第1話 大切なもの

「ほら、1番さっさと動け!」


私は今奴隷として働いている。

私は償いとして底辺から人生をやり直すことになった。


「はい」

「たっく…コイツは目が開いてないから起きてんのか寝てんのかわかりゃしねぇ」


私の力は主に瞳に封じられていた。

瞳により感情が左右されるため私の力はこの瞳によって色々なものを従わせ、操ることが出来る。


ただ、この体が成長していくにつれ力が解放されてくる。


「恐らく体の年齢は5歳?」


そして転生して気づいたことは人間だった時の記憶が主に強く今の自我は人間だった時のが強かった。


だからといって前世のことは忘れた訳では無かった。

きっと力が解放された時私はその時の人格が強くなるだろう。


「それにしても…酷いなぁ」


年齢問わず奴隷は働かされる。

荷物仕事、掃除、性奴隷と。


「…殺しちゃダメかな?」

その時

『 まあ、落ち着け。大丈夫だから。この後どうやら助けが来るみたいだから殺すのはやめとけ。』


マケー様?


『 了解しました』


助け?


その時とても…懐かしく愛しい気配がした。


「…え」


前世私が大切にしていた愛し子の気配がした。


あの子も転生した?

いや、同じ魂だとしても気配は違うはずなのに


天使や悪魔と言った者は魂を見ることが出来る


「今世も変わらないのね。奴隷制度」


記憶持ち…。

それなら充分納得できる。


「ねぇ、マリー。ひとまず私あの子を買うわ」

「かしこまりました」

そして私は少女と目が合った。


「可哀想に…こんなに痩せ細って。」


私は思わず泣いてしまった。

聞きたかった。

今は幸せか、ちゃんと楽しく過ごせているか。

助けられなくてごめんと言いたかった。


それから私は少女…ソフィア・ローズ

彼女の屋敷、公爵邸に行くことになった。


「あなたの名前は?」

「私のことはエラとお呼びください」


本当の名前は…メイドがいるから伏せておこう


「エラ!可愛い名前ね!」


メイドは私を風呂に入れ、着替えを持ってきた


「はい、これに着替えて」

メイドは私の為にご飯を持ってくるから座ってと部屋から出ていった。


「ソフィア様…いや、レラあなたは今、幸せか?」


ソフィアは驚いた。

それはそうだろう。

生まれ変わった今、あなたがレラだと知るには無理だろう。見た目もちがければ髪色も違う。


「なんであなたが私の名前を?!」


「それはあなたが私の愛し子だからだ。昔に貴方に加護を与えた者と言ったら分かる?」


そしたらソフィアは泣き始めた。


「なんで…あの時助けてくれなかったの。どうして」


「…ごめん。神は直接地上に降りることが出来なければ手出しはできなかったんだ。あの時、私の加護が他の加護の力に及ばなかったのだろう。」


加護はその身に何かあった時に発動する。


「何も起こらなかったわ。何度も助けてと祈っても。」


え?


『 エステレラ、どうやら貴方の力を邪魔する何かがあったみたいなの。その「何か」が分からないの』


突然ピュシス様、生命と自然を司る神、創造神の声がした。


『 …原因は私の力が弱かったのでは無いのですか?』


『 いいえ、どうやらこれは邪神…いえ、まだ完全に邪神ではない「何か」が』



…なんということだ。そのせいで…レラが、レラが死んでしまったというのか?!


「エラ…いや、エステレラ様?」


はっ!力が放出してしまったみたいだ。


「エラでいい。レラ、私の加護が発動しなかったのはどうやら邪神に近い「何か」らしいんだ」


「何か?」


「それは未だ分かっていない。」

私は彼女に言った。


「私にあなたを守らせてくれないか?もう二度と大切なものを失いたくない」










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