2章 松の実事件
第1話 海風は優しく
1人暮らしの食生活が心配で、
「かすみちゃんの彼氏さん?可愛い~」
「彼氏とかそういうのじゃ・・・」
レストランでバイトをしてもらってる女子高生のひなたさんに、会ったのはついていた。中2男子の那実人くんは、可愛らしい女子高生の魅力に、ノックダウンだ。
しかーし!そこのJK!中2男子の腕に胸を押し付けない!
那実人くんは顔を赤らめ、動きがぎこちなくなっていた。
それには嫉妬はした。わたしだけの那実人くんだからだ!
うちのレストランに向かうバス亭は、新しいバスターミナルにはなく、旧館と呼ばれる古いバスターミナルにあった。
ひなたさんと那実人くんと古いバスターミナルでバスを待っていると、隣のクラスの松山くんが、離れた位置に座った。
松山くんは、隣のクラスだし話した事はないが、うちのレストランには家族で月1で来てくれる常連さんだ。その姿を見ると、優しい海風が吹いたような、爽やかな気分にさせた。観賞用に最適だ。
ひなたさんは、
「松山くんじゃん♪元気?」
と簡単に声を掛けた。
わたしには無理だわ。
代々頑固な料理人気質のわたしとちがって、ウェイトレス気質で人当たりの良いひなたさんは、モテるんだろうな。
松山くんは笑顔で、「どうも♪」ってひなたさんにお辞儀をして、ついでにわたしと那実人くんにも、お辞儀をした感じた。
皆、ひなたさんに対しては、素敵な笑顔をして返してくれる。
「いいな~ひなたさんは」と、わたしはひなたさんの腕をぎゅっと抱きしめた。
ひなたさんは、いつだってしあわせな香りがする。
松山くん動画配信者だと言う事を、わたしは知っていた。
【吟遊詩人松の実チャンネル】だ。
視聴者数は大体一桁だが、かなり痛い動画だと、数人の間で話題だ。
まあその痛さが心地よいのだ。
もちろんわたしは大大ファンだ♪それを彼は知らないけど♪
松山くんは、そんな痛い吟遊詩人の香りは全く出さず、わたしたちとは逆方向のバスが来ると、チラッとこちらを確認した後、バスに乗った。
不可思議な転校生の那実人くんに、興味があったのだろう。
でもその表情には何か影が落ち、優しい海風の雰囲気は感じなかった。
松山くんの乗ったバスが去ると、本物の海風が優しくそよぎ、わたしたちを心地良くしてくれた。
つづく へお越し頂けると嬉しいです♪ ルン♪ o(≧▽≦)o ルン♪
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