第9話 続くイノシシ狩り
<ハヤト>
岩陰を離れ、他にイノシシがいないかを探って行った。
山の奥へは行かずに、道が分かる範囲で移動する。
時間は13時40分。
いた!
イノシシだ。
先程のと大きさは変わらない。
さて、ナビが言うには、今の俺なら簡単に倒せるらしい。
・・・
そんな気持ちは、少しも沸き起こってこないが。
怖いんですけど。
『ハヤト様、大丈夫ですよ』
ナビがいきなり話しかけてきた。
こいつ、やっぱり俺の思考を読んでいるだろ?
「ナビ、本当に大丈夫なのか?」
俺は全く信用できない。
どう見ても迫力が違う。
さっきのイノシシよりも強そうだぞ。
『問題ありません。 手持ちの武器で十分倒せます』
ナビはきっぱりと言う。
そう言われても、はいそうですか、とイノシシの前に飛び出すことはできない。
レベルがたった2つ上がっただけで倒せるのか?
俺はゆっくりとイノシシの視界から外れ、やはり木に登った。
木の上からイノシシを眺めてみる。
・・
このイノシシはキョロキョロと辺りを探っているような感じがする。
俺はバックパックからスリングショットを取り出して石をセット、イノシシを狙う。
強く引き絞り・・放つ!
ビュン!
ドン!!
イノシシの頭に命中。
もう1度引き絞ろうとした・・ん?
イノシシの動きがおかしい。
右に左にヨロヨロとしているような感じがする。
取りあえず、俺はスリングショットを引き絞り・・放つ!
ビュン!
ドン!!
イノシシの耳の上辺りに命中。
イノシシが鳴き声を上げる気配はない。
俺は少し妙な違和感を感じながらイノシシを見ていると、イノシシがフラフラと横倒しになった。
え?
た、倒れたのか?
俺は取りあえず木を降りる。
そしてゆっくりとイノシシに近づいて行った。
・・・
なるほど、かなりのダメージを受けている感じがする。
!!
「そうか!」
これがレベルアップの恩恵か。
俺は少しうれしくなった。
さて、喜んでばかりもいられない。
俺はすぐにバックパックから杭を取り出して、イノシシの耳の下辺りにそっと杭を当てた。
ドン!
「ブヒィー!!」
うげぇ…なかなか慣れないな。
俺は先ほどと同じように鉈で杭を打ち込む。
ドン、ドン、ドン!
連続で杭を3本打ち込んだ。
『レベルが上がりました』
俺の頭に天の声が響く。
!
マ、マジか?
イノシシ1匹倒すと、レベルが上がるのか?
・・・
これはおいしい。
『ハヤト様、次のレベル上昇には最低でも2匹は必要かと思われます』
ナビがいきなり説明してくれる。
「な・・そ、そうか・・やはりゲームのような仕様なんだな。 でも、そのうちイノシシでは頭打ちなんだろうな」
俺はそうつぶやきながらも、また穴を掘っていた。
先程よりも軽く土が掘り起こせる。
すぐに大きな穴が完成。
イノシシを放り込み、土を被せる。
穴を塞ぎ、軽く踏み固めて周囲の岩を並べる。
枯れ葉や草などを持ってきて、わからないようにした。
・・・
やっぱ、変なドラマのワンシーンが頭をよぎる。
ち、違うからな。
俺は自分に言い聞かせる。
さてと、ステータスを確認。
ハヤト
レベル:5
HP :55/75
SP :72/72
力 :76
耐久 :63
敏捷 :75
技能 :78
運 :62
スキル:ナビ2
選択可
なるほど・・レベル1アップにつき、基本数値が15~20くらいの範囲で上がっている感じがする。
どんな仕様なのかわからないが。
スキルも確かに成長しているようだ。
ナビが2になっている。
それに選択可とある。
俺はそこにタッチしてみた。
取得できるスキルが表示される。
『隠蔽』『見切り』『身体強化』
おぉ・・新しいスキルが表示されている。
う~ん・・どれがいいのかな?
どれも欲しい。
ただ、後一つの枠だ。
・・
あれ?
『探索』の項目がない。
俺がそう思って見ていると、ナビが話しかけてくる。
『ハヤト様、探索スキルですが、私の機能と重なるところがあるので、表示されないのでしょう』
「え? マジ? ナビって、そんな優秀なシステムなの?」
俺は驚いた。
ただ単に、初心者のチュートリアル程度だと思っていたのに。
まぁ、スキル枠2つも使うから、凝った設定になっているのかもな?
ちなみに、アメリカのジョーは成長速度が早すぎたため、他のスキルが強烈に感じ、実際に強くなるにはナビシステムなどは不要と判断したようだ。
ナビの有用性を理解する間もなかったのだろう。
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