第3話

 四時限目が終わり昼休みになった。俺と明人あきとは走って食堂に着くと弁当を広げる。


 弁当は教室で食えと言う奴がいると思うが、教室は女子グループしかいないせいで凄く食べづらいのだ。


 ちなみに未来みらいはその女子グループの一つに入っていて、ご飯もそこで食べている。


「にしても本当に同じ問題出たな」

「あぁ、正直書いた俺も驚いた」

智也ともやが満点取ってるなんて知ったら先生びっくりするだろうな。ちゃんと入試に出るような応用も入ってたし」

「逆にカンニングの容疑かけられそうで怖い」

「流石に信じてくれるだろ……多分」


 今日の二時限目の話をしながら互いに箸を進める。


 ……そろそろ頃合いかな?


明人あきと、一つ相談があるんだ」

「なんだ? 清水しみずさんとのデートのアドバイスはしないぞ」

「分かってるじゃないか〜」


 俺の言葉に明人あきとが大げさにため息を零す。そして唐揚げを口に入れると箸で俺を指した。


「お前リア充」


 次は自分に箸を指し……


「俺は彼女もいないアニメ好きのオタクだ」

「まぁ、そうだな」


 それでも分からないのかと言う目を向けられる。俺、何か変なこと言ったかな。


「あのな、これ以上デートのアドバイスを非リアの俺に聞くなって言ってるんだよ。なんで俺がお前のデートプランを一緒に考えないといけないんだ」

「いやぁ、未来みらいが前のデート楽しそうだったからさ。お前本当に付き合ったことないのかよ」

「中学の俺を知ってるだろ? 彼女なんていたことない」

「でも本当に明人あきとのアドバイスは的確なんだよ。今回はクリスマスデートだし、絶対に成功させたいんだ。頼む!」


 額を机に引っ付けて懇願する。


「俺も未来みらいも来年は三年で受験勉強が忙しくなる。だからちゃんとしたデートが実質これで最後になるかもしれないんだ」

「別に手伝う義理はないからなぁ」

「明日食堂で何か奢るからさ」


 俺には何もないので、こんなことでしかお願いできない。


 数秒静寂が続いたかと思うと、また盛大なため息が聞こえてきた。


「…………仕方ないな。どうせ俺が手伝うまで諦めないだろうしやってやるよ」

「ホントか! 恩に着る!!」

「ただし、テストが終わるまでこの話禁止。残り2週間切ってるんだぞ? 今回みたいに補習にかかったらカッコ悪いだろ?」

「おう! ちなみにいつもみたいに勉強見てもらったりは……」

「しない。俺もそろそろ自分の成績上げないといけないからな。今回は一人で頑張れ」


 いつも明人あきとに教えてもらい、全教科でギリギリ平均の俺が補習を回避できるのだろうか。


 変な冷や汗が流れる。とにかく英語が辛い。本当に壊滅的で良くて40点、普段は赤点か、ギリギリ回避かの戦いをしている。


 そんな俺が一人で英語を……。


 いや、なんとかするしかない。補習のせいで冬休みまで登校したりクリスマスイヴを教室を過ごすのはごめんだ。


 そんなことのせいでクリスマスイヴにデートができないのは恥ずかしい。


「しばらくゲーム禁止で勉強してみるか」

「お、その意気だ! 愛の力で頑張ってくれ」

「おう」


 弁当を食べ終わり教室に戻る。そしてもう配られている課題に早速手を付け始めた。

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