第26話 群馬県


早速スキルの欄をタッチ。

「うおっ!」

スキルが結構表示されている。

『隠密』『縮地』『回復』『身体強化』。

全部で4種類か。

ただ・・俺の行動が反映されているとしか思えない。

他の人たちならば、また違ったスキルになるのだろう。

・・・

俺はしばらく考えていたが、決めた!

その前に、ナビに聞いてみよう。

「ナビ、残りのスキル枠を『回復』にしてみようと思っているのだが、どうだろうか?」

『回復・・ですか? 確かに、自分の怪我とか相手の怪我とかを回復させられるかもしれませんね』

「え? 自分以外にも使えるの?」

『おそらく大丈夫と思われます』

「それって、魔法じゃないの?」

俺は素直に聞いてみた。


『それは違うと思われます。 スキルポイントを使用して行使する個人の技ですから。 魔法とは違う認識ですが・・もしかすると、ハヤト様の世界では魔法と呼ばれているのかもしれません』

「なるほどなぁ・・やっぱ魔法みたいなものはあったんだな。 ファイアボールとか・・かっこよさそうだけど、どれほど役に立つかわからないし、自分の個人技を強化した方がメリットが大きい感じがするよな・・」

俺はブツブツつぶやいていた。

・・・

・・

しばらく考えていたが、やはり『回復』にすることにした。

俺みたいなソロで活動するタイプには必要なスキルだろう。

ただ、やはり不安なのでナビに問いかけてみる。


「ナビ、回復って方向で間違えてないかな? 俺、ソロで動くから・・」

『はい、自分の身体回復をご自身で行うのは、効率が良いと思われます。 それに私がついていますから・・また、このスキルは再取得も可能です』

ナビの最後の言葉に気持ちが軽くなった。

「ほんとか? 1回きりじゃないんだ」

俺の中から迷いが消える。

俺は最後のスキルを『回復』にした。


スキル:パートナー1

    見切り9

    回復1


そのまま俺は魔方陣に入って行く。

3階層に到着した。



世界に、レベルのある人間がいるということが少しずつだが認識されてきた。

アメリカのジョーを筆頭に、国が本気で調査を開始していたためだ。

強大国などは遠慮なく国家権力ちからを行使して捜索していた。


<群馬県>


4時25分。

畳の上で正座し、静かにたたずんでいる男がいる。

ゆっくりと目を開け、呼吸を確認する。

ステータスオープン。


キョウジ

レベル:8

HP :100/100 

SP :97/97 

力  :151    

耐久 :102   

敏捷 :125    

技能 :139   

運  :60  

スキル:ナビ7

    縮地6

    

「ふぅ・・さて、今日も行くか」

キョウジはゆっくりと立ち上がる。

畳の部屋から出ると、リビングに向かう。

昔ながらの造りの大きな邸宅。

リビングに入りながら挨拶をする。

「おはよう母さん」

「おはよう、キョウジ。 また、今から外へ出るの?」

「はい、自分のレベルを確認しつつ害獣を駆除してきます」

キョウジは微笑みながら答え、母の淹れてくれたお茶を飲む。

「それにしても、信じられないわね」

食卓に座っているキョウジを見ながら母親が語りかける。

「キョウジが・・ねぇ・・あのアメリカの大きな人と同じような能力を持っているなんて・・」


「母さん、それは違うと思うよ。 僕の能力は『縮地』といって、速さを追及したものだから・・それに案内係みたいなものもあるしね」

「うん、それは聞いたけど・・私たちには見えないからね・・でも、キョウジの動きや力を見ると、信じるしかないしね。 まぁ家族だけの秘密だけど」

母親の言葉にお互いに笑いだす。

「フフ・・そうだね、母さん。 凛も驚いていたけど、僕が神様に選ばれたなんてはしゃいでいるし・・」

「そりゃそうよ。 誰でも持っているようなものじゃないし・・でも、他にもまだ、いるのかしら?」

母親は漠然と話す。

「そりゃいると思うよ、あのアメリカの人だけじゃなく、全世界でかなりの数がいるんじゃないかな? 僕も最初は夢じゃないかと思ったけど、実際頭の中に声が響くし、いろいろ教えてくれるからね」

「フフフ・・キョウジのボーッとしている姿を見ていると、変な子だけどね」

「確かに、変な人だよね・・ブツブツしゃべってるんだから」

「でも、キョウジ・・無理はしないでね。 生きていてこそ人生があるのだから」

「はい・・わかっています」

キョウジはお茶を飲み終えると、席を立つ。

「では、行ってきます」

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