第4話

歩きがてら自己紹介をする。

真面目系イケメンさんがケミさん、メガネが似合いそうな人だ。

もう1人はハイロさん、こちらは失礼ながらチャラ系、コミュ力は高そうだ。2人とも高身長、がっちり型、種族はエルフだそうだ。エルフと聞いた時にはまたIQ3になってしまった。


「…ツリーハウスだ」


10分ほど歩いて着いたのは、周りの木より少し色が薄い外観をもつツリーハウスである。

遠くから見えたのは高い位置にあったからか。大きい樹の枝の間に上手いこと家が嵌っているような、樹の枝もこの家を支えるのにうってつけの枝ぶりである。

入り口の高さが地面から2メートルほど上にあり、幹の出っ張りをうまく利用して登っていく作りになっている。つまり、梯子や階段の類がなかった。木登りの要領で入り口まで登っていくようなのだが、いけるか?

イケメン2人はスルスルと登ると入り口から下を見て手招きした。

よーし、と手首のストレッチを軽くして上を見る。初めに手をかけるであろう幹の出っぱりに右手をかけ、もう少し上に左手をかける。右足、左足も幹に引っ掛け、蹴る。反動を利用してさらに上の出っぱりに手をかける。少し時間はかかったがなんとか登れた。やればできる子、私。


ツリーハウスの中は2人住むには十分な広さがあり、明るくて爽やかな風が吹いていた。元気な太陽の下、10分ほど歩いたのでジワリと汗が滲むような気温だったが日陰ということもあり家の中は涼しく快適だった。部屋の中央、左右に太さは違えども木が上下を貫き部屋を支えているのがわかる。右奥には簡易キッチン、戸棚のようなものが見え、床に置かれた木箱から葉物野菜の頭が見えた。

中央を通る木の幹と並ぶようにテーブルと椅子が、左奥にはベッド2つが見えた。


「とりあえずそのテーブルにかけて待ってて、簡単なものしか作れないけどすぐ作るから」そういうとケミさんは戸棚の中から木で作った皿とボウルを1つずつ、マグカップを3つ出した。

もう1人のハイロさんは未だに携帯で遊んでいる。ネットの記事を上下して遊んでいたと思っていたら、いつのまにかカメラが起動していた。カメラって開いてるだけで充電減るの早くない…?

「あの、数字今どれくらいですか?」

「まだ86〜」

カメラで部屋の中をズームして遊びながら言う。

「え、なんで、本当だ…故障した?」

絶対嘘、と思って画面を覗き込んだら本当に86%だった。

二か月ほど前に機種変したと言ってもまとめサイトも15分は見てたし、この家に来るまで10分くらい?今もカメラで遊んでるのに充電が、1%も減らないってことある???


だとしても約束の80%までになっていないので返してもらうこともできない。とりあえずこまめに確認するか…


家の中をキョロキョロと見渡しているとキッチンからお皿とカップを持ったケミさんが現れる。

お皿には茶色のドイツ系を思わせるパン、焼いた卵、卵の黄身が白くて白身がオレンジ色だけどこっちの世界ではこれが普通なのかな…、横にはサラダ…があるが、葉物野菜は多分レタスのようなものに、八つ切にされた見たことのない果物?が乗っている。見た目はビワに似ているオレンジ色、真ん中に細かく白い種が見えている。トマトのような扱いなのだろうか。

カップの方は見た目は薄いグリーンティーである。冷たいお茶かな?

一緒に置かれた透明な水差しには水が満たされており、中にハーブと思われる草が1束入っていた。水出しハーブティーか、おしゃれ〜。


「特別なものは何もないけどよ、まあ食べてくれ。」

「ありがとうございます、いただきます!」


食べてみると全体的に薄味、でも滋味で美味しい。水出しハーブティーも爽やかでうっすら甘く感じて美味しい。


ケミさんとハイロさんは仲良く携帯で遊んでいる。カメラで写真を撮って落書きをしている、ハイロさん応用力すごくね?


「んでさ、君のことも聞きたいんだけど」


携帯をケミさんに渡し、パッとこっちに身を近づけるハイロさん、子犬みがすごい。


「えーと、どこから話せばいいのか、私の世界の話をすればいいんですかね?」

「うんうん、聞きたーい」


やっぱりちょっとチャラいなあ。

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