第2話 餓鬼どもめ!

「昨日は炒飯、ありがと」

学校の自販機の前で、那実人なみとくんは礼を言った。


炒飯じゃなくピラフで、食生活的一番重要な大盛りサラダはスルーらしい。

まあ中2男子だし。


で、お礼に珈琲をおごってくれるらしい。

可愛い少年に奢られるのは格別だ♪


那実人くんは、カップタイプの自販機の、砂糖やミルクのボタンをじっと見つめた。

初めてのボタンタイプの自販機なのだろう。


那実人くんは、何度もわたしの顔を確認しながら、順調にわたし好みの珈琲を手に入れた。


出口にカップが降りて来ると、取だしわたしに渡した。

「良くできました」

「ん?まだ何か入ってる」

と那実人くんは、自販機の出口からオレンジ色のスマホを取り出した。


正確には雑にオレンジ色に塗装されたスマホだ。

塗装されたばかりのスマホを握った那実人くんの手が、オレンジ色に染まっていた。


だれじゃ!わたしの那実人の手にこんな事をする奴は!


「あ~それそれ、あったじゃん松山」

と言って来たのは、隣のクラスの嫌な感じの餓鬼ども。

嫌な感じの餓鬼どもの後ろには、松山くんが。


状況から考えて餓鬼どもが、松山くんのスマホを勝手に塗装し、自販機の出口に隠したのだ。餓鬼どもが、なぜそんな事をするのかは愚問だろう。餓鬼だからだ。


「良かったな松山、スマホがカッコよくかったな」

餓鬼どもと松山くんは、教室に帰って行った。



餓鬼どもめ!

わたしの松山くんになんて事を!



つづく 

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