南西航路篇

潮風と新月

 松浦景治率いる艦隊は、坊ノ岬を迂回し太平洋に入る。目的地は敷島の海護財団本部、艦隊は速力を上げて翌明朝に到着する予定だった。


「黙祷」


 景治とイズナは夕暮れの海に黙祷を捧げた。およそ100年前、1945年この海で世界最大の戦艦が沈んだ。祖国の為に命を賭した彼らのことを、景治は偲んだ。


 景治「あなた達が守りたかったもの、今度は我々が守ります。」

 イズナ「これ以上レトキシラーデに蹂躙させません、この国を…この地球を。」


 その決意を改め、新月の海を景治たちは進む。


………


 少し時は遡る。この日の昼下がり、平戸の沖合にて、史上稀に見る巨大帆船と化したオーバーカムはその帆に風を受けて進む。


 光隆「進め!!」

 光音「思いの外、どうにかなるものなのね」


 マストの上に居る光隆が操舵手の光音に舵取りの方向を支持する形で船を動かす。その指示は単純明確かつ的確でこの船の速力を最大限に発揮できていた。


 光隆「どうだ、光音?」

 光音「まさかここまでスピードが出るとは思わなかったよ」


 光隆の横の小さなぬいぐるみが喋り出す。それは彼らの師匠、弓張興一が自ら封じ込まれた姿だった。


 こういち「バルバス・バウから気泡の膜が出て、水の抵抗を抑えてるんだ。スーパーキャビテーション、と言ったっけ」


 興一の解説にうなずく光隆と光音、その次に光隆は「なるほど、不思議泡って事か」と感覚で納得したようだ(論理で納得したとは言ってない)。


 陸唯「ところで光隆、この船で何処まで行くんだ?」

 一同「あ…」


 そう、ここまで漠然と「冒険したい」と思ってオーバーカムを動かしていた。しかしよく考えたら目的地を考えずに船を動かすのは、ある種バカとしか言いようがなかった。


 陸唯「おいおい考えてなかったのかよ」

 光隆「俺は冒険したいんだ、目的地なんて関係ねぇ」

 陸唯「お前なぁ…」

 掛瑠「じゃあこの今帰仁城(なきじんグスク)に行きたい!」

 陸唯「ニッチだなぁ」


 掛瑠がお城のガイドブックを引っ張り出して光隆に示す。


 チョウナ「五島沖の伊402の沈没地点は?」

 陸唯「いやもっとニッチなの出てきた」

 光隆「チョウナ、ちょっと見せて」


 光隆が端末を持ってマストから降りてくる。そしてチョウナがダイビングスポットのサイトを光隆に見せて、光隆が大体の場所を確認した。


 光隆「平戸の北を回って平島と江島の間を通る、そしたら多分ドンピシャだ」

 陸唯「海図は見たのか?」

 光隆「端末の地図しか見てないぜ。海図なんか見るより、だいたいの場所の見当つけて走ってく。それが海の男だ」

 陸唯「お…おう?」

 掛瑠「理解できません。確実な道を行くなら、海図を確認すべきです」

 光隆「それじゃあロマンがねえ、ロマンがない旅とか俺は嫌だぞ」


 これはある種の矜持だった。海と言う海が、陸という陸が調べ尽くされた現代に於いて光隆は先人たちが調べて記録されたものより、自分の目でも見て感じたかったのだろう。


 光音「映画でも予告編を見てから映画本編を見るけどネタバレは嫌。それと多分感覚は同じなんじゃないかな?」

 光隆「おう、多分そういう事だ!」

 光音「じゃあ、伊402の沈没海域に行くのね?」

 光隆「ああ、俺が岩礁を避けてみせるから操舵は任せるぞ!」

 光音「わかった」

 陸唯「操帆は任せろ!」


 帆が張られ、錨が巻き取られ滑り出すようにオーバーカムが進み始める。


 掛瑠「この近くに生月大橋があります。通れますか?」

 光隆「うーん、分からねえ!」

 陸唯「だめじゃねえか」

 光音「チョウナ」

 チョウナ「桁下31メートル、この船の高さは24メートルだけど水線引いて19メートル。余裕で行けます!!」

 光隆「このまま進む。風は南、帆の角度を左右8時-2時の方角にして!」

 陸唯「りょうかい!」

 掛瑠「こうですか?」

 有理「進め」


 キャンプスタンが廻され3つの横帆が連動、横からの風を一身に受ける。1番後ろの縦帆も左舷からの風を受けなびいている。


 光隆「すげえ、俺が…俺たちがこの船を動かしている。」


 彼の中に、LA15を操っている時とは違う、船を全員で操る一体感を感じていた。推定時速22ノットと言う帆船としてはかなりの速度で突き進む。そして…


 こういち「もうすぐ生月大橋だ、両サイドの島に近づき過ぎると岩礁と渦潮だ。用心して動かせよ」

 光隆「光音、行けるか?」

 光音「舵も通話も感度良好、光隆こそ風と波をしっかり読んでる?」

 光隆「当たり前だ、このまま行くぞ!!」


 全長1キロ近い巨大な橋の下を、雄大な帆船が通る。光隆はその1番高い見張り台でその橋の鉄骨が目と鼻の近くに迫る様子を、まじまじと見ゆ。

 それも本当にすれすれで、興一ですら背筋が凍ったと言う。


 だが、どうにか成し遂げた。

 海峡に吹く暖かな初夏の風が、彼らを祝福していた。


…………

……


 それから沖合いに出て、間も無く例の沈没船のポイントが迫る。その時にはもう、太陽は海原のへりにあった。


 光隆「多分ここら辺だ、潜るぞぉ!」

 有理「その前に、みんなもうヘトヘトみたいだよ」

 こういち「みんなはじめてなのに充分に頑張った。今日はここらで投錨して晩御飯にしたらどうだ?」

 光隆「そうだな、信之?」

 信之「うん、魚を釣ろう。光隆の潜水はズルだから禁止ですよ?」

 光隆「(´・ω・`)」


 そんなこんなで夕食を取るべく第一回オーバーカム甲板釣り大会が始まった。


 光隆「陸唯、光ってくれ」

 陸唯「はぁ!?あんたバカァ」


 光隆に虚を突かれた陸唯は流石に驚いて、ツンデレのテンプレの様なツッコミをしてしまう。


 陸唯「つつつつツンデレちゃうわ!」

 光隆「何に怒ってるんだ?」

 光音「陸唯が死んでも代わりはいるもの」

 カンナ「お黙り、陸唯は陸唯しか居ませんわ」

 光音「陸唯、カンナ。腹を切りなさい」

 陸唯・カンナ「宣戦布告って事で良いんだな(よくって?)」


 光隆は突然降って沸いた二人のノリについて行けずに困惑していた。


 掛瑠「確かに熱源は大概発光するから集魚灯にも使えるかもしれませんけどもさ…!」

 有理「いいんじゃないの、そう言うツッコミは野暮だからさ。釣りで決着つければ」

 掛瑠「そう言う有理も実はタンパク質の化学変化で発光させれるのでは…?」

 有理「試した、でもどうやらまだ無理。」


 二人が言い争ってる間に有理が一匹、信之が一匹釣っていた。


 信之「能力使うの禁止にしてよ…」

 掛瑠「強かれ弱かれ、我々全員能力者なんすがね…」

 信之「それは…はい。にしても進矢くんは何してるんだろう」


………


 話は坊ノ岬沖の景治艦隊に戻る。その艦隊の中でも特に大きな船「たいほう」、そしてその横に控える杵築級二段護衛空母の甲板上には引き揚げられた「キマイラオート」と鹵獲した「キマイラマトン」が横たわる。

 動かない様に雁字搦めにしてある鎖が、その装甲に擦れて時折火花が出ている。


 進矢「こいつが…本当に人間だったとでも言うのですか?」

 樒果「ネットで暴露しない事を条件に乗せる、この意味を返すとどう言う状況に置かれてるか分かる?」

 進矢「ええ。しかし…」

 樒果「故郷を襲った怪物が、人間であるなんて思えないよね。今うちの優秀な研究者が遺伝子と武装を解析してる、だからもう少し待って」

 進矢「分かりました、されどひとつ訂正したい事がございます。」

 樒果「なぁに?」

 進矢「この世で最も恐ろしい存在は、妖怪でもレトキシラーデでもなく、人間ですよ」


 樒果は彼に珈琲を差し入れて、一段目の甲板へと降りた。そこで副官で生物学の徒である横瀬と何やら熱い議論を交わしている様子だった。


 樒果「降りて来て」


 進矢にメガホンで呼びかけた後、樒果は手招きをした。


 横瀬「メットを取ってみ?」

 進矢「自分の腕力で行けますかね?」

 樒果「行けるって、ほら」


 樒果に言われるがまま進矢は重いキマイラオートのヘルメットを取る。するとそこには明らかに人間の顔ではない、少なくとも顔立ちや耳から推測するに、これは牛に近かった。


 進矢「牛…ですかね?」

 横瀬「そ、DNA的にも牛なんよ。面白くね?」

 樒果「いや全く。これじゃ牧畜産業がそっくりそのまま兵器生産事業に結び付いちゃう、控えめに言ってこれ作ってる元締めをシメなきゃ国際的なパワーバランスが崩れるわ」

 進矢「しかしこれは魔法動物では?魔法が使えるのは限られた人だけでしょうし…」


 樒果「その“限られた人”が大量生産をしているとしたら?」

 進矢「え…?」


 樒果は彼に諜報部からの資料を手渡す。それは財団がまだ掴めていない二足歩行兵器の導入件数に関するもので、2044年ごろから急に増えていることが分かった。


 進矢「これは…」

 樒果「特徴が一致する兵器はただ一つ、キマイラオート。マトンにするかは導入者との協議の上、運用方針を考えてる様ね。随分と汎用性と拡張性が高い」

 横瀬「そりゃ最低限人間の形してたらそうなるっしょ、少年?」

 進矢「ぼぼぼ僕ですか?まぁはい、人間のカタチなら人間の様に動ける可能性が高いですが…」


…………

……


 こういち「三人とも、釣れなかったと言うだけでそれだけかかるかい?」

 光音・カンナ・陸唯「すみませんでした」


 言い争っていた三人は制限時間内では全然釣れなかった様で、三人の争いの発端となり巻き込まれた光隆は4匹も釣っていた。


 掛瑠「…だから兄さんは陸唯に集魚灯の役割して欲しいって言ったんですよ。海の真ん中とかそこまで魚が集まりづらいんだから」

 有理「死体蹴りするのは良くないよ、掛ちゃん」


 光隆「取り敢えず焼いて食べようぜ」

 信之「ここは煮付けにしましょう、九州の麦味噌使ってさ!」

 こういち「いや、煮付けに九州味噌は合わない。普通に関東のものを使おう。麦味噌はオーソドックスに味噌汁にすると1番美味しいんだよ」

 チョウナ「ちょっと待って、まずここ…魔導実験艦だよね?」


 チョウナがこの魔法の魔の字も出てこない事に少し戦慄していた。ミリオタは艦種や車種などの種別にこだわる、取り分け彼女は魔法族唯一と言って良いミリオタ。そんな彼女が最も心配してた事、それは…


 信之「しまった、お米炊けてない!?」

 チョウナ「言わんこっちゃない、魔導実験艦の艦内じゃ電子機器は使えないし何なら冷蔵庫も…」

 掛瑠「これ冷蔵庫ちゃう、氷室や…富士樹海にある様なマグマの通り道が冷えて固まり洞窟になった様な場所にある、氷室や…」


 西洋の城の地下には大体倉庫や牢獄として使われる様な地下室がある様だが、それに似たものが掛瑠の目の前に広がっていた。


 チョウナ「うちの城の地下を真似して冷蔵庫を作ったのか…海護財団?」


 チョウナはこの事を知らなかった。親の仕事の事だろうと職員に何しているのかを聞かなかった。彼女は目の前で恥を晒した事に赤面する。


 こういち「言ってなかったのか…まぁドンマイ、ご飯にしよう」


 露天甲板(軍艦の場合は“かんぱん”・客船の場合は“こうはん”)に戻ると光隆を中心に飯盒炊飯の準備が進んでいて、ほかのみんなも魚を焼く準備をしていた。


 光隆「お前らも早く来いよ!」

 光音「お魚上手く捌けないや」

 有理「掛ちゃん、人手が足りないのこっち来て」


………


 飯盒炊飯の話をしよう。割と簡素なご飯の炊き方であり、それ故に火加減が肝心となってくる。支柱を立ててそれに竿を懸けて研いだお米と缶を竿に吊るし、その下で火を燃やして加熱する調理法である。

 この際におこげが缶の底に出来ることがあり、それが絶妙な美味しさが飯盒炊飯の醍醐味となっている。


 掛瑠「…待ってください、船の上で焚き火をするのは大丈夫なんですか?」

 こういち「大丈夫だ、問題ない」

 チョウナ「この船の材質って何でしたっけ?」

 こういち「トスミウム合金のチタンだ、カリブディスも同じものを使ってる。だからちょっとやそっとの熱じゃ支障は無いよ」


 光隆「よし、陸唯頼んだぞ!」

 陸唯「ヒートロッド・シャープ」


 陸唯は小さい枝を能力で発火させ、薪にくべた。薪は途端に燃え出し二つ吊るされた飯盒(飯盒炊飯で使う缶の事)が火に包まれる。


 光音「上手くいかない…」

 光隆「おお、これは!」

 信之「ちょっと、これムニエルにする筈だったのに…」


 掛瑠が釣った鯛の鱗取りをどうやら光音が失敗してしまったようだ。信之がプランを狂わされて頭を抱えてる一方、光隆は目をキラキラさせていた。


 光隆「今日は鯛茶漬けだな!」

 光音「ふぇ…?」

 信之「…わかりました、どうにかしてみます。二人は皿の用意を」


 光音は失敗に大きく頭を抱えていたが、光隆はそれを知ってか知らずか、はたまた単純に料理の工程を見て純粋にそう思ったのか、光音の事を責めることは無かった。


 光隆「そぉれ」

 信之「光隆!?」


 そして光音が出来なかった鱗取りを、水の能力により鱗をその身を分離させる事により成功させた。


 光音「能力に…そんな使い方が」

 光隆「さ、光音もやってみて」

 光音「遠心分離?」

 光隆「なのかな、ぎゅんってやってスパパってやれば出来たぜ」

 信之「もう少し分かりやすく言ったら…?」

 陸唯「なるほどわかった」

 チョウナ「同じく」

 こういち「せやな」


 カンナ「え…何ですの?」

 掛瑠「…分かるんですか?」

 有理「感覚で捉えるか論理で捉えるかの差かしら?」


 ある種アウトドア派とインドア派の物事の捉え方の違い、と言っていいかもしれない。だが名選手が名監督になり得る訳では無い、と言われるのもこの部分が大きいのかもしれない。


 信之「同時に身が引き締まったよ、ありがとう。さて水気をとって…」


 そんな事は彼らには関係ないとばかりに、それぞれの作業を再開した。

 しばらく経って、缶の中が沸々と音を立てていた。


 カンナ「何か鳴ってますけど大丈夫ですの?」

 有理「初めチョロチョロ中パッパ、赤子泣いても蓋取るな。だから今中パッパ状態かな」

 カンナ「それは何ですの?」

 光音「基礎教養、かな。お米を炊く時の戒めの一つで、日本人は幼稚園児でもこれを言える筈よ。多分意味を理解してないけど」


 その頃隣の焚き火では光隆と掛瑠、そして興一がお出汁を取っていた。鯛茶漬けを作る際に鯛の出汁がよく出るスープを作る必要があったからだ。

 そのスープには鴨肉や麺つゆを入れており、信之もそこにとても拘っている様子だった。


 光隆「どうだ掛瑠、興一さん?」

 掛瑠「これは…繊細で深い味です」

 こういち「あぁ…」


 チョウナ「シェフ、これお茶漬けと言うよりリゾットを作ろうとしてる?」

 信之「割と水加減が重要だし好みが分かれるんですよ。リゾット寄りが好きな人が居れば、スープ寄りが好きな人がいます。でも今日は、サラリと食べれた方が良さそうですね。」


 光隆「信之、見てくれ」

 信之「はいはい…これは、光隆はこれでいいの?」

 光隆「うちではサラッと食べてるぜ」

 信之「分かりました、ではもう少し味を濃くしましょ。」


 そう言うと信之は缶の中身を一瞥すると、麺つゆを大さじ一杯入れ蓋を閉じて団扇で火に空気を送る。その香りは、潮風に包まれて広がってゆく。


……………

……


 信之「よし、これで完成です」


 スープが完成した。すぐにみんながお皿を持ち出し、お米を有理とチョウナがよそって掛瑠と信之がスープをそれぞれの好みに合わせてかけてゆく。


 光隆「よぉし、いただきます!!」

 光音「はふはふ…美味しい、」

 有理「とても優しい味」

 掛瑠「あたたかい」


 信之「ここまで新鮮な鯛を食べれるとは…」

 カンナ「濃ゆいけどサラリとした舌触り、たても美味ですの。」

 チョウナ「スープに鯛の味がしみてて、ご飯と一緒に鯛の身を食べる。鯛を満喫するにはとても良いものだ…!」

 陸唯「ちょっと味噌かけていいか?」

 こういち「お?味変かな、ならばこの大島醤油をかけるといいぞ」

 陸唯「何すかそれ?」


 興一が出したもの、それは伊豆大島の醤油であった。島唐辛子を用いており、これに刺身を漬けたものが「べっこう寿司」と言われる伊豆大島の名産品だった。


 掛瑠「興一さん、何で長崎で伊豆大島の醤油を使うんですか?」

 有理「弓張の教えはどうなってるんだ教えは!」


 一部から痛烈な批判が出ているが、一口食べてみてほしい。実際に味が淡白な白身魚にこの大島醤油はベストマッチするのだ。


 陸唯「伊豆大島の醤油辛すぎだろ!!」

 こういち「でしょうね!!」


 実際に辛い。しかしそのピリ辛さがとても美味しい。コロッケやメンチカツ具材に混ぜても、刺身に付けて食べてもとても美味しいのだ。


………


 焚き火を囲み、食後にお茶を飲んでいた。岸からかなり離れた位置に船が浮かび、辺りは真っ暗だ。しかしそれが、新月の空に散りばめられた星々を見るのに1番いい状態であった。


 光隆「綺麗だ…」

 光音「本当に、きれい」


 ハンモックに寝転ぶ光音、その横のキャンプ用の折りたたみ椅子に座る光隆。彼らの頭上には満天の星空が浮かぶ。


 光音「あの星々が北斗七星、柄杓の桶の部分にある明るい2つの星の先にある星が…」

 光隆「もしかして、北極星?」


 光音「そうなの、おおぐま座は女神カリストとされてて、その息子のアルカスはこぐま座になったんだって。」

 光隆「そんな姿になっても、子供をしっかり見守るために北極星を付けたんだろうな」

 光音「そう…なのかもね、そう考えるのもいいなぁ。光隆、ありがとう」


 星空の下二人は吊るされたハンモックに寄り添い、共に夜空を眺めていた。夜風が二人の頬を撫でる、この夜空からの祝福なのだろうか。

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