるに従って自分のための強化できるスキルが提示される。
その誘惑に逆らえないと思う。
俺みたく、ほとんど世捨て人のような性格でなければ無理じゃないか?
そんなことを思ってみる。
・・・
さて、俺は3階層のボス部屋の前に来ていた。
今まで現れた敵はオークやハイオークといった魔物だった。
オークは問題ないが、ハイオークになると少し知性があるのだろう。
魔物同士で連携して攻撃をしかけてくる。
さすがに無傷とはいかないが、見切りと回復で問題ない。
そのためにボス部屋の前で自分の体力を回復させているところだった。
こればかりは時間が必要らしい。
それにレベルが1つ上がっていた。
レベル:13
HP :176/209
SP :165/210
力 :237
耐久 :230
敏捷 :272
技能 :236
運 :63
スキル:パートナー2
看破1
回復2
俺はステータスを見ながら思う。
随分と上がったな。
それに『見切り10』となっていた。
俺は何気にスキルにタッチしてみた。
・・・
『
「・・ナビさん・・これって、見切りの上位版と思っていいのかな?」
わからなければ聞く。
『ハヤト様、そう
ナビが何やら意味深な答え方をする。
「ナビさん・・何か問題でもあるの?」
『いえ、そういう訳ではありません。 あまり詳しくはご説明できませんが、見切る前に予測といいますか、簡単な未来予測が可能となります』
「は? み、未来予測・・どういうこと?」
俺は予想外の回答に戸惑ってしまう。
『はい、相手の動きを見切るだけではなく、次の動きが把握できるかと思われます。 ただ、その確率が問題で・・相手の動き次第で確立が変化する可能性もございます。 万が一、こちらの判断が迷ってしまうかもしれません』
ナビが説明してくれた。
・・・
何やら妙なスキルだな。
つまり、情報があるがゆえに余計な判断が働いてしまうようなものか?
でも、見切りも備わっているって言ってたよな。
便利過ぎね?
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