第12話

従業員寮に移動し、自己紹介をしながらお昼ご飯を食べる。

食事は大きい鍋にメインのスープと大きいボウルにサラダがあり、それにパンと飲み物は自分で持ってくるスタイルだった。

朝に仕事が割り振られ、各々の仕事の区切りの良いところや自分のタイミングで昼を取れるらしい。


本日のメインはソーセージ入りトマトスープ、グリーンサラダ、黒いパンと、飲み物は多分牛乳、オレンジジュース、水の中から選ぶことができた。

牛乳っぽいのはやけに黄色っぽいというか、白くないんだよな…クリームが多めなのかもしれない。無難に水にしよう。


執事長のモルダンさんと昼ごはんを食べていると、入れ替わりで人が昼食をとりに来る。人もいるし、獣人やそのまんまトカゲの人もいる。リザードマン?だっけ?器用にスプーン使ってるなあ。


モルダンさんとゆっくり昼食を取っていると、猫耳のスタイルの良い男と犬耳のスタイルの良い女が入ってきた。モルダンさんはその2人を優雅な仕草で呼ぶと私に紹介してくれた。

「鈴木さん、こちらアンバー家の出納帳を管理しているワーキャットのユウとワーウルフのルクだ。 ユウ、ルク、金額の確認係欲しがってたろう、今日から入る人族の鈴木さんだ」

「おー、人族!やったね!私、ワーウルフのルク!よろしくね!人族は数字に強いから良い!やっとこいつと不毛な争いが終わる!」

「てめーが計算間違うのがわりーだろ!…ワーキャットのユウだ、よろしくな」

「はじめまして、今日から経理に配属されました人族の鈴木と申します。これからよろしくお願いします!」


お互いに顔を見合わせ、握手をする。

この2人は喧嘩はするけど、私に対しては握手もしてくれたし態度も普通だった。

「注意が数点あるので昼食が終わり次第、仕事場へ戻ります。鈴木さんは2人が昼食を取っている間に個人部屋に案内します」


そういうと、モルダンさんは注がれていた牛乳を一気に飲むとこう言った。

「鈴木さん、昼食は終わりましたね。では部屋に向かいます」

もしかして、ゆっくり食べてたのはこの2人を待っていたからだろうか。


昼食の皿を所定の位置に下げ、個人の部屋に案内してもらった。基本は2人部屋だが、今は全員ペアがいるため私だけが1人部屋となった。また人員を増やす予定なので、あと数週間で2人部屋になると思うと言われた。

風呂やトイレは部屋に付いていないので廊下にある共有スペースのものを使う。また簡易的だがキッチンがあるため、個人で買ってきた飲み物を入れ部屋で飲むことも可能だそうだ。

社員寮というよりシェアハウスのようだ。


1人部屋なので、部屋の鍵をもらい、モルダンさんと執事長の部屋まで行き、中で待たせてもらった。

仕事の話を一通りしてもう実践になるんだよな。

少しワクワクしながら2人を待った。


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