第24話 ダンジョン2階層のボス


<アメリカ>


レベルのある者たちは、実際にジョーと会えたりして、それなりに楽しい時間を過ごせたようだ。

しばらくして解散となる。

行政支援の要らない者たちは帰宅した。

残留者は、政府が用意している施設に移動となる。


「ふぅ・・疲れたね」

「はい、班長もお疲れ様でした」

「うむ・・君たちもご苦労だったね」

「いえいえ、私たちは8人ほどしか面接してませんから」

「それでも大変だったね。 私としてはもっと少ない人数かと思ったが、まさか37人も残ってくれるとは、思ってもみなかったよ」

「えぇ、全くです。 ですが、残った人たちがみんなジョーのようになるのでしょうか?」

行政官たちは疲れた顔で会話をしていた。

「それはわからない。 だが、私としてはそう願っている。 ジョーの出現以来、世界のパワーバランスは変わっただろう。 もはや鉄の兵器などの運用の時代は終わったと言っていい。 彼ら個人の力で軍事力となる。 扱いには注意が必要だが、よりよい教育をして我が国に貢献してもらいたいものだよ」

班長と呼ばれた男が苦笑する。


<ハヤト>


2階層の攻略。

脅威となりそうな魔物は現れていない。

ナビのおかげでかなり楽に進める。

出てくる魔物と言えば、ゴブリンジェネラルとかコボルト、それに小天狗などというものがいる。

何か日本的だな。

小天狗は小さな槍を持っており、飛びながら突き刺してくる感じだ。

ただ、俺のスキル、『見切り』があるおかげで、躱すのはどうということはない。


「ナビ・・この先が2階層のボスなんだよな?」

『はい、その通りです』

「どんなボスがいるのだろう?」

『さぁ、それは私もわかりませんが、この階層に出てくる種族から判断しますと、コボルトか小天狗などの上位種辺りでしょうか』

ナビが答えてくれる。


2階層を進んでいると、俺もレベルが1つ上がった。


ハヤト

レベル:11

HP :146/158 

SP :135/156 

力  :196    

耐久 :178   

敏捷 :212    

技能 :184   

運  :63   

スキル:ナビ9

    見切り8


なかなかレベルが上がらなくなってきている。

だからといって、こんな時に無理に進むと、おそらく詰む。

今日、初めてダンジョンなんかに入ったんだ。

2階層も進めば十分だろう。

ナビは3階層までは問題ないと言ってくれたが。

とにかく、2階層のボスをクリアしてから考えよう。

俺がそんなことを思っていると、ナビが答えてくれる。

『ハヤト様、このボスをクリアすれば確実にレベルが上がると思われます』

「マジか?」

俺は少しワクワクした。

ゲームじゃないが、リアルに自分の成長を感じると嬉しい。

ただ、リセットなどはないが。


さて、気を引き締めて行くか。

俺はゆっくりとボス部屋の扉を開ける。

音もなく、大きな扉が開かれていく。

俺が中に入ると、ゆっくりと扉は閉じらた。

『ハヤト様、敵がいます』

「うん、わかっている」

俺の前方、椅子に座って片肘で顎を支え、ゆったりと偉そうに座っているブタがいた。

その両脇にはコボルトの上位種だろうか。

汚い布を纏い、それぞれが弓のようなものを持っている。

全部で3体か。

・・

「・・オークか?」

『はい、オークですね』

「ナビさん、さっきはコボルトとかの上位種かもって言ってなかったっけ?」

『はい、上位種みたいなものもいるようですが、それよりも前方の敵を倒しましょう』

・・・

俺に言葉はない。

まぁ、何にせよ倒すか倒されるしかないのだから。

だが、倒されるわけにはいかない。


「オーク・・レベルはいくつ位なのだろう」

俺は思わずつぶやいていた。

『ハヤト様、オークのレベルは9です。 コボルトの上位種、コボルトハンターですね、これはレベル8です』

「え? ナ、ナビさん、相手のレベルってわかるの?」

俺は驚いた。

これって鑑定スキルか何か必要なんじゃないの?

『はい、ある程度ならば判別が可能です』

「ナビさんって、万能スキルですか?」

俺はうれしくなってきた。

『ハヤト様、今は敵を倒しましょう』

ナビに注意を受ける。

「り、了解」


オークが立ち上がり、ゆっくりと俺に向かって歩き出す。

コボルトハンターがその動きに伴って、俺に向けて矢をつがえていた。

グォォォォオオオオ!!!

オークが吠える。

同時にコボルトハンターが矢を放つ。

『ハヤト様、あの矢は毒矢です』

「え?」

ナビがの声に一瞬ビクッとなったが、矢の動きがよく見える。

俺は危なげなく躱す。

「こ、このぉ」

そのままコボルトハンターに向かって一気にダッシュ。

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