苦しい日々は、いつか、きっと【拓夢】

これ以上、凛といると欲しくなってしまう。お酒も入ってるから、自分を制御出来なくなる。そう思った俺は、お風呂に行く。


お風呂を洗って、スイッチを押した。


凛の分のバスタオルと部屋に行ってパジャマを取って戻ってきた。凛の分も取ってきた。

下着がないよな!俺、男だしな…。


一応、俺の下着を置いとくかな…。


【お風呂が沸きました】というアナウンスが流れてきて、俺は服を脱いで体を流してから湯船に浸かった。


「煩悩よ!静まれ」


SNOWROSEの新しい歌詞でも考えよう。


「ふん、ふ、ふ、ふん」


俺は、鼻歌を歌いながら歌詞を考えるけど、うまくいかないぐらい心臓がうるさい。


駄目だ…。


どうしよう…


どうしよう…


心臓が落ち着かない状態なのに凛が入ってきてしまった。


ガタッ…。


抱きたくないわけないに決まってる。俺は、どうしようもないぐらい凛を愛してるんだから…。


「先にあがるね」


「うん。バスタオルとパジャマと俺の下着置いてる」


「下着だけ、明日買いに行こうかな」


「うん。行こう」


「うん」


凛は、寂しそうに笑ってお風呂場から出て行った。


俺は、そんな凛を見つめていた。あがったら、話すかな…。

凛がおめでとうって言えない気持ち、俺にもわかるよ。


シャワーを出して、湯船からあがった。髪や体を洗って俺は上がる。タオルで、体を拭きながら智におめでとうと言ったかと考えていた。俺、今も智を許せてないのかも知れない。


パジャマに着替えて、髪をさっと乾かしてからリビングに向かった。凛、トイレかな?


俺は、落ちてる凛のスマホを拾ってダイニングテーブルに置いてからキッチンに歩いた。蛇口を捻って水を飲んでから、凛を待つ為にソファーに行く。

狭い部屋にソファーとダイニング何て置いてさ!


ソファーで凛は横になっていた。


「寝ちゃったか…」


凛が、泣き疲れたのがわかった。俺は、お姫様抱っこをしてベッドに凛を連れて行く。凛は、ちょっとじゃ起きないぐらい寝ていた。


「なぁー。凛」


俺は、凛の髪を優しく撫でる。


「苦しい日々は、いつかきっと終わるから、大丈夫だから…」


俺は、凛の事を見つめながらそう言った。


「凛は、酷い人間じゃないよ。おめでとうって言えないのに言うのっておかしくないか?そんな奴が言うおめでとうって、世界で一番汚い言葉だよな」


そう言うと俺の目から涙がボロボロ溢れ落ちる。


「俺、やっぱり智を許せてないよ、凛。今の俺が智に言う言葉は、世界で一番汚い言葉だよ。死ねとか消えろとかクズとか、そんな言葉と何ら変わりない言葉だよ。例え、智におめでとうとかありがとうって言ってても…。腹の中じゃ俺。醜い言葉話してる」


凛が寝てるのをわかっているから俺はそう言って泣いた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る