一番の理解者に…【拓夢】

「拓夢、大丈夫だよ」


「凛」


眠っていると思っていた凛は、覗き込んでる俺の首に手を回した。


「拓夢が醜い言葉を話してるなら、私も同じだから…」


その言葉に、引き寄せられるようにキスをしていた。


「愛してる、凛」


「愛してる、拓夢」


この愛は、誰かが想像するような汚いものじゃないと信じたい。


「この先、どんな事があっても…。誰を好きになっても、凛への愛は変わらないから」


俺の約束のような決意に凛は泣いてくれる。


「私も拓夢をちゃんと愛してるよ」


「うん」


俺達は、繰り返しキスをし続けていた。どれくらいそうしていたかは、わからない。


「歯磨きして寝ようか」


「うん」


凛にそう言うと笑ってくれて、俺達は並んで歯を磨いた。そして、並んで眠りについた。



「おはよう」


「おはよう」


目覚ましの音を聞かなくても、朝の五時に目が覚めた。


「今日は、下着買いに行こうか」


「うん」


俺は、伸びをしてゆっくり起き上がる。もう、凛が欲しいとかそんなんじゃなくて…。


「なあ、凛」


「何?」


「俺、凛にとっての一番の理解者になるよ」


その言葉にゆっくり起き上がった凛が後ろから俺を抱き締めてくれる。


「私をわかってくれるの?こんな酷い私を…」


「それは、俺も同じだから…」


凛が回してきた腕を撫でながら話す。


「ありがとう。私も拓夢の一番の理解者になる」


「ありがとな、凛」


「うん。朝御飯作るね」


「うん」


俺達は、同時にベットから降りた。洗面所で顔を洗って、歯を並んで磨いて笑った。俺が洗濯を回してる間に、凛はリビングに向かった。大丈夫だな!もう、俺達は…。

そんな風に俺は、思った。


リビングに行くと凛が朝御飯を作ってくれていた。


「目玉焼きは、しっかり焼く?」


「半熟がいいかなー」


「お味噌汁の具は、わかめしかなかった」


「ハムはあったっけ?」


まるで、一緒に暮らしてるみたいな会話。


「珈琲飲みたい」


「カフェインレス買っといたよ」


「カフェインレスじゃなくても、もう飲めるよ」


「いいじゃん。カフェインレスで!俺も飲むからさ」


「うん」


凛の笑顔を見つめながら、幸せな時間が過ぎていく。何も言わなくても、こんな関係で終わろうって決めたみたいに俺達は普通に話した。


「出来たよ」


「じゃあ、食べよう」


「うん」


凛がトレーにのせて、朝御飯をダイニングに持って行く。


『いただきます』


向かい合って、朝御飯を食べる。


「ごちそうさまでした。珈琲いれてくる」


「うん」


食べ終わった俺は、珈琲をいれに行く。マグカップにドリップをつけてお湯を注いでいく。もう、こんな日々を重ねていこうと決めた。何も考えなくていい。ただ、お互いを必要とするだけの日々を…。

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