第21話 第1階層のボス


<アメリカ>


ジョーを筆頭に、次々とレベルのある存在が確認されてきた。

皆、ジョーのところへ集まってくる。

まるで正義のヒーローになったかのような感覚だ。

ジョーは政府公認の存在となり、政府が用意した宿舎で暮らしていた。

大きな迎賓館のような建物。

ジョーはレベル14になっていた。


ジョー

レベル:14

HP :248/258 

SP :232/245 

力  :245     

耐久 :258     

敏捷 :185     

技能 :192    

運  :58   

スキル:アイアンマン8

    ストレングズ9

    サーチ9


「ふむ・・レベル14になったか。 スキルも予想ならば、後1つ上がれば進化するだろう。 さて・・」

ジョーはステータス画面を閉じると館の外へ出た。

前に広がる庭園に、結構な数の人が集まってきている。

皆、レベルのある人間たちだ。

ジョーが庭に現れると、場がざわつく。

「おい、ジョーが出てきたぞ」

「ほんとにいたんだな」

「あぁ、ジョー様・・」

「我が国のヒーロー・・」

・・・

・・

ジョーが微笑みながら話しかける。

「諸君、ようこそ。 ここに集まっているということは、レベルの存在を確認している人たちだと思う」

ジョーは一同を見渡して続ける。

「私は、ジョーという。 今、レベルは14になったところだ」

ジョーのその言葉に反応する。

「おぉ・・まさかそんなレベルに・・」

「超人だ」

・・・

・・

ジョーが両手を挙げて、場を静かにさせる。


「諸君、誰でも私のレベルまでは上がることができる。 ただ少しの努力が必要だが。 それよりも、君たちは何のためにレベルを上げようと思っているのかね?」

ジョーは問うた。

庭ではザワザワとするだけで答えが返ってくることはない。

ジョーが言葉を出す。

「私は、天の啓示に従う。 このレベルは我が自由の国を自由たらしめるために与えられた能力だと。 他の人種を見下すのではない。 我々は選ばれた人間なのだ。 その責務を私は果たしたい。 誰のためでもない、自分のために・・そして、その生まれ育った国や仲間のために。 今の私の持っている善悪の判断に従い、悪を滅ぼし純粋なる人、そしてアメリカ国民が生きやすい環境を作る。 単純だが、私はそう思って行動している」

ジョーの演説を聞き、ほとんどの者は同調していた。

中には聞き流すものもいたが、敵対するようなものはいない。

・・・

そして、この集まった集団の中にもやはりいた。

ナビゲーションシステムを選んだものが。

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アメリカでも遺跡にダンジョンがあることが判明し、皆が協力して攻略するようになる。

だが、これは機密扱いの案件になり、政府が介入して行われるようになる。

まだ少し先の話だ。


<ハヤト>


俺はナビと共にダンジョンを進んでいる。

かなり奥まで進んだと思う。

光は届いていないようだが、見えないような環境ではない。

不思議だ。

1階層で出てくる魔物は、ゴブリンとバットばかりだった。

なるほど本当にゲームのような感じになっている。

レベルもあれから1つ上がり、今はレベル9になっていた。

そして、今目の前に大きな壁のような扉がある。

『ハヤト様、1階層のボスのエリアだと思われます』

「・・なるほど・・本当にゲームのような仕様だな。 で、この中に1階層のボスがいるわけだな」

『はい』

「ナビさん・・俺で勝てるのかな?」

俺はいまいち自信がない。

『ハヤト様、問題ありません。 1階層かつこの神社のレベルであれば、それほど強い魔物は存在しません。 油断は禁物ですが・・』

「油断・・ね」

俺はそうつぶやくと、ゆっくりと扉に手を触れた。


それほど力も必要なく、扉は静かに開いて行く。

『ハヤト様、ボス部屋に入るとボスを倒さない限り脱出はできません』

「は? なぜこのタイミングで言う?」

俺は既に一歩足を踏み入れていた。

後戻りはできないらしい。

後ろを振り向いて一歩下がろうとしたが、透明の障壁のようなものがある。

俺は覚悟を決めて前を見つめる。

・・・

3匹いるな。

真ん中のゴブリンだが、何か頭に王冠のような帽子のようなものが乗っかっている。

『ハヤト様、真ん中のゴブリンですが、ゴブリンキングですね。 後は普通のゴブリンのようです』

「ゴブリンキング?」

『はい、ゴブリンの最上位種です。 問題ありません』

・・・

ナビさん、問題ありませんって・・。

俺は気を引き締める。

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