次は、必要ない…【凛】

私も、お砂糖とミルクをいれる。


「次は、必要ないかな」


私の言葉に理沙ちゃんは、「わかるよ」って言ってくれる。


「何かね。龍ちゃんと拓夢がいれば、それだけでいい気がしたの」


私は、紅茶をかき混ぜる。


「凛ちゃんは、もうすぐ出口が見えそうなんだね……」


理沙ちゃんは、そう言って切ない顔を浮かべた。


「まっつんさんにプロポーズされたんだよね?」


私がそう言うと理沙ちゃんは、首を縦に振った。


「駄目なの?結婚」


私の言葉に理沙ちゃんは、泣いていた。


「優太と理沙の事、記事になるかもって」


「どんな記事?」


「未成年に淫行してたとか何とかって…」


「そんなの関係ないじゃない。今だって付き合ってて、もう未成年じゃないんだから」


理沙ちゃんは、私の言葉に泣きながら見つめてくる。


「世間はね。そんなの関係ないんだよ」


「また、世間…」


私は、そう言って紅茶のカップを覗き込んだ。


「凛ちゃんとたくむんも許されないもんね。同じだよ」


理沙ちゃんは、そう言って消えそうな顔で笑っていた。


「許すとか許さないとか、世間に決められたくないね…」


「そうだね。でも、そういう仕事だから」


理沙ちゃんは、そう言ってケーキを食べる。


「凛ちゃんも食べて」


「ありがとう。いただくね」


私もケーキを食べた。


「たくさん泣いて、たくさん考えたんだけどね。理沙、優太ともう一度別れる事になった」


「えっ?別れるって」


「今度は、前と違って本当に別れたの」


そう言って、理沙ちゃんは紅茶を飲んだ。


「そんな…」


「何で、凛ちゃんがそんな悲しい顔するの?」


「だって…」


私は、涙がポロポロ止められなかった。


「泣かないでよ」


「だって…」


私にとって、理沙ちゃんとまっつんさんは大好きな二人だった。私と拓夢の気持ちを理解してくれて応援してくれて…。


「泣くぐらいなら、手伝って」


そう言われて、私は理沙ちゃんにスマホを見せられた。


「何を?」


「知らなかった?SNOWROSEのPVに出てる女の人って誰?って噂になってるんだよ」


そう言われて、私は理沙ちゃんのスマホの画面を見つめる。


【SNOWROSEの拓夢とPVで並んでる人が綺麗すぎる】


【前から、PVを手伝ってたSARIは知ってるけど、もう一人は謎】


「理沙ちゃんって、さりって言うの?」


「そうだよ!さりで仕事してる」


「へー」


私の言葉に理沙ちゃんは、私を見つめる。


「へーじゃないよ!凛ちゃんも一緒に働こうよ」


「PVの撮影って事?」


「そうそう!駄目?」


「私は……。おばさんだし…」


「そんなの関係ない!龍次郎さんに聞いてOKだったらやろうよ」


そう言って、理沙ちゃんはニコニコ笑っている。


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