第8話 ジョー
俺はかなり脱力感を感じながらも、取りあえず現状を受け入れた。
「なぁ、ナビ、さっきのイノシシだが、経験値ってかなりのものなのか?」
『そうですね、今のハヤト様ならレベルアップするのには適していると思われます』
「そ、そうか・・」
時間もまだまだあるし、もう1度現場に戻ってみるか。
俺はまた山に入りながら、ステータスのことについていくつかナビに質問してみた。
ナビの横に1と表示されている。
『スキルは成長致します。 10になると、使用者の状態に合わせて、上位に変換か他のスキルと統合されたりします』
・・・
・・
いろいろとナビが教えてくれる。
案外便利だな。
そう思いつつも、世界システムに関することには『お答えできません』の返答だ。
大丈夫か?
そういえば、あのアメリカ人もナビを持っているのだろうか?
ナビは『お答えできません』だったが。
イノシシを仕留めた現場に戻って来た。
・・・
改めてイノシシを見てみる。
「う~ん・・えげつないな」
イノシシに杭が刺さった状態で倒れている。
そりゃ、絶命するだろう。
だが、このままにしてよいわけがない。
誰かが山に入ってきて騒がれても困る。
俺は穴を掘ろうと思い、バックパックからスコップを取り出す。
!!
ん?
手持ちの小さなスコップだが、サクサクと土が掘れる。
「えらく簡単に土が掘れるな・・まるで砂場で遊んでいるようだ」
俺は思わずつぶやいた。
『はい、ハヤト様のレベルが上がったからですね。 そして、おそらくこのイノシシ程度ならば、軽く倒せると思われます』
ナビが勝手に答えてくれた。
「ほ、ほんとか? でも、こんな大きなイノシシだぞ・・怖いな」
俺は土を掘りながらブツブツとつぶやいていた。
間もなくして大きな穴が掘れた。
イノシシをその穴に落とし込む。
俺が思っていたよりも軽い感じがした。
上から土を被せる。
埋めたところを足で踏み固めて、周りの岩などを並べた。
近くの落ち葉や草なども集めて、パッと見には周りの景色と変わらない感じになった。
よくドラマとかである、死体を埋める犯人のような感じがした。
・・・
俺は頭を振る。
「ち、違うからな・・とにかくこれでヨシっと・・」
時間は12時。
確かこの岩陰にいたんだよな。
俺は恐る恐る岩陰を覗き込む。
!!
そこには小さなウリボウが2体横たわっていた。
・・・
なるほどな。
親かどうかわからないが、倒したイノシシの仲間だったのだろうか。
執拗に現場から動かなかったものな。
なんか悪いことをしたような、妙な罪悪感とまでいかないまでも、複雑な心境になった。
俺は息をゆっくりと吐きだす。
「ふぅ・・・」
両手で
「よし!」
考えても仕方ない。
もしかしたら、俺が逆に
さて、他にいないかな?
俺は完全に切り替えて、次のターゲットを探す。
◇
<アメリカのヒーロー>
「ジョー、調子はどうだい?」
ジョーと呼ばれた男が振り向いて肩をすくめる。
「ダメだね、全然成長しないよ。 こりゃ、ミサイルか核爆弾でもなきゃダメかもね」
「おいおい、物騒なことを言ってくれるなよ。 それにいくら強くなったからって、放射線はダメだろう」
「どうかな? 案外大丈夫かもしれないぜ。 何せ、本当に銃弾でも傷つかないんだぜ」
ジョーはニヤッと笑うと、自分のステータスを確認していた。
ジョー
レベル:12
HP :208/218
SP :212/212
力 :205
耐久 :228
敏捷 :155
技能 :162
運 :58
スキル:アイアンマン2
ストレングス7
サーチ7
ジョーは思う。
初めにあったナビゲーションシステム。
たった3つしかないスキル枠の2つを占有する。
もっと素晴らしい効果があるのかと思っていたが、どうも本当に案内だけのようだ。
ならば他のスキルに変更した方がいい。
レベルが上がるにつれて、色々と面白いスキルが現れる。
ナビテーションを廃棄して2つのスキルを取得。
身体強化のスキルは初めからあった。
それが10になり、レベルアップと同時にアイアンマンなどというものに変化した。
それにスキルレベルが上がるにつれて、自分の身体が強くなるのを感じる。
敏捷性の伸びが悪いが、問題ない。
本当にスー〇ーマンだ。
また、車など機械を破壊してもレベルが上がるような気配はない。
それに、
ただ、銃などの弾丸を受けると、耐久度が上がるのを感じたが、限界があるようだ。
さて、次なる進化のステージには何が良いだろうか?
ジョーは、そんなことを考えながら空を見上げる。
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます