第4話 目標


あれから1週間。

俺のルーティンにほとんど変化はない。

午前中は自己鍛錬に終始している。

身体は以前よりも筋肉がついた気がする。

ただ、ステータスだ。

ほんの少しだが、微妙に変化している。

レベルアップはしていない。


ハヤト

レベル:2

HP :28/28 

SP :22/22 

力  :28     

耐久 :18     

敏捷 :20     

技能 :19    

運  :61   

スキル:未取得


俺はステータスを見ながら苦笑する。

「フフ・・いったい何だったのだろうな。 でも、ステータス画面は見ることができている。 明らかに普通の人間ではない」

そんなことを考えながらも、心折れることなく修練を続ける。

そんな中、テレビのニュースで衝撃な事件があった。

アメリカの話だ。


何でもスー〇ーマンが現れたというものだった。

まずは映像を見て驚いた。

車を素手でひっくり返す。

拳銃の弾丸も、腕でガードすると傷つけれないようだ。

笑顔で立っていた。

少し顔が引きつっているような気がしたのは気のせいか?

映像でしか見ていないが、まるで映画だ。


その人のインタビューも配信された。

何でも、神様からの天啓を受けたそうだ。

まるでゲームのようなことができるという。

たまたま凶悪犯罪が街中で起こっていた。

カーチェイスの上、3人の犯人が壁に衝突した車の中からヨロヨロと出てくる。

その現場に居合わせたこのスー〇ーマンは、自分は神によって選ばれたヒーローなんだと思い、持っていた銃で犯人を射殺。

何と、頭の中に声が聞こえたという。

『レベルが上がりました』と。


これは神の奇跡だと感じ、積極的に凶悪事件に介入していくうちに、レベルが上がり、今はレベル10だという。

「まぁ、君たちに言っても理解できないだろうが、人にレベルが与えられているんだ。 僕以外は利用できないみたいだけど」

などと、完全に余裕かつ上から目線で話していた。



俺はテレビを見て、思わずつぶやいていた。

「やっぱりいたんだ・・それにレベル10って、凄いな・・というか・・悔しいな」

やっぱ、人を倒すとレベルが上がるんだ。

俺なんてレベル2だぞ。

でもなぁ・・そんな簡単に人を殺せるような社会じゃないし、日本は。

ただ、凶悪犯罪者なら、今の俺でも良心の呵責はないだろうと思う。

実際には社会のルールが許さないだろうが。


それにしても、アメリカという国は平気でこういった情報を公開するんだな。

俺ならしないぞ。

できるだけ目立たないようにしたい。

でも、この人は活き活きとしている感じがする。

・・・

俺はゴロンと横になると、天井を向く。


「はぁ・・自己鍛錬でレベル10までか・・遠すぎる」

ゆっくりと身体を起こし、今のニュースを考えてみる。

待てよ・・レベル10。

ここまで成長すると、銃弾では身体が傷つかないんだな。

それにパワーも上がるようだ。

俺は、あまりにも衝撃なニュースだったので思い至らなかったが、考えてみれば可能性はある。

俺もそのシステムを持っているのだから。

俺は身体に力がみなぎってくる感じがした。


ただなぁ・・その経験値というか、それが得られる機会が少ないのは間違いない。

それに、自分のレベルが上がって来ると、いくら犯罪者を倒したところで頭打ちじゃないのか?


後にハヤトの予想は的中することになる。



俺の性格だろうか。

このスー〇ーマンのニュースを見ても、確かに悔しいが、如何と云う事は無い。

只、世界にはこの人だけじゃ無いだろうと推察する事はできた。

それに、取りあえずレベル10が目標となったのも事実だ。

俺が考えれる限り、超人の領域だ。


そんな領域に到達できる可能性があるだけで、うれしい限りだ。

弾丸で身体が傷つかないって凄いことじゃないか。

おそらく人の武器で倒されることはない。

俺の頭にチラッとよからぬ妄想がよぎる。

テンプレな銃で脅す輩を倒すシーン。

・・・

俺は頭を軽く振る。

いかん、いかん・・まだレベル2だぞ。

どうしろというんだ。

・・・

取りあえず、俺の考えれることは自己鍛錬しかない。

熊なんか討伐したら、レベルが上がるのだろうか?

フトそんなことが頭の中をよぎる。


<アメリカの超人ニュースから1週間経過>


ステータスもレベル2のままだ。

ただ、基本数値が少しずつだが増加しているのは間違いない。

まだ実感できない程度だが。


仕事を終えて、家に帰ってきている。

洗濯から歯磨きまで終わり、後は寝るだけだ。

明日は休みになっている。

週に3日は休みがある。

さて、明日はに山に行ってみよう。


<余談>


アメリカのスー〇ーマン。

拳銃で撃たれるシーンの撮影後。

「ジョー、本当に拳銃を弾くんだね。 凄いや」

「・・ふぅ・・実際は痛いんだよ」

ジョーは苦笑いをしながら言う。

「でも、身体に入っていかないってだけでもスー〇ーマンだぜ」

「・・まぁ、僕のスキルに身体強化っていうのがあるからね。 それに特に腕に集中しているから・・これを見てくれよ」

ジョーはそう言って腕を見せた。

撮影者は口笛を鳴らし、驚いていた。

「ヒュー! 腕に弾丸の後があるんだね。 痛そうだ」

「まぁね・・超人といってもこんなものだよ。 ただ・・レベルが上がれば、どうなるかわからないが」

ジョーは答えながら腕を撫でていた。

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