第11話

「虹蛇の盗難事件ですか?」


 一瞬、声が大きくなりかける。それを慌てて静めて、私はルーティオさんを見つめた。隣に居る千草も同じような反応を見せていて、「虹蛇、いなく、なったの?」と表情に戸惑いを滲ませた。

 ルーティオさんは私と千草を交互に見つめると、小さく頷く。「居なくなりました」と答える声が、私たち二人にだけ届くくらいの声量で、紡がれる。


「いつのまに……」

「なんと驚きのことですが、本日のことです。後ほどニュースなどで明るみに出るかと思われますが」


 私も本日連絡を頂いて本当に驚きました、とルーティオさんはさしたる驚きを見せずに続ける。

 今日。盗難。……一瞬、脱走の可能性は無いのだろうかと思ったが、盗難と言うからには現場を見て一目で分かる程度には園内が大変なことになっていたのではないだろうか。

 疑問がそのまま表情に浮かんでいたのかも知れない。ルーティオさんは説明を足すように、言葉を続けた。


「虹蛇は基本的に独立行動を好みますが、人を好み、人の多い場所に居ようとする習性がございます。人の居る場所を自身のテリトリーとして考え、それらを奪って争い合いが起きる程度ですから」

「すごい人間のこと好きな異世界生物なんですね」

「はい。人間に好かれることを誇りと思っているような、そんな生物でして。その為、動物園に保護されたことを大変喜んでいる様子でしたので、脱走――という点は考えられないでしょう」


 それに、と彼は少しだけ眉根を寄せる。


「虹蛇の居る舎の鍵を壊された跡があったらしく、おそらくは盗難だろうと」

「盗難……」

「前に異世界生物が盗難されるという話をしたかと思いますが」


 つまり、こういうことですね。なんて、ルーティオさんは続ける。

 動物園で飼育されている動物というものは、おおよそ普通の人の家で飼う動物よりも厳重に管理されているのではないだろうか。それを思うと、盗難は難しいと思う。だが、それでも、浚われてしまうのが、異世界生物の現状――ということなのだろう。

 なんだか少しだけ胸の奥がずしりと重たくなるような心地を覚える。虹蛇は、大丈夫なのだろうか。以前、盗まれて素材にされている異世界生物も居るという話をしていた。

 盗まれた虹蛇は、今頃、どうなっているのだろう。

 考えるとぞっとする。


「異世界生物は基本的に法では守られませんからね」

「……そうなんですか?」

「はい。善意によって成り立つ保護制度、そして善意によって成り立つ異世界帰還制度に則り、異世界生物課は存在しますから。そもそも、この世界には存在しない生物ですから、どのような法を作れば良いのか、はたまた適用すれば良いのか、ずっと議論されていまして」


 そういうことなのだろう。だからこそ、保護した人の手から盗まれることもあり、それらの生物が素材として売りに出されることもあるのだろう。

 法律が存在しないから、異世界生物は守られないのだ。そして法律によって守られないからこそ、彼らはたやすく浚われてしまうのだろう。

 喉の奥がきゅうっと窄まるような心地がした。


「ですが、こちらとしてもやられっぱなしというわけにはいきません。保護されている生物は基本的に保護者の所有物とされていますから。つきまして、動物園からの依頼がありまして」

「依頼……って、どういうのでしょう」

「もし可能であれば、良ければ虹蛇の捜索を手伝って欲しい、と」


 ルーティオさんは静かに言葉を続ける。


「このお話は小菅さま方にもしています。特にフェリちゃんは鼻が良いので、虹蛇を探すのも容易でしょうから。もちろん、捜索によって、皆さま方に不利益が被らないよう、こちらでも万全を期させていただいております」


 私は微かに瞬く。

 ――捜索の最中にむしろこちらが大変な目に遭う可能性、というのは、恐らく無きにしもあらずなのだろう。なにせ相手は盗難犯である。素人が変に手出しをすることで、相手を興奮させてしまう可能性もあるだろうから。

 ルーティオさんが微かに視線を落とした。長い睫が、電灯に照らされて、頬に影を落としているのが見える。


「もし良ければ、そのお手伝いを、千草さま、そして夏越さまにもお願い出来ないでしょうか」


 静かな声だった。だからこそ、逼迫した状況であることを、察することが出来る。

 人間の誘拐事件であれば、居なくなってから二日も経てば生存率は低くなると言われている。――異世界生物ならば、きっと、更に、なのではないだろうか。そもそも盗難するということは異世界生物の価値を知っているからこそ、する行動だ。早く見つけなくては、恐らく、虹蛇は。

 この世界に来て、抵抗する術も持たないままに。

 心臓が微かに速くなる。助けたい、と思う。けれど、それに千草を巻き込むことは出来ない、とも思う。

 相手が相手なのだ。今回のことで千草の存在が露見してしまう可能性だってある。そうなった時のことを考えると、動くにせよ、なんにせよ、私だけが動く方が良いのではないか。


「――私は、私は、大丈夫です。けれど、千草は……」

「ユズハ」


 お手伝いは出来ない、と、告げようとした言葉が遮られる。視線を向けると、千草は、私の手の平をぎゅうっと握り絞めてきた。視線を向けると、彼は柔らかく微笑んだ。


「えとね。大丈夫。見つけるよ、おれ。それにね、おれ、強いよ。悪いひとなんて、ぺしゃんこに出来ちゃうくらい」


 ――嘘、ではないのだろう。実際、千草は市役所の一階くらいなら壊せると言っていた。そんな彼からしたら、罪を犯す人間の一人や二人は、簡単に倒せるのかもしれない。


「千草……」

「だから、いっしょに、探せるよ」

「……千草……」

「信じて」


 静かな声だった。瞬間、小さく息を飲む。なんだか、心の、隠していた部分を当てられたような、そんな心地がしたのだ。

 ――私が一番、千草のことを、信じていない、のかもしれない。私が守らなければいけない、私が助けなければいけない。そう思って、危険から遠ざけようとしている。そこに千草の意思は介在していなくて、私の意思だけで、何もかもが決まってしまう。

 きっとその関係は、不健康と形容するしかないものだ。

 まるで、私を安心させるように、千草は唇の端を持ち上げて笑う。私より少しだけ体温の高い指先から、熱が滲んでくる。その熱に急かされるように、私は小さく呼吸をした。

 千草は成長した。――魔法だって、使える。なら。


「……わかった。ごめんね、信じる。千草が一緒に探してくれるなら、私も心強いよ」

「……うん。すごく、えと、すごくね、嬉しい。信じてくれて、ありがとう」


 千草は照れたように微笑みを零す。彼はくふくふと笑ったまま、私の肩口に額をこすりつけると、すぐに離れる。そうしてからルーティオさんへ視線を寄せると、「えと……、魔法、つかっても、いい?」とだけ続けた。


「魔法、ですか?」

「こわしたり、つぶしたり、するやつじゃなくて。……跡を、たどる、魔法」

「――それは、ええ、もちろんです」


 ルーティオさんが頷く。そうしてから、すぐに彼は立ち上がった。

 行きましょうか、と声をかけられて、どこへ、と問いかける。ルーティオさんは軽く瞬いた後、小さく笑った。


「もちろん、動物園でございます」



 ――動物園は、先日来たとき同様に、混雑していた。チケット売り場に、虹蛇は本日登場しないことが記載された紙が貼られている。それを見て、虹蛇居ないのかあ、と帰る人も居れば、気にせずにチケットを購入し、中へ入っていく人の姿も見られた。

 今回は動物園からの要請を受けて来ている、ということもあり、チケットを買わずに中へ入れることになった。市役所で既に連絡をしていたこともあり、受付でルーティオさんが名乗ると、すぐに女性が駆けつけてくる。

 女性は私たちの元へ駆けてくると、すぐに頭を下げた。長い髪を一つにまとめ、飼育員としての制服をきちんと着こなしている。真面目で、快活そうな雰囲気を受ける女性は、けれど眦を赤くしていた。多分、泣いていたのだろう。虹蛇の管理をされていた方です、とルーティオさんが耳打ちするように静かな声で告げてきた。


「ルーティオさん、それと――」

「こちらの方々は、今回の虹蛇の件を手伝ってくださる方々です」

「夏越と申します。この子は――」

「千草、です。えと、手伝いにきました」


 女性がちら、とこちらを見てくる。慌てて自己紹介をすると、千草も同じように頭を下げる。

 女性は一瞬ぼんやりとしていたが、千草が首を傾げると同時に「すみません、山口と言います」と続けた。眦を軽く擦って、「すみません、手伝って頂けるなんて……、本当に助かります」と続ける。


「それではとりあえず飼育舎へ向かいましょうか」

「――はい、こちらです」


 ルーティオさんが言葉を続けると、山口さんが小さく頷く。口元を抑えながら、彼女は先導するように歩き出した。

 大分、心にきているらしいのは、見ていてわかる。声が微かに震えているし、目元は本当にかわいそうなくらいに赤くなっている。きっと、虹蛇と良い関係を築いていたのだろう。

 だからこそ、彼女の気持ちがなんとも言えず理解出来て、少しだけ苦しくなった。


 虹蛇の住んでいた舎にはすぐに到着した。柵で区切られた向こう、堀のように深くなっている場所に、以前は虹蛇が居た。けれど、今は居ない。虹蛇の案内板にも、『本日の展示は未定です』と大きく記載されている。だから、ということもあって、虹蛇の展示場所近くには、人の姿はほとんど無かった。時折人々が中を覗きこみ、居ないねー、と話しているのが聞こえる。その声が聞こえる度に、飼育員の山口さんは肩をびくりとふるわせていた。

 関係者のみが入れる通路を歩き、普段虹蛇が居住している空間に案内される。展示場所とは扉を一枚隔てているようだ。普段は固く閉ざされているであろうそこが、今はロープで止められている。鍵が壊されたらしい、と話していたが、恐らく展示側の方から内部へ進入されたのだろう。


「昨日の夜はまだ居ました。ご飯を渡して、そのまま別れて……、朝来たら、こんな風になっていました」

「防犯カメラには写っていたんですよね?」

「はい。警察にも提出していて……。けれど、見つけるのには時間がかかると、言われて」


 山口さんの声が微かに湿り気を帯びる。


「に、虹蛇は……大丈夫でしょうか……」


 答えの無い問いかけだった。しんとした場に、静かな嗚咽の声が響く。

 きっと大丈夫、も、大丈夫じゃない、も、どちらも正解の選択肢ではないのだろう。山口さんを傷つけることに他ならない。けれど、それでも。

 それでも、何も言わないということよりは、マシだろうから。


「――大丈夫です」


 山口さんが眦を拭う。扉の近く、壁に鮮血の跡のようなものが見えた。この場で誰よりも不安なのは山口さんだろう。ならば、その不安を払拭するように動くべきなのが、私やルーティオさんの役目なのではないだろうか。


「きっと、大丈夫ですよ」


 言葉を続けると、千草が小さく頷いた。そうして、「うん、大丈夫、だよ」と同じように続ける。


「えと。山口、さん。は、虹蛇と、仲良かったの?」


 千草は僅かに首を傾げる。微かな間を置いて、山口さんが「私は」としゃくりをあげた。


「私は、そう思っていました。帰還日まで大事にしますと約束したんです。それなのに」

「……そっか、わかった」


 千草は一度振り向いて私を見ると、そのまま軽い足取りで壊れた扉に近づいた。ユズハ、と手を差し出される。どうしたのだろうか。握り返すと、彼は表情を和らげた。


「魔法、使うね」

「――うん」


 静かに囁く声に、一瞬だけ息を飲んで、小さく頷く。千草は片手をそっと扉に伸ばした。私には聞き取れない言語を、微かに囁く声が耳朶を打つ。扉の一部が僅かに青く発光するのが見えた。幾何学的な模様が扉を囲うようにぐるりと現れる。風が微かに逆巻いた。


「な、何が起こっているんですか? その子は……一体……」

「千草さまが魔法を使われているんです」

「ま、魔法……?」

「虹蛇が使っていたようなものですね。あれは魔法というより、習性として雨を呼ぶのですが――」


 山口さんが微かに声を上げる。ルーティオさんの説明を耳朶に聞きながら、私は千草を見つめた。

 先日の、人を助けた時とはまた違った魔法なのだろう。多分、あれより、高位に属するものなのではないだろうか。見たことの無い模様、聞いたことのない呪文が、それを物語っている。

 それに。

 角を隠すための帽子が、僅かに光を帯びている。恐らく角の先端が光っているのだろうが、その光が布越しに僅かに漏れているのが見えた。

 青い燐光が、扉からぐるりと部屋をスキャンするように動いて、弾ける。千草が扉から手を離すと同時に、それらの光は消え去った。


「……千草、どうだった?」


 僅かな間を置いてから、問いかける。千草は私を見ると、笑顔を浮かべて、そのまま抱きついてきた。以前よりも背の高い体だからか、少しだけたたらを踏みそうになる。帽子を取って頭を撫でると、千草は嬉しそうに喉を鳴らす。


「大丈夫、見つけたよ」

「……千草、凄い……。凄いね」

「うん。あのね。しるしも、つけたよ。だから、移動してもわかる」


 あの一瞬で。思わず戦く。――本当になんというか、凄い。もうそうとしか言いようが無い。


「えとね、傍に人が居たよ。四人くらいかな。虹蛇は生きてた」

「……ほ、本当ですか?」


 生きていた、という言葉に反応するように、山口さんが声を上げる。千草は私の肩口に額をこすりつけるようにしながら「うん」と頷いた。


「大丈夫。ルーティオさん、えと、場所、おしえるね」

「はい。是非」

「手を出して」


 千草の言葉にルーティオさんはすぐに頷いた。す、と手の平を上にして出す。その上に千草が手を重ねた。一瞬、光の明滅が起こる。


「……わかりました、ありがとうございます」

「これで、大丈夫? ユズハも、かなしく、なくなる?」


 くすくすと千草が息を零すようにして笑う。

 ――私が、悲しくなったのを察知したからこそ、彼は手伝ってくれたのだ。なんだか少しだけ泣きそうになる。

 先日の男性が虹蛇の元へ落ちたのもそうだし、今回の件もそうだ。私が悲しんでいるというのを察知して、千草は動く。悲しまないように、と。

 

「……うん、悲しくなくなるよ」

「そっか。なら、良かった。山口さん、も、虹蛇と仲良いみたいだから、俺、頑張ったよ」


 褒めて欲しい、といいたげな表情で、千草は私を見つめる。すごいね、頑張ったね、とその体をぎゅうっと抱きしめると、千草は小さく息を零して笑った。


「それではこちらで直ぐに手配をし、虹蛇の救出を行うようにいたします」

「に、虹蛇、帰ってくるんですか?」


 ルーティオさんが直ぐに携帯を取り出す。呆然としていた山口さんが声をかけると、ルーティオさんは唇を持ち上げるようにして笑った。


「ええ、何せこちらにはドラゴンがついていますから、大丈夫ですよ」

「ドラゴン……」


 ゆっくりと、山口さんの視線が千草に向かう。ぶわ、とその瞳から涙がこぼれ落ちるのが見えた。彼女はつたない足取りで私たちの傍に来ると、そのままゆっくりと頭を下げた。


「ありがとうございます……!」


 山口さんの涙がほとりと落ちて、地面に跡を残すのが見えた。



 ――千草の魔法で足取りを追えたこともあり、その日の夜には虹蛇を取り返すことが出来たことを、ルーティオさんからの連絡で知った。

 小菅さんにも手伝いをお願いしていたこともあり、千草さまが魔法を使って足取りを探してくださいました、と伝えた所、「チートじゃん! 俺も見たかった!」ともの凄くお怒りの電話がかかってきた、とのことも末筆に記されていて、ちょっとだけ笑ったものである。

 ことのあと、感謝しきりの山口さんと別れた。私たちが手伝うことはこれ以上は無いからだ。助けに行くのに伴って行けば、相手の犯罪グループに千草の存在がバレかねない。それは大変なリスクを背負うことになるので、とルーティオさんに固辞され、その後は近場で買い物をして帰宅した。けれど、正直どうなったかが気になったのでそわそわしていたのは事実だから、寝る前に連絡が来てほっとした。


「千草は本当に凄いねぇ」


 盗難事件なんて、どう考えても見つけるのは難しいだろう。時は一刻を争うわけだし、何かしらの手違いがあればそれだけで時間をロスしてしまう。見つけた時には鱗から何から剥がされて死んでいました、なんてなってしまっていた可能性だってあるのだ。

 寝る前、千草の頭を軽く撫でながら息を吐く。私にされるがままになっていた千草は、軽くこちらを向いた後、そのままぎゅうっと体を寄せてきた。


「ユズハ、嬉しい?」

「うん、すごく。本当にありがとう、見つけてくれて」

「ううん。えへ。あのね。ユズハが笑ってるところ、だいすきだよ」


 少しだけつたない口調で、千草はそれだけ言う。私も大好きだよ、と返すと、照れたように頬が赤くなるのが見えた。角を押しつけるようにぐりぐりと肩口に額が押し当てられる。美しい曲線を描いた角の形をそっと撫でると同時に、千草が喉を鳴らして笑う音が耳朶を打った。


「ユズハがのぞむこと、ぜんぶするよ。えとね、完璧に、するよ」

「……うん、ありがとう、千草」

「ユズハ、大好き。おれの、だいじなひと」


 多分、嘘とか、そういうものではないのだろう。千草は本当に、私が望んだことを、しようとしてくれる。

 ――それこそ、ビル一帯を破壊するくらいは、簡単に。

 考えて、なんだかそわそわする。ちょっとこのことについては、あまり考えないようにした方が良いだろう。とりあえず健康的かつ精神安定をしながら過ごすことが目下の目標だ。千草が私のために、弊社を吹き飛ばす、なんてことにならないためにも。


「……よし、寝ようか! 今日は私下で寝るから、千草はベッドで寝なよ」

「えっ。どうして?」


 どうして。千草の言葉に微かに顎を引く。


「千草が少し大きいから、ベッドで一緒に寝るのはちょっと狭いかなあって」

「ぎゅうってくっつけば大丈夫だよ」


 確かにそうかもしれないけれど。

 幼い子どもの姿ならまだしも、ちょっと成長してしまった今、ベッドの上で抱きしめ合いながら眠るのはなんとなく気が引けてしまう。未成年淫行の文字が頭を過りつづけてしまうと言えば良いのだろうか。


「……ユズハ。ぎゅうってして、寝よう」


 千草がもそもそとベッドに上がり、私に向かって手を差し出す。えー、どうしようかなあ、なんて言っていると、彼は少しだけむっとした表情を浮かべて、そのまま私の手を引いてきた。抱きしめられる。


「ち、千草?」

「ユズハ。おやすみなさい」


 てこでも体を離さないつもりのようだ。私は小さく息を吐いて、それから千草の背に手を回した。


「……千草、おやすみなさい」


 そっと背を撫でると、普段よりも少しだけ低い声が、僅かに笑った。

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空から落ちてきたドラゴンは私と一生添い遂げたいようです うづき @uduudushi

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