第2話 創られた世界(序2)
取りあえずメールを放置して、俺は眠りにつく。
時間は4時50分。
俺の朝は早い方だ。
起きて、布団をたたむ。
軽く口を
朝食は決まっている。
まずはお茶を飲み、味噌汁を1杯。
後はコーヒーを飲み、ヨーグルトを食べて終わりだ。
さて、昨日の妙なメール・・夢じゃないよな?
俺はそう思い、携帯のメールボックスを見る。
受信箱にやはりある。
・・・
いったい何なのだろう?
送り先もないのに届いているメール。
高度な詐欺集団でもいるのだろうか。
わからないが、携帯も普通に動いているようだし、取りあえずは放置でいいだろう。
削除できないし。
◇
俺は仕事という仕事はしていない。
働いていないわけじゃない。
取りあえず昼過ぎに出勤する。
午前中は何をしているのかって?
自分のための時間だ。
親が亡くなった時に残してくれた遺産があり、それを投資に回している。
配当が年に100万円ほどある。
さて、仕事だが、21時30分頃までとあるドラッグストアで働いている。
アラフォーともなると、普通に就職はない。
世間では資格、資格とうるさい。
自分で言うのもなんだが、俺は普通に勉強はできる方だと思う。
登録販売員などという資格も、2ヵ月ほどの勉強で取得できた。
だが、この勉強が俺の一番嫌いなタイプだった。
ただの暗記。
そして問題はこちらの選択ミスを誘発するような質問ばかり。
ぶっちゃけ、数学のような問題の方が張り合いがある。
まぁいい。
この登録販売員の資格・・実際にはほとんど役立ってないんじゃないかとも感じる。
まぁ資格など、試験も含めて天下り組織の資金じゃないかと疑っている俺だ。
そして、そういうシステムを構築する立場にある人たちの
それが日本社会だろう。
まぁそれで生きて行けるのならいいだろうとは思う。
だが、格差が生まれて、努力だけではどうすることもできないのがしんどい。
「お疲れ様でしたぁ~」
ドラッグストアのみんなで挨拶を交わしながら、今日も終わった。
この会社はきっちりとしている。
サービス残業は皆無だ。
待遇もいい。
時給も1000円は超えている。
アルバイトとしては十分だろう。
ただね・・食べるために働くというのがしんどいと感じる。
これでは一生自分のために働くことができない。
どこかの政治家が言っていた。
ベーシックインカムを導入すると。
大賛成だ。
何故なら、食べるために働くことから解放される。
妙なコメンテイターが、それじゃ働かくなる人が増えるじゃないですか、と。
逆だ!
俺はテレビ向かって言葉を出していた。
みんなが自分のために働いてお金を得ることができる。
本当の仕事ができるんだ。
それにブラック企業なんかで働かなくても食べられる。
そして、自然とそんな企業が淘汰されていくだろう。
また、社会全体にお金がグルグルと回るようになる。
大きな経済が出来上がると、自然と海外からも投資が来るだろうと、
まだ、その社会は程遠いようだが。
俺は自宅に帰って来て、シャワーを浴びる。
軽く飲み物を飲むと、携帯を確認。
働いている間は携帯を見ることができない。
うわ・・メールが多い。
39件。
順次メールを確認していく。
・・・
特に重要なものはない、2件を除いては。
重要と言ってよいのかどうか。
例の、送付先がないメールが2件届いていた。
お昼の12時に1通。
『残り時間12時間です。 お早いご決断を。 こんなチャンスは2度とありません。 決定事項を受け入れますね? Yes or はい』
あなたの世界の神と呼ばれるものより。
続いてもう1件。
21時。
『お急ぎください。 残り3時間です。 あなたが決定しなければ、誰か他の人に権利が移行されます。 本当にもったいない話です。 決定でよろしいですね? Yes or はい』
あなたの世界の神と呼ばれるものより。
俺はメールを見つめていた。
・・・
いったい何なのだ。
怪しさ150%じゃないか。
ただ、送付先がないのが理解できない。
アドレスが存在しないのに、送られてくる。
いったい何だ?
プログラムの知識なんかないし・・ふ・・ふわ・・ふわっくしょん!
思わずくしゃみをしてしまった。
あ!!
くしゃみと同時に携帯を落としそうになった。
思わず手が出て携帯を掴もうとしたのが悪かった?
いや、後でそれが良かったと思えるが、その瞬間は最悪な気分になっていた。
携帯を落とさないように手が出たまでは良かった。
だが、うまくキャッチできない。
手の平のところでフラフラとして安定しない。
「おっとっとと・・」
ガシッと携帯を掴む。
ピ!
携帯から音が聞こえた。
Yes or はい、の欄に親指が触れていた。
そして、その項目のところの色が白く変わる。
俺はそれを見ながらドキッとしていた。
し、しまったぁぁぁ!!
タ、タッチしてしまった。
あぁ・・どうすんだよ!
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