第5話

 今日は俺の家で未来みらいとテスト勉強をしていた。いつものように数学課題を解いているのだが、ある一つの問題で手が止まってしまう。


「んー……これどうやって解くんだっけ?」


 かれこれ5分は悩んでいるだろうか。どこから手を付けていいのか分からない。


 すると隣で英語の教科書を読んでいた未来みらいが俺に近付いた。


「えっと、どれどれ〜……。あ~これ難しかったけど先週末に授業で解説されてなかった?」

「あー言われてみればそんなことがあった……ような?」

「どうせ寝てたんでしょ。仕方ないから私が教えてあげる!」

「いつも助かるよ」


 意気揚々と未来みらいがルーズリーフを出して問題を解説してくれる。この問題が終われば課題は残り一ページ分になる。


 未来みらいに見てもらってるからか、いいペースで課題が片付いていた。いつもテスト前の夜ふかしで終わらせてるが、今回はテスト前日もちゃんと眠れそうだ。




 ……目が覚める。また俺は夢を見ていたようだ。


 俺が見る夢は毎回1週間以内に起こっていた。つまり、今回も1週間以内に起きるのだが……。


『あ~これ難しかったけど先週末に授業で解説されてなかった?』


 一言一句俺は夢の内容を覚えることができる。だからこそ今回は違和感を持った。


 俺、この問題まだ知らないよな。先週の金曜日はちゃんと起きてた……はずだし。


 おそらく授業でもまだ習ってないはずだ。カバンから数学課題を取り出して確認する。まだ開いたことのないページに夢のものと同じ問題があった。


 今まで『予知夢』は俺の記憶から妄想が具現化したものだと思っていた。実際に夢の内容は俺が知っているものしかなかったし、前のテストは授業中の問題から抜粋されたものだ。


 一度は目にしたことがある問題だからこそ『予知夢』で出て、現実に反映されたのだと信じて疑わなかった。


 しかし今回に関しては俺が知らないことだ。数学の問題が俺の夢で解き方が変わるなんてことはあり得ないはず。


 今回の夢はただの夢なんだろうか。




 その疑問もその日のうちに解消されてしまった。


 四時限目の数学で夢の問題が出てきたのだ。


 おいおいおい……。


 流石に頭を抱えてしまう。本当に現実に起きてしまった。しかも未来みらいが言っていたように課題にあった問題と同じ内容だ。


 俺には予習をするという選択肢がまずない。勉強動画なども見たことないし、教科書類はテスト前まで全て置き勉している。


 じゃあ俺はどうやってこの問題を知ったんだ?


 それとも、本当に俺の無から生まれた妄想が現実に起きてしまったのか?


 そう思うと身震いする。即ちパンデミックの夢を見れば世界が恐怖し、俺が死ぬ夢を見れば俺が……。


 くそ、どうすればいいんだよ……。

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